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【平成の世にサムライを探して】第135回 株式会社トラストバンク 代表取締役 須永珠代「考え方一つで地方の可能性は無限大に広がる」

民間における地方創生の最大の立役者といってもいいかもしれない。ふるさと納税のポータルサイトを立ち上げ、全国の自治体と膝を突き合わせて語らいながら、この制度を納税者と地方を結ぶ確かな仕組みに育ててきた須永珠代氏。その情熱とビジョンに迫る。

地方の人たちに頼ってもらったことが一番のモチベーション

須永珠代(すなが・たまよ)プロフィール

1973年、群馬県生まれ。
大学卒業後、ITベンチャー、ウェブデザイナーなどの仕事を経て、2012年4月にトラストバンクを設立。
同年9月ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を立ち上げ、ふるさと納税ブームを牽引する。
15年「日経WOMANウーマン・オブ・ザ・イヤー2016」大賞を受賞。
著書に『1000億円のブームを生んだ考えぬく力』(日経BP社)がある。

自分が応援したい自治体を選んで寄付をすれば、2000円を超える金額、つまり寄付額のほとんどが所得税と住民税から控除される──。「ふるさと納税」と呼ばれるこの制度が導入されたのは2008年のことである。15年度の寄付総額はおよそ1700億円。これは初年度の20倍に相当する数字だ。

年々活性化するふるさと納税。その仕組みを支えているウェブサイトがある。トラストバンク代表取締役の須永珠代氏が4年前に開設したサイト「ふるさとチョイス」である。サイト上でクレジット決済による寄付の手続きが簡単にできて、自治体が用意する寄付への「お礼の品」も一覧できる。この画期的なサービスを須永氏が思いついたのは、自身の故郷、群馬県伊勢崎市に帰った時のある出来事がきっかけだった。

須永珠代氏の画像
須永珠代氏

「家にあった電化製品が壊れて買い替える必要があったのですが、近くの電気屋さんよりもネット通販の方が安かったので、私はネットで買うことしました。それを父に言ったら、駄目だ、近所の電気屋で買え、と叱られました。最初は何を言われているのか分かりませんでした」

須永氏の父の怒りの理由はこうだ。ネットで買う方が確かに安いかもしれない。しかし、それでは地元にお金が落ちない。地元が豊かにならない。買い物はできるだけ地元でするべきだ──。

「目から鱗が落ちましたね。私は当然、安くて早くて便利な方がいいと考えていましたが、必ずしもそうではないんだって。考えてみたら、子どもの頃、“たばこは地元で買いましょう”とか“お酒は地元で買いましょう”という貼り紙がよくありました。それからですね。地方にお金が落ちる仕組みが大事だと考えるようになったのは」

個人的な体験の中で得た地方へのまなざしと、会社設立以前に身につけたウェブデザイナーのスキル。そこから「地方」と「ICT」という自身のテーマが生まれた。その2つのテーマが交わる場所としておのずと浮かび上がったのが、「ふるさと納税のポータルサイト」だった。

Face to Faceのコミュニケーションが突破口に

起業したのは30歳の時。それまでは、ひたすら暗中模索の日々を過ごしていた。

「20代の頃は、何かをやりたいという情熱ばかりがあって、具体的に何をやればいいかは分かりませんでした。派遣社員やアルバイトの仕事を転々としながら、自分が本当にやるべきことは何かをいつも考えていましたね」

須永珠代氏の画像

起業することだけをまずは決めて、経営を学ぶために小さなベンチャーに就職した。その後わずかな資本金で起ち上げた会社の設立趣意書には、ICTでできることを思いつくだけ書き連ねていった。ふるさと納税に着目したのは、会社創設から3カ月後。さらにその3カ月後にふるさとチョイスをオープンさせた。

ふるさと納税のポータル事業を行うには当然ながら、寄付金の受け入れ先である自治体の協力が必要不可欠だ。全国の自治体に電話をかけてサービスの趣旨を説明したが、最初はどこもけんもほろろだったという。

「資本金50万円で、設立から1年もたっていなくて、社員は1人。そんな会社、信用してもらえませんよね」

今となっては笑ってそう言えるが、当時はわらにもすがる思いだった。その「わら」の1本が、ある友人とのつながりだった。鳥取県倉吉市につてのある旧友がいて、その人が市役所の関係者を紹介してくれるという。地方に来るための出張費はないだろうから、ウェブ講座の講師として来てもらえばいい。当然、講師代と交通費は支払う。そんな申し出が全ての突破口となった。

須永珠代氏の画像

「それまでは電話やメールで自治体にアプローチをしていたのですが、やはりFace to Faceのコミュニケーションに勝るものはないんですね。倉吉市の職員の皆さんと直接お話をして、サービスの趣旨を理解していただけて、やりましょうということになりました」

倉吉市が取り組みの先例を示すことで、興味を持つ自治体が徐々に全国に拡大していった。それから4年。ふるさとチョイスは現在、全国1788自治体の情報を網羅するメディアに成長している。

しかしふるさとチョイスの成功は、すぐに会社の収益につながったわけではなかった。現在は寄付手続きの手数料と自治体からの広告による収益モデルが確立しているが、会社設立からの2年間は社員を雇えるだけの売り上げはなく、須永氏自身の給料を捻出することすらできなかったという。

「自治体の予算は基本的に年単位ですから、すぐにお金が振り込まれるわけではないんです。2年間は資金繰りがとても大変で、地方創生に関するコンサルティングやセミナーなどの副業をしながら、自分の生活をまかなっていましたね」

須永珠代氏の画像

仕事をサポートしてくれる数人の仲間がいたとはいえ、社員は1人で、事業の全責任は自分だけで背負わなければならない。しかも、本業からの収入はほとんどない。そんな厳しい時期を彼女が乗り越えられたのは、地方の人々がいわば事業のパートナーとなってくれたからだ。

「自分たちが暮らす地域をどうにかしたいともがいている人たちがいて、そういう人たちに頼りにしていただけたこと。それが私の一番のモチベーションでした。頼られた以上、何かをしなければなりません。金銭的、体力的には大変でしたが、悩んでいる暇はありませんでしたね」

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