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XML/Webサービスの導入事例

株式会社日立ソリューションズ(旧 株式会社日立システムアンドサービス)

コンテンツサービスへのWebサービス技術の適用

ネットワーク&ソリューション情報誌 Pint 9号掲載
Interviewee :
日立システム&サービス コンテンツビジネス本部 本部長 藤井 泰
日立システム&サービス コンテンツビジネス本部 瀬戸川 教彦

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Webサービス技術を適用し、知的興味を刺激する独自の検索手法を開発。

日立システム&サービスでは、ネットワーク上で日々拡大を続ける“情報の海”から、必要なコンテンツを的確に捉えたいと望むユーザに対し、その好奇心に応えるサービスとして、「ネットで百科forブロードバンド(以下、ネットで百科)サービスを提供してきた。これは、知の最高峰と言われる「平凡社・世界大百科事典」をベースに、映像、写真などのブロードバンド向けコンテンツを強化。
「マルチメディア図鑑」、「ニュース映像」、「マルチメディア年鑑」、「世界地図・日本地図」、「日本の名所1000」、「webラパン」といったビジュアルなコンテンツを収録した「マルチメディアコンテンツ配信サービス」だ。 そして、当社ではこの“情報の海”へのアクセスを、より知的興味を誘うものにするために、従来のライブラリ・リンク機能を進化させる「エンサイクロペディア検索エンジン(仮称)」を開発。その実現にも、Webサービス技術が大きな役割を果たしている。今秋までに新サービスを開始する予定。

あらゆるコンテンツを、ダイレクトに、自在にリンク。

現在、「ネットで百科」では、独自の「ライブラリ・リンク機能」を使って、情報検索を行なっている。キーワードを入力すると、「世界大百科事典」に対して検索が行なわれ、その結果から「マルチメディア図鑑」などの各ライブラリ内にある関連コンテンツに誘導していくというものだ。
「ただ、この方法ですと、“情報の海”への入り口は、あくまで『世界大百科事典』のコンテンツに限られます。(図1)ところが、実際は、“ネットで百科”内の厖大な数のコンテンツは、それぞれ対等かつ有機的に結び付いた“知識(リンク)構造”を作っているわけです。それをうまく検索し、すべてをダイレクトに、自在にリンクできたら、知的興味をすごく刺激するものになる――。そう考えたのが『エンサイクロペディア検索エンジン』開発のスタートラインです」と藤井は語る。
例えば、このエンジンで「鮎」をキーワードに検索を行なったとしよう。すると、表示される「コンテンツリンク情報」には、百科事典コンテンツの「アユ[鮎]」、図鑑コンテンツの「アユ」、ニュースコンテンツの「鮎釣り解禁」や「川を溯上する鮎」のニュースといったリンク先が表示される。それは、見た目では従来のものと基本的に変わらない。しかし、ある利用者が「鮎釣り解禁」のニュースを見たとすると、次に表示される「コンテンツリンク情報」には、日本地図の「鮎で有名な川」といったリストが表示される。一方、別の利用者が「川を溯上する鮎」のニュースを見たとすると、「コンテンツリンク情報」には、鮎をついばむサギについて図鑑の「サギの生態画像や映像」といったリストが表示される。
このように表示の裏に、検索結果として得られた関連コンテンツ間の全てのリンク情報を持っているのである。しかも、それはユーザの操作に合わせて、リアルタイムで更新されるため、リンクを辿るたびに、関連コンテンツ情報が変化していく。つまり、常によりユーザの興味に沿ったリンク情報が提供されるわけだ。「さらに、各コンテンツを同等に扱うことで、全てのコンテンツが“情報の海”への入り口となり(図2)、それぞれを自在に行き来することができるようになったわけです」と藤井。

 図1:現在のライブラリ・リンク機能動作イメージ 図1:現在のライブラリ・リンク機能動作イメージ

「世界大百科事典」という確かな知識が、関連コンテンツを抽出。

「エンサイクロペディア検索エンジン」の最大の特徴は、単なるキーワード検索を行なっているのではないという点にある。自らのロジックで、コンテンツ間の関連性のある、なしを判断し、リンク情報を作り上げている。「エンサイクロペディア検索エンジン」の中核は、知識データベースである。この知識データベースは、「世界大百科事典」の百科項目から生成されている。例えば、「福岡市」という知識は、百科項目「福岡[市]」の本文の書き出し部分に含まれる言葉(例えば「福岡県」、「市」)と、本文中で参照している他の百科項目名(例えば「博多人形」、「どんたく」)などとの組合せで構成されている。そして、得られた知識を、すべてのライブラリ内のコンテンツに検索をかけ、該当したコンテンツすべてに「福岡市」という“リンク情報”を付与している。このことにより「福岡市」に関連するさまざまな情報の在り処と関係が網羅されるわけだ。「ここで、問題になるのは、『それでは、いったい誰の基準で、関連性ありと判断されたのか』という点ですが、それは『世界大百科事典』をベースにしているという点で胸を張れます。何故なら、約7500名の著者、編集者が編んだ確かな知識から、抽出されたものですから」と藤井は言う。

 図2:Webサービス適用後のライブラリ・リンク機能動作イメージ 図2:Webサービス適用後のライブラリ・リンク機能動作イメージ

Webサービス技術を用い、すべてのコンテンツを横断的に活用。

そして、百科事典やニュース映像、地図など、それぞれのデータベースにあるコンテンツを自在に検索し、扱えるようにしたのが「Webサービス技術」である。 サービスシステムの2箇所に適用している。まず、「エンサイクロペディア検索エンジン」を利用し、入力されたキーワードに該当する知識を知識データベースから探し出す部分と、そうして探し出された知識を元にして各コンテンツ間のリンク情報を集計整理し、「コンテンツリンク情報」ページを生成する部分との連携にWebサービス技術を適用した。これを実現したものが「リンクサービス」(図3)である。
次に、「リンクサービス」と各ライブラリ間の接続にもWebサービス技術を用いた。各ライブラリコンテンツには、その内容や用途に応じた検索手段が予め提供されている。これら機能はそのまま活かしつつ、更に「ライブラリ・リンク機能」実現に必要な機能を新たに追加した。「ライブラリ・リンク機能」では、「リンクサービス」は各ライブラリコンテンツを横断的に検索し、得られた結果(コンテンツ各々の見出しやURL)を「コンテンツリンク情報」ページとして纏め上げる。こうした共通の検索手段と、結果データのXML化にWebサービス技術が非常に適していた。このように、ユニークなリンク情報の検索手法と各コンテンツの同列化を可能にしたのは、実はWebサービス技術なのである。
「実際に、Webサービスの導入に取り組んでみて感じたのは、『コンテンツビジネスのインフラとして、大きな役割を担っていく』ということ。当社としても、今後適用分野が広がっていくことは間違いない」と戸川は語る。

図3:Webサービス適用後のシステム構成 図3:Webサービス適用後のシステム構成

ネットワーク&ソリューション情報誌 Pint 9号掲載

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本事例の内容は公開当時のものです。