【平成の世にサムライを探して】第123回 国立研究開発法人海洋研究開発機構/深海・地殻内生物圏研究分野 分野長 高井研「命を生み出す根源的な法則とは──地球の深部に潜り生命の謎に迫る」|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

平成の世にサムライを探して 

【平成の世にサムライを探して】第123回 国立研究開発法人海洋研究開発機構/深海・地殻内生物圏研究分野 分野長 高井研「命を生み出す根源的な法則とは──地球の深部に潜り生命の謎に迫る」

「海は生命の母」と言われる。では、生命はその「母」からどのようなメカニズムで生まれたのだろうか。世界中の深海の微生物を調査しながら、その謎を解き明かそうとしているのが、生物学者の高井研氏だ。生命の謎を解く鍵とは何か。生命活動とは地球固有の現象なのか──。胸躍る最新の「生命論」をお届けする。

生命を生み出すシンプルなルール

高井研(たかい けん)プロフィール

1969年京都府生まれ。
京都大学大学院農学研究科水産学専攻博士課程修了。
日本学術振興会特別研究員、科学技術振興事業団科学技術特別研究員などを経て、2014年から海洋研究開発機構(JAMSTEC)深海・地殻内生物圏研究分野の分野長などを務める。
自然科学研究機構新分野創成センター客員教授、東京工業大学地球生命研究所教授も兼任する。
著書に『生命はなぜ生まれたのか』(幻冬舎新書)などがある。

※黒字=高井研 氏

──  「深海の微生物を調べることで、生命の起源に迫る」という研究を続けられていますが、具体的にどのような研究なのでしょうか。

地球上ではあらゆるところに生物がはびこっているわけですが、生物が全くいない場所もあります。生物が生きている場所とそうでない場所の境目、それがすなわち生命圏の限界です。そこを調べれば、「生命って何?」という難問に対する一つの答えが出るはず──。そう考えて研究を続けています。その境界付近に位置している生命圏、それが地球最深部の深海ということです。

──  それで「しんかい6500」などの潜水調査船で世界中の深海を調査しているわけですね。その境界領域には、生命が誕生した頃の太古の地球の環境が残っているのでしょうか。

地球に海ができたのはざっと44億年前ですが、その頃の環境がそのまま残っているわけではありません。しかし、海底から熱水が沸くという現象自体は、恐らく44億年間ずっと続いてきたと考えられます。その熱水噴出孔環境で生命は誕生した。そう私たちは考えています。

深海底の岩石サンプル 海底の熱水噴出孔に集まる深海生物の模型。  このような場所で生命は生まれたと考えられている
海底の岩石サンプルと、海底の熱水噴出孔に集まる深海生物の模型。
このような場所で生命は生まれたと考えられている
高井氏

──  なぜ、熱水と生命の誕生が関係するのですか。

石と水と熱。この3つの要素によって生命は生まれると考えられるからです。岩石から出てくる成分と水の成分と熱の作用が合わさることによって、有機物が生物となり、さらにそこにもたらされるエネルギーによって、生物の活動の持続性が成立するわけです。その3つがそろっているのが、深海の熱水噴出孔環境ということです。

もっともこの考え方は、物理学的、化学的には納得のいくものではあっても、生物学の側からは物言いがついていました。生命がそんな単純なルールで生まれるはずはない、生命のメカニズムはもっとはるかに複雑なはずだ、というわけです。ならば実際に世界中の深海を回って「こういう岩石がある場所に熱水があると、こういう成分が増える。するとこういう生物群が誕生する」ということを実証しようとしたのが私たちの研究です。

高井氏としんかい6500

──  実証には成功したのですか。

成功しました。複雑だと思われていた生物の成り立ちを決めるルールが、実は非常にシンプルな物理化学法則に従っているということが分かりました。頭で考えた証明ではなくて、数々の現場を回って、サンプルを徹底的に調査して明らかになった事実ですから、実証結果には自信を持っています。

ただし、実証できたのはあくまで大枠のルールです。生命を生み出す最も重要な法則が「石+水+熱」ではあっても、それ以外に生命の在り方を決定する様々な変数があります。その変数を明らかにし、それぞれの変数のプライオリティを明らかにしないと、生命の誕生を説明したことにはなりません。そこにまさに今、取り組んでいるところです。

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