3ページ目|第1回 上司編 タイプ別・上司とうまくつきあう方法|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

齋藤孝の人間関係力養成講座

 部下がもっとも対応しにくいのが、無責任・保守的なタイプの上司でしょう。日本の風土のせいなのか、どんな組織でも保守的な考え方は一大勢力を誇っています。これが企業の活性化を妨げる要因にもなっていますが、排除することはできません。

 さらに問題なのは、こういう保守的な空気が上司から部下へ伝播すること。心ある部下やヤル気に満ちていた新人まで、一人でストレスを抱え込んだり、社内に居場所を失ったり、結果的に会社を去る事態になりかねません。

 そこで取り得る方法としては、まず同僚と話して認識を共通化することでしょう。グチや不満をぶつけ合うのではなく、「こういう言動があった」「あの判断は後ろ向きだった」などの事実を列挙してみること。賛同する同僚が多ければ、それだけ認識は正しかったことになります。少なくとも、これによってストレスを共有できれば、心理的な負担はある程度軽減されるはずです。

無責任・保守的な上司
ストレスを抱え込まず、チームワークで保守的な判断を変える気運を盛り上げよう。

 では、この状況をどうすれば変えられるのか。一つの方法として考えられるのは、会議を活用することです。同僚間で事前にある程度根回しをして、ある種の“シナリオ”を用意する。上司をつるし上げるとか、動議を持ち出すといった物騒なことまで考える必要はありません。たとえば上司に決済を求める場面で、保守的な判断をした場合のリスクやポジティブな判断をした場合のメリットを複数の部下が同時多発的に発言していけば、さしもの上司も安易に結論を出すことはできなくなるでしょう。いわば“数の論理”で気運を盛り上げていくわけです。

 会議とは、ある種の“ゲーム”です。チームでアイコンタクトによるスルーパスやフォローを繰り返しながら、ゴールを目指す。上司との関係性においても、これは有効だと思います。

 上司の中には、意味もなく威張ったり、いきなり怒鳴り出す人がいます。最近は“パワハラ”の事例がよく紹介されますが、言われた部下本人だけではなく、組織全体を萎縮させるという意味で、やはりかなり問題があります。

 こういう人には、概して自意識・自尊心がきわめて強いという特徴があります。自分に対する言動に過剰に反応するタイプ、と言い換えることもできるでしょう。そこでまず気をつけるべきは、部下としての態度や話し方。怒鳴る上司を批判する前に、言葉づかいや勤務態度など、怒鳴られても仕方のないような言動は慎む必要があります。

 そもそもこのタイプの上司は、けっしてつきあいにくいわけではないと思います。私もかつて出会ったことがありますが、懐に飛び込んでしまえば意外とうまくかみ合ったりするもの。私はこれを「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ方式」と呼んでいます。

他人に厳しく、威圧的・感情的な上司
一緒に飲みに行ってみるのも効果的。敬遠せずに、思いきって懐に飛び込んでみよう。

 その方法論は大きく二つ。第一は、常套手段ですが、一緒に飲みに行ってみること。多少の説教や自慢話さえ覚悟すれば、ガス抜きと雪解けが期待できます。

 そして第二は、素直に褒めること。このタイプの上司にかぎった話ではありませんが、最近よく思うのは、一般的に上司の言動に対する部下の態度があまりにも冷たいのではないか、ということです。たとえば、ときどき複数の会社の会議に参加させていただくと、上司が一生懸命話をしているのに、ただうつむいていたり、何かの資料を読んでいたり、隣の人と別件の話をしたりしている人をよく見かけます。「こういう部下を持った人は苦労するだろうな」とつい上司の肩を持ちたくなります。

 どれほどつきあいにくい上司でも、最低限のリアクションをするのは社会人としてのマナーです。おべっかを使う必要はありませんが、筋の通ったことを言えば「そのとおりですね」とうなずき、何か提案があれば賛成・反対の態度をはっきりさせる。この程度なら誰でもできるはずです。

 上司との関係を良くするために「無理やり自分を押し殺せ」とか「心にもないお世辞を並べよ」などと言うつもりはありません。あくまでも自分の仕事をやりやすくすることが目的です。どんな形であれコミュニケーションを重ねることは、お互いの気持ちをほぐします。少なくとも相手を避け何もしないよりは、ずっと空気が和らぐと思います。
 一般に、部下を育てるのは上司の仕事とされています。しかし私に言わせれば、その上司を育てるのは部下の仕事だと思います。「育てる」に語弊があるなら、「持ち上げる」とか「乗せる」でもいい。評価は脇に置いて、上司の立場は尊重する。お互いに気分良く仕事をするために、これは欠かせません。

第2回 取引先編 − 取引先とつきあう、その心得とは?

取引先との大切なおつきあい。あなたは普段どのようにしていますか? 初めての出会いから、クレーム発生時の対処法まで、齋藤先生流の人間関係力を身につけて円滑な関係を築きましょう。
(2009年7月上旬公開予定)

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