3ページ目|第7回 成功は失敗の元|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。
私のような外部の人間から指摘されるまでもなく、こうした問題点をもっとも深刻に捉えているのはそれぞれの企業の方々だろう。経済のグローバル化の中で日本企業もグローバル競争の場に引っ張り出されているわけだから、グローバル競争のルールに従うしかない。
日本の企業は具体的に何をやるべきなのかということになると、答えはそう簡単ではない。いろいろなことをしなくてはいけない。
私が座長を務めた経済産業省の産業構造審議会が出した産業構造ビジョンは、日本の産業力を高めていくために必要なことが何かを考えるための材料を提供している。このレポートには、政府の報告書にしては非常に多くのアクセスがあるようだ。それだけ多くの人がこのレポートに関心を持っているということだろう。
このレポートをまとめるために、日本を代表する多くの企業のトップの方などに参加をいただいて、何度も議論を重ねた。
そうした議論の成果がレポートとなっているわけだが、実に多くの面で日本は深刻な制度疲労に陥っている、というのが私の実感だ。
思いつくままにいくつか列挙してみよう。グローバルなトレンドから完全に乖離してしまった時代遅れの税構造。展望が見えないグローバル人材の育成と確保。貧弱化する研究開発体制。海外企業から見て魅力の乏しい立地としての日本と先細る対内投資。規制改革の遅れ。EPA/FTA(経済連携協定/自由貿易協定)など市場開放策の停滞。これ以外にも、日本の国内の仕組みや政策でグローバル競争の足を引っ張っている要因は山ほどある。
そして問題なのは、政府の政策や公的な制度だけでなく、そうした環境の中にどっぷりつかってしまっている日本企業や日本国民の認識や行動でもある。
日本経済はまだ、戦後のめざましい高度経済成長からバブルの時代の夢から覚めていない。1990年前後にバブルが崩壊してから20年たち、その間にグローバル経済は大きく変わってしまったのだ。「失われた20年」の間に日本の8分の1の規模だった中国経済の規模は日本を超えようとしている。
かつては日本の製造業に追い詰められていたように見えた米国の製造業も、中国をはじめとするアジアの活用によってグローバル市場でシェアを拡大している。アップルの躍進がその象徴である。
バブル崩壊以降の経済的低迷の結果、日本人はあまりにも内向きになってしまった。政治も経済も、日本国内の小さなことにこだわりすぎている。目を外に転じて、グローバル経済や国際社会の動きにより強い関心を持たなくてはいけない。
そしてグローバルな視点からの日本社会のあるべき姿、そして企業の取るべき戦略について考察を進めることが必要である。
第8回日本経済が変わるとき
今回は経済産業省の産業構造ビジョンの議論などを紹介しながら、日本経済の停滞の背景について考えてみました。
次回は、日本経済が活力を取り戻すとしたら、どのような姿に変わっていくのかを探ります。
(2010年8月上旬公開予定)
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