【平成の世にサムライを探して】第122回 樹木医 塚本こなみ「樹木を、施設を、人を再生させる──深い愛情を持って『樹恩』に報いたい」|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

平成の世にサムライを探して 

【平成の世にサムライを探して】第122回 樹木医 塚本こなみ「樹木を、施設を、人を再生させる──深い愛情を持って『樹恩』に報いたい」

女性として日本初の樹木医の資格を取得し、これまで数々の樹木の移植や治療を成功させてきた塚本こなみ氏。彼女は一方で、栃木県の「あしかがフラワーパーク」を日本一の入園者数を誇る植物園に育て、静岡県の「はままつフラワーパーク」を赤字経営から救った名経営者でもある。塚本氏を支える信念に迫る。

「感動分岐点」を超える美しさを

塚本こなみ(つかもとこなみ)プロフィール

1949年静岡県磐田市生まれ。
22歳で造園家と結婚。一級造園施工管理技士を取得後、92年に女性初の樹木医となる。
翌年には自身が代表を務める造園会社を設立。
96年、栃木県の「あしかがフラワーパーク」の大藤移植を成功させ、99年に園長に就任。
2013年からは「はままつフラワーパーク」を運営する公益財団法人浜松市花みどり振興財団理事長を務めている。

※黒字=塚本こなみ 氏

──  はままつフラワーパークの理事長に就任したのは2013年の4月だそうですね。この植物園に関わるようになった経緯をお聞かせください。

はままつフラワーパークは1970年から浜松市が運営している植物園なのですが、この10年ほどは赤字で苦しんでいました。これ以上赤字が続いたら閉園するしかないという状況で、あしかがフラワーパークの園長であり、全国十数カ所の植物園や公園などの顧問をやっている私にお声がけがあったわけです。「3年で黒字にならなければ閉園」というお話でした。

──  大変なプレッシャーでしたね。黒字化には成功したのですか。

ええ。就任前の年間入園者数は最大でも27万人くらいだったのですが、私がお引き受けした最初の年度は40万人まで増えました。2014年度は80万人に増える見込みです。収支面で見ると、年間3億から3億5000万円程度だった売り上げが7億円まで増えています。もちろん十分に利益も確保できています。

──  躍進の要因は何だったのでしょう。

大人一律800円という入園料を見直したことが大きかったと思います。この植物園が最も美しいのは、3月から6月の4カ月間です。過去の入園者数を見ると、年間の7割近いお客さまがこの4カ月間に来園されていました。そこで、お客さまに最も楽しんでいただける期間の入園料は、600円から1000円までの変動制としました。花の咲き具合によって料金を変えるわけです。

一方、7月から9月までの3カ月間は、真夏の暑い中でも気軽に立ち寄っていただけるよう、無料としました。10月から2月までは500円ですが、来園者全員に500円の園内お買物券をお渡しすることで、実質無料としています。

はままつフラワーパーク外観、園内の噴水池と大温室 園内に咲き誇る色とりどりの花
はままつフラワーパーク外観、園内の噴水池と大温室(左)
園内に咲き誇る色とりどりの花(右)

──  大胆な改革ですね。

あしかがフラワーパークを立て直した時の経験が生きましたね。無料にすれば、入園者数は4倍から5倍に増えます。来園していただければ、園内で買い物や食事をしていただけますよね。そうすれば売り上げは増えるんです。500円の買い物券をお渡ししているのも、プラスアルファの買い物をしていただけることが期待できるからです。

──  一方、ハイシーズンには以前より入場料が割高になる場合もあるわけですね。

目標に掲げるのは「感動分岐点を超える」
目標に掲げるのは「感動分岐点を超える」

私はいつも「感動分岐点を超える」という目標を掲げています。企業に収益分岐点があるように、私たちの心の中にも強い感動を覚える一線があると思うんです。それが「感動分岐点」です。そこを大きく超えるような美しさを自信を持ってご提供できると判断した時には入場料を上げさせていただく、という考え方です。もちろん、簡単なことではありません。「まあまあだったね」「そこそこきれいだったね」ではだめなんです。「来年も絶対に来たいね」と思っていただかなければ分岐点を超えたことにはなりません。

──  その分岐点を超える方法とは。

常に「さらに美しく」をめざすことです。この植物園では、「世界一美しい桜とチューリップの庭園」というキャッチコピーを掲げています。桜だけでは世界一とは言えないし、チューリップだけでも世界一にはなれない。でも、その両方がそろえば世界で一番になれると考えました。現在、園内には桜が1700本、チューリップは年々増えて、この春には60万球になります。そのたくさんの花が咲き誇る3月から6月の間、この園は本当にきれいです。それをもっともっと美しくできる方法を考え、一人でも多くのお客さまに楽しんでいただくこと。それが私と職員の最大のモチベーションになっています。

依頼主の笑顔が何よりの報酬

──  樹木医として20年以上にわたって活動されてきました。これまでで最も印象に残っているお仕事は何ですか。

樹と触れ合う塚本氏
樹と触れ合う塚本氏

樹木医になって間もない頃にお引き受けした足利の大藤の移植ですね。樹齢100年を超える藤4本を、新たに開園する植物園に移すという仕事でした。それ以前にも100本以上の樹を移植し、1本も枯らしたことはなかったのですが、さすがにあの藤の移植は簡単ではありませんでした。

移植の際、私は、その樹が「大手術」に耐えられる生命力を備えているかどうかをまず見ます。それは直感的に分かることで、あの藤にはその力があると感じました。しかし、それだけで移植を成功させることはできません。移動手段はあるのか、あったとしても現場にアクセスできるのか、ルートは確保できるか──。そのような物理的な条件が整って初めて移植は可能になります。条件を検討した結果、「動かせる」と判断しました。

──  その移植先が現在のあしかがフラワーパークだったわけですね。移植に当たって、一番難しかった作業は何でしたか。

幹に傷をつけずに運ぶことでした。藤は幹が柔らかく、傷がつくとそこからすぐに腐ってしまいます。普通にロープで釣り上げると、藤自体の重さでロープが食い込んで、幹を傷つけてしまう。では、どうすればうまくいくだろうか。そう考えている時に、スタッフの発言がヒントとなって思いついたのが、幹に石膏包帯を巻いて保護する方法でした。

つまり、ギプスをはめるということです。その方法で藤をクレーンで釣り上げ、トレーラーに載せることに成功した瞬間、「この移植はうまくいく」と確信しました。

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