第一回 ロシアになっても、ソ連時代を懐かしむ人々がいる[ウラジオストク〜ハバロフスク] | 「池上彰が見た!ロシアの真実 ~ソ連崩壊から25年~」連携企画 ロシア現地レポート|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

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日立ソリューションズ 協賛 BS日テレ 報道特別企画「池上彰が見た!ロシアの真実〜ソ連崩壊から25年〜」連携企画 ロシア現地レポート[2015年3月26日(木)19:00〜20:54] 執筆 ジャーナリスト 池上 彰 【第二回】赤の広場に遊園地が設置され、シベリア抑留者の資料が開示される[モスクワ]

 原油価格の急落と通貨ルーブルの暴落。ロシア経済はいま、苦境に立たされています。首都モスクワは暗い雰囲気に包まれているのだろう。そう思いながらのロシア再訪は2015年1月中旬のことでした。

モスクワの赤の広場にて

 ところが、モスクワの赤の広場には冬季限定の遊園地が設置され、子どもたちの嬌声が響き、華やかさを振りまいていました。
 赤の広場といえば、大統領官邸であるクレムリンの前。かつてのソ連時代、大々的な軍事パレードが行われ、アメリカまで届く核ミサイル=大陸間弾道弾が行進した場所です。

 まさか、そこに遊園地とは。赤の広場とクレムリンの城壁の間には、ロシア革命の立役者レーニンの遺体を安置したレーニン廟もあるのですが、すっかり目立たなくなっています。ロシアは変わった。強い印象を受けました。

 ロシア経済は苦境にあるといっても、2014年の前半までは、高い原油価格のおかげで、財政は豊かでした。石油・天然ガス産業を中心に経済は成長し、マンションならぬ“億ション”が次々に売り出されるなど、バブルの様相を呈していました。この間に街並みは洗練され、明るくなりました。日本食レストランも増えました。新生ロシアを感じさせます。

 今回、特にロシアの変貌を実感したのは、日本人のシベリア抑留の資料が、我々取材班に公開されたことです。
 シベリア抑留とは、第二次世界大戦末期に日本を攻撃したソ連軍に降伏した日本軍の兵士や関係者が、戦後、シベリアなどに労働力として抑留され、強制労働に従事させられたことです。抑留された人数は、約65万人とも約100万人とも言われています。
 厳寒の中、過酷な労働をさせられたことで、多数の犠牲者を出しました。その数は約6万人から約34万人まで諸説あります。
 こうした抑留者に関するデータは、ロシアの国立軍事公文書館に収蔵されています。
 番組スタッフは、これまで長期にわたり、シベリアに抑留されていたある人物の資料を公開するように求めていましたが、なしのつぶてでした。それが突然、資料を出してきたのです。秘密主義だったソ連、その後のロシアの様相の変化を実感しました。

抑留者に関するデータを開示する国立軍事公文書館スタッフ

 抑留されていた人物は、山本幡男さんといい、作家の辺見じゅんさんが『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』(文春文庫) に取り上げた男性です。番組スタッフは、この人について番組を制作したことがあり、公文書館にあるであろう資料の開示を求めていたのです。
 国立軍事公文書館から開示された資料を見ていくと、思いもよらない資料も出てきました。「同志スターリンに捧ぐ」というアルバムでした。山本さんと同じ収容所に入っていた人たちの手製です。
 抑留者の中には、ソ連共産党のイデオロギーに染まり、共産主義者になる人が続出したといわれてきました。抑留が解け、日本に帰国した途端、共産党に集団入党した人たちが出たからです。これは当時、「洗脳」と呼ばれました。
 私たちが見ることのできた資料は、それを裏付けるものでした。抑留者による丁寧な作りのアルバムには、共産主義を学ぶ人たちの日常が絵として描かれていました。
 共産主義の勉強を志願すれば待遇がよくなったのか。それとも、本気で共産主義思想を信じるようになったのか。真相は、もはや歴史の彼方ですが、これもシベリア抑留の一断面です。

 モスクワで、私たちは、極東開発担当大臣のアレクサンドル・ガルシカ氏に話を聞きました。プーチン大統領は、極東・シベリアの開発を重要課題と位置づけ、新しい大臣ポストをつくったのです。本庁舎はハバロフスクにあり、ガルシカ大臣は、ハバロフスクとモスクワを行き来しています。
 私たちは去年、ロシア極東の開発ぶりを取材しました。ロシアは、極東開発に、どれだけ本気なのかを知りたくて、インタビューを申し込んだのです。
 物静かなガルシカ大臣は、「極東開発に日本の協力が必要だ」と強調しました。日本の技術と資金があれば、天然ガスの採掘も進み、ロシア経済にプラスになるというわけです。
 ロシアがウクライナのクリミア半島を併合したため、日本は欧米と連携してロシアに対する経済制裁に参加していますが、これを止めて、ロシアの経済開発に参加してほしいというわけです。
 日本に対するロシアのラブコールを聞いているようでした。ロシアの熱い思いが伝わってきます。こういうときこそ、北方領土問題の解決に向けて絶好のチャンスと思うのですが、その一方で、欧米と足並みを揃えての経済制裁も、簡単に止めるわけにはいきません。日本の方針が問われているのです。

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