【平成の世にサムライを探して】第124回 株式会社アクセルスペース 代表取締役(CEO)中村友哉「日本の衛星技術が宇宙開発の歴史を変える──超小型衛星を次世代の情報インフラに」|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

平成の世にサムライを探して 

【平成の世にサムライを探して】第124回 株式会社アクセルスペース 代表取締役(CEO)中村友哉「日本の衛星技術が宇宙開発の歴史を変える──超小型衛星を次世代の情報インフラに」

大学の研究室で手のひらサイズの衛星の打ち上げに成功し、卒業後ベンチャー企業を立ち上げて超小型衛星事業を続けているのが、アクセルスペースの中村友哉氏である。都心のオフィスの一室で作られている小さな衛星は、人類の宇宙活用をどう変えるのだろうか。超小型衛星ビジネスのビジョンを中村氏に語ってもらった。

過去に例のない画期的なプロジェクト

中村友哉(なかむら ゆうや)プロフィール

1979年三重県生まれ。
東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻博士課程修了。
卒業後の2008年に株式会社アクセルスペースを設立し、超小型人工衛星による民間宇宙利用に取り組んでいる。
14年11月には、東京大学と共同で「ほどよし1号」の打ち上げに成功した。

※黒字=中村友哉 氏

──  子どもの頃から宇宙が好きだったのですか。

そんなことは全くなくて、大学では化学を専攻したいと思っていました。でも、教養課程で学んだ化学は想像していたものと違っていて、化学専攻に進んで研究するということにピンとこなかったんです。いろいろな学科の先生が研究を紹介するオリエンテーションの中で一番興味を引かれたのは、航空宇宙工学科の中須賀真一先生の研究でした。先生は「私の研究室で衛星を作っている。ぜひみんなも一緒にやろう」と熱く語っていました。正直、相当突飛な研究テーマだと感じましたが、他ではできないことに違いないとも思いました。そこで、航空宇宙の分野を選んで、超小型衛星作りのプロジェクトに参加させてもらったわけです。

──  それは具体的にどのようなプロジェクトだったのでしょうか。

中村友哉 氏

超小型衛星の最初のプロジェクトは、米国で始まった「CanSat(カンサット)」で、それに続くプロジェクトが、私が参加した「CubeSat(キューブサット)」でした。これも米国の研究者の呼びかけで始まったもので、日本からは私がいた東京大学(以下、東大)の他、東京工業大学(以下、東工大)も参加しました。グローバルなプロジェクトでしたが、実際に衛星を作るのは各大学の研究室で、それぞれが工夫を重ねて10cm立方、重さ1kgくらいの衛星を作るわけです。一般的な人工衛星は、大きさは数m立方、重さは数t、製作費は数百億円にもなります。小型の衛星でも、重さ数百kgはあります。それに対して、手のひらに載るような衛星を作ろうというわけですから、かなり大胆な挑戦だったと思います。

──  プロジェクトは成功したのですか。

アクセルスペースのオフィスには様々な機器が並ぶ
アクセルスペースのオフィスには様々な機器が並ぶ

2年かけて何とか完成にはこぎつけましたが、問題は打ち上げでした。学生が作った衛星を打ち上げた例は過去にありませんでしたから、協力してくれる国を見つけるまでとても苦労しました。最終的にロシアが「教育目的なら格安で打ち上げてやる」と言ってくれて、2003年6月にようやく打ち上げが実現しました。私たちの衛星と東工大の衛星、それに海外の大学のものも含めて、計6基を同じロケットで打ち上げたのですが、宇宙で正常に動いたのは、東大と東工大の2基だけでした。

──  衛星に具体的なミッションはあったのですか。

笑われてしまうかもしれませんが、宇宙空間で1週間生き延びることだけでした。携帯電話用の小型カメラを搭載してはいましたが、目的はあくまで、超小型衛星がある程度の期間宇宙で問題なく活動できることを証明することでした。宇宙に自分たちが作った衛星を送って、それが思い通りに動いてくれる。それだけでも当時はすごいことだったんです。

中村氏と開発中の「GRUS」
中村氏と開発中の「GRUS」

──  証明には成功したわけですね。

ええ。一週間どころか、今でも稼働しています。

──  打ち上げに成功したときの率直な感想をお聞かせください。

ほぼ2年の間、思うように動かずに困らせてくれた衛星が、立派な姿になって遠く宇宙まで行ったわけです。開発者としては、ほとんど娘を嫁に出したような気持ちでしたね(笑)。一番感動したのは、打ち上げ後に初めて日本の上空に来て、信号を届けてくれた時でした。あの時の気持ちは、ちょっと言葉にできません。すべての苦労があの一瞬で報われたような気がしました。

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