横浜信用金庫様 日立オープンミドルウェア&プラットフォームソリューションの導入事例やシステム構築例を紹介|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズにお問い合わせください。

日立オープンミドルウェア&プラットフォームソリューションの導入事例

横浜信用金庫様

統合DBシステムの活用で、地域密着型の信用金庫ブランドの強化を図る

2009年に開港150年を迎える横浜市。その横浜市を営業基盤に、地域に密着した金融機関として活動を展開している横浜信用金庫。そのブランド力を活かすために、MCIF(マーケティング用顧客情報データベース)を稼動させていた。ただし、月次データが中心であった。 そこでお客様との「Face to Face」の関係を強化するため、2006年12月、より鮮度の高い情報を活用できる統合データベースシステムを構築。この統合データベースシステムを核に、日立ソフトとのパートナーシップでさらなるシステム連携を図っていく。

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2000年のMCIF導入が、CRM実現の第一歩となった

島崎幸一 氏理事 システム部長
島崎幸一 氏

神奈川県横浜市に本店を構える横浜信用金庫(以下よこしん)は、1923年(大正12年)に設立された歴史ある金融機関である。営業基盤である横浜市は人口350万人と、東京に次ぐ日本第二の都市。またいまや、日本のあらゆるところで人口減少が取りざたされているなか、人口増加が見られ、活力のある若い人たちが集まっている。地域的には非常に恵まれているといえるが、それゆえ競合する金融機関も少なくない。

“地域に密着した信用金庫”というブランドイメージを定着させるため、よこしんでは2002年の開業80周年を機に、横浜ルネサンス事業を立ち上げた。現在は再来年の横浜開港150周年に向け、横浜ルネサンス事業を拡大した横浜プロモーションクラブを立ち上げ、地域貢献活動を積極的に展開している。

この「地域に密着した信用金庫」を不動のものにするために、先のようなサービスを提供するだけではなく、「お客様を知る」ことも重要になる。そこで2000年に、MCIF(マーケティング用顧客情報データベース)を導入したのである。島崎幸一システム部長は「これが、CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)を実現する第一歩になった」と語る。

しかしMCIFの顧客情報は、金庫内のインフラや技術的な問題などさまざまな理由により、月次データしか蓄積することができなかった。 「お客様に、質の高い金融サービスをタイムリーに提供するためには、今まで以上に鮮度の高い情報が必要となる。導入からすでに6年ほど経っていたMCIFはシステム更改期に差し掛かっていた。そこで、従来MCIFが蓄積していた月次データに加え、日次データも取り込めるデータベース(統合DBシステム)を新しく作成することにした」と島崎氏は振り返る。

統合データベース構築に際し、さまざまなベンダから提案があったが、最終的に日立ソフトを選択。 「第一にMCIFを構築したこと。月次情報はしっかり構築されており、不具合もなかった。それ以外にも取引履歴や投信システム、セキュリティシステムの導入などの実績があり、信頼感もあった。これらを総合して考慮すると、日立ソフトしかなかった」と島崎部長は言い切る。続けて島崎部長は、「今回のシステムは複数ベンダのシステムとデータ連携をするため、日立ソフトならマネジメント力や協調力も優れており、安心して採用できる。そこも評価のポイントとなった」とベンダ選定の理由を語る。その結果、統合データ基盤に日立製作所の高性能ストレージ「SANRISE」を採用し、日立ソフトの統合DBシステム案が選択されたのだ。

統合DBシステムとともに営業支援システムも構築

島田康弘 氏システム部 システム第1課 主任調査役兼課長
島田康弘 氏

2006年12月、統合DBシステムが稼動した。だからといって、即、業務に効果が現れるわけではない。重要なのはこれをどう活用していくかだ。

現在、統合DBシステムに連接しているシステムは、信用リスク計量化システム、自動審査システム、エリアマーケティングシステムの3つに加え、統合DBシステムと同時に新しく構築されたコールセンター、営業支援システム、そのほか大小14のシステムである。

「統合DBが構築されたことで、ホストの負荷が軽減できた」と島田康弘システム部システム第1課長は語る。というのも、これまでよこしんではこれらのサブシステムと連携する場合は、ホストのデータをサブシステム用に作り直してやり取りをしていたので、ホスト側に負荷がかかってしまっていた。島田課長は続けて、「当庫のホストは自営のシステムのため、何か一つのサブシステムと連携させるにしても、受け渡すデータの見直しや修正が発生し、それに伴うリスクもあった。しかし、今後は統合DBシステムからサブシステムへデータを配信することになるため、ホストのリスクが軽減するだけでなく、スリム化にも貢献した」と満足する。

今後、統合DBシステム導入の効果が最も期待されているのが統合DBシステムと同時に構築された営業支援システムとコールセンターである。

構築のタイミングが統合DBシステムと同時期になったことについて、鈴木隆システム部調査役は、「業務部では3年ほど前から、ハンディ端末の更改期を迎えており、より営業力を強化するためにもハンディ端末と連携する営業支援システム導入の計画を立てていた。しかし当時のMCIFデータは月次ベースだったので鮮度的に問題があり、また、他のサブシステムとのデータ連携も難しい状態であった。そのため、統合DBを新しく構築し、それらの問題を解決したうえで営業支援システムを導入しようと考えた」

従来のハンディ端末は、営業担当者がお客様を訪問し、集金のために使う、つまり入出金の管理ツールでしかなかった。閲覧できる情報とは、集金に必要な「勘定系のデータ」だけだったのである。しかし、新しいシステム下では、顧客情報もハンディ端末で閲覧できるようになる。「つまり顧客情報を外に持っていける。その場で次の営業を仕掛けられるようになる」と島田課長は期待する。情報を外に持ち運ぶことになるため、セキュリティ対策にも余念がない。よこしんでは、日立ソフトの情報漏洩防止ソリューション「秘文」を導入している。

2006年12月の営業支援システムの稼動以後、60店舗に順次、システム展開を行ない、2007年3月にすべての店舗で稼動した。 「新システムの稼動と同時に、営業担当者は一人1台のパソコンをもつようになった。これで情報武装が整備された」(島田課長)

アウトバウンド中心のコールセンターは今後インバウンド業務も展開予定

鈴木隆 氏システム部室 調査役
鈴木隆 氏

一方のコールセンターは、今はまだ「テレマーケティング、キャンペーン情報のお知らせなどアウトバウンドの業務のみに利用している状態。テレホンバンキングやお客様のクレーム情報をデータベースに蓄積するというようなインバウンド業務への活用はこれから」と鈴木調査役は説明する。

というのも3月中旬によこしんでは、より大容量のトラフィックにも耐えられるよう、ネットワークの切り替えを行ない、それと呼応するように、統合DBシステム、営業支援システムも全店展開となった。

稼動が開始されて4カ月が過ぎた。「MCIFから統合DBへの移行もスムーズにでき、今のところ大きな不具合もない」と鈴木調査役は満足する。

鮮度の高い情報を使いタイムリーな顧客獲得を展開

よこしん情報誌

業務の活用面ではまだまだだが、運用面ではすでに統合DBシステムの効果も表れている。「MCIFではホストとのデータの受け渡しはテープなどの媒体で行っていた。ホストで受け渡しテープをつくるだけで1時間、さらにMCIFへ渡すのに1時間と、合計2時間かかっていた。今では高速回線で直接、ホストとSANRISEがつながるのでデータの受け渡し時間が大幅に短縮された。それも人手を介さず、自動でできるので合理的になった」と鈴木調査役はSANRISEの効果をこう指摘する。さらに、月次処理も15時間から3時間半に大幅に短縮された。

統合DBシステムが構築されたことで、今後、よこしんではタイムリーな情報を発信し、顧客獲得を図ることを期待している。 「これまでの月次データではどうしてもタイムリーなDMが打てなかった。しかし新システムでは日次データを保持しているので、年金が振り込まれた翌日に、タイムリーなDMを打つこともできる。鮮度の高い情報によって、どんな効果が得られるのか楽しみ」と島田課長はいう。

よこしんでは本年7月に、勘定系システムの端末も切り替え時期を迎える。それを機に、勘定系システムも統合DBシステムに連携し、統合DBシステムを真の統合情報基盤として活用していきたいと考えている。さらには「伝票などもOCR(光学文字読み取り装置)を利用してデータ化、情報として蓄積していくことも考えています。私たちがめざすのは、ユーザが意識しないで容易に活用できるシステム。これを常に頭において、業務に役立つシステムを構築していきたい」

統合DBシステムをうまく活用していくこと。これが、地域密着型の金融機関というブランドイメージを確立する一手となるはずだ。

横浜信用金庫

設立は1923年(大正12年)。80周年記念事業の一環としてスタートした「横浜ルネサンス」事業は、第8回「信用金庫社会貢献賞」会長賞を受賞するなど、地域貢献を第一とするサービスを展開している。

所在地 横浜市中区尾上町2-16-1
URL http://www.yokoshin.co.jp/

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