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【第109回】ハーバード公衆衛生大学院生(博士課程) 林英恵「勉学、仕事、出会い、触れ合い──そのすべてが『学び』」

ハーバード大学院進学への志を胸に抱いてから14年。現在、林英恵氏は、日本の会社に所属しながら、同大学院の博士課程で公衆衛生(パブリックヘルス)を学ぶ。長い苦闘の果てに彼女が見いだした「学び」の意味とは。
※肩書きは2013年8月時点のものです。

これって、合格? 不合格?──。

林英恵(はやしはなえ)プロフィール

1979年千葉県生まれ。
早稲田大学社会科学部を卒業後、国連機関でのインターンなどを経て、2007年、外資系広告会社に入社。
同年、ハーバード公衆衛生大学院修士課程(ヘルスコミュニケーション専攻)に合格する。現在博士課程在籍。
著書に『それでもあきらめない ハーバードが私に教えてくれたこと』がある。

入学の可否を伝えるメールがハーバード大学院から林英恵氏の元に届いたのは、2007年のことだった。17世紀に創設されたこのアメリカ最古の名門大学の大学院に留学することを彼女が心に決めてから、すでに7年の歳月が過ぎていた。

「メールには『合格』と書いてありました。でも、不合格や不採用に慣れっこになっていたので、この通知も、よく読んだら本当は『不合格』なんじゃないかって疑ってしまったんです。それで、英語が得意な友人にメールを転送して、内容を確認してもらいました。それくらい、負け癖がついていたんです」

林氏がハーバード大学院への留学を目指すようになったのは、早稲田大学の3年生、20歳の頃だった。きっかけは、交換留学制度として名高いフルブライトプログラムの説明会に参加したことだった。

「ハーバード大学を卒業して起業した女性が留学制度について説明してくださったのですが、彼女は本当に生き生きして、輝いていました。ああ、こんな人になりたいと思いました」

暗中模索の時期だった。メディアや報道に興味があって、アナウンサーを目指していた林氏は、学業の傍ら、テレビのリポーターの仕事を続けていた。しかし、そこで求められたのは、自分の言葉で情報を伝えることではなく、「ただ、にこにこしていることだけ」だった。自分が目指している仕事ではない。そう思った。

そんな状況に悶々としていた時に目の前に現れたその女性は、林氏が心から憧れるような自立した生き方をしていた。その女性に促されるままに、林氏は渡米し、ハーバード大学を直接その目で見て、決意を確かにして帰国した。

「絶対にハーバードに入る。その時、そう決めたんです」

苦悩の末に出合った「本当にやりたいこと」

林氏

しかし、その固い決意はなかなか結果に結び付かなかった。1回目の試験は不合格。2回目の試験でも門は閉ざされたままだった。一方でマスコミ各社の入社試験を受けるも、すべて不合格。留学もかなわず、就職もできない「暗黒の日々」(林氏)を過ごした。

アルバイトを次々に変えながら夢のみを糧として生きるような不遇の日々は、以後27歳まで続くこととなった。

不遇の原因は何だったのだろう。実力が不足していたから、努力が足りなかったから、景気が低迷していたから、運が悪かったから──。その一つひとつがあるいは小さな理由であったかもしれない。しかし、より大きな理由は他にあった。

「本当にやりたいことは何なのか。それが自分でもはっきりしていなかったことが一番の理由だったと、今になって分かります。私は、ただ漠然とハーバードに行きたいと考えていました。では行って何をやるのかと聞かれても、あの頃の私ははっきりと答えられなかったと思います」

7年という歳月は、本当にやりたいことを見つけるために天が彼女に与えた時間だったのかもしれない。その「本当にやりたいこと」──公衆衛生の研究──が見つかった時、彼女は3度目のハーバードへの挑戦についに成功したのである。

公衆衛生、英語でいうパブリックヘルスは、その字義通り、多くの人々の健康状態を向上させることを目的とする学問分野である。医学が、基本的に医師と患者との1対1の関係の中で健康状態の改善を目指すのに対し、パブリックヘルスは“マス”を対象とする。肺がんで亡くなる人を減らすために喫煙率をどう下げていけばいいか。発展途上国に生きる人々の健康状態を改善するにはどうすればいいか。肥満を防ぐにはどのような食生活を推進するのがいいのか──。そんな視点で健康について考えるのが、パブリックヘルスという領域だ。

林氏

「私がずっと興味があったのは、人の命に関わることと、世界につながること、その二つでした。20歳の頃の日記を読み返すと、国際関係の仕事と人々の健康や医療に関わる仕事の間で働きたいと書いてありました。今思えば、それこそまさしくパブリックヘルスでした」

海外の大学院に入学する際は、「エッセイ」と呼ばれる志望動機を書かなければならない。3回目の入試で、彼女は、エイズや貧困問題をメディアの力で解決したいとそのエッセイに書いた。ここから、「パブリックヘルスに関するコミュニケーションの方法を究める」という彼女のライフワークが始まることとなった。

もっとも、ハーバード行きがすべてスムーズに進んだわけではない。念願の合格通知が届いた時、すでに外資系広告会社であるマッキャンヘルスコミュニケーションズへの採用が決定していた。パブリックヘルスに関するコミュニケーションをビジネスとする企業への、しかも人生で初めての正社員採用だった。

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