楽しいコミュニケーション、ストレスを感じるコミュニケーションを繰り返すうち、自然に「自分の立ち位置」というのが見えてきます。立ち位置とは、コミュニケーションにおいて求められる立場、役割です。それが分かると、話す内容や声のトーン、しぐさ、はては服装や体型、雰囲気までがそれに沿うように成長していくわけです。
社長さんの威厳のあるコミュニケーションも、職人さんの背中で語るコミュニケーションもそれぞれが立ち位置を無意識に理解してのこと。彼らも家に帰れば、家族の中の役割という別の立ち位置があり、別のコミュニケーション方法で家族と接しているはずです。
コミュニケーションが足りないうちは、いわゆる表面上の付き合いになるでしょう。しかし数を重ねるうち、「お客さまと世間話ができる」など、立ち位置は変化していきます。怒られたり、傷ついたりしてたどりついた立ち位置は、案外居心地のいいものになるかもしれません。失敗を恐れず、コミュニケーションをたくさんとっていただきたいと思います。
仕事において欠かせないパソコン。1日中パソコンに向かって過ごす人も少なくないでしょう。会議の場で事務的な会話をするだけで、プロジェクトは成功を収めているかもしれません。「どうしてそんなに苦労してまで、コミュニケーションをしなければならないの?」と思う人もいるでしょう。
しかしコミュニケーション能力が低いと、将来「達成感」を味わうことができない可能性があります。生涯発達心理学の研究によると、自分のスキルが成熟したとき、これまで学び得て来たものを、次の世代に伝えたいと考え、その行動が幸せにつながるといいます。この成人後の精神的な成長を表現する「ジェネラティビティ(世代性)」という造語があります。自分の経験を伝えるために十分なコミュニケーション能力が備わっていないと、「ジェネラティビティ」が満たされず、孤独で不幸せな成熟期を送ることになるかもしれません。
まずは隣の人にメールを出すのでなく、話しかけることからはじめてみてください。コミュニケーションを繰り返すことで、立ち位置を知り、いつしか立ち位置も自分の欲求も変化し、今はまだ知らない「おもしろさ」「幸せ」を見出せるはずですよ。