【平成の世にサムライを探して】第139回 株式会社自律制御システム研究所 代表取締役 最高経営責任者(CEO)/千葉大学・特別教授 野波健蔵「着々と進行しつつある「空の産業革命」」|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

平成の世にサムライを探して 

【平成の世にサムライを探して】第139回 株式会社自律制御システム研究所 代表取締役 最高経営責任者(CEO)/千葉大学・特別教授 野波健蔵「着々と進行しつつある「空の産業革命」」

この2年ほどの間に一気に知名度が上がった無人航空機、ドローン。1998年からその研究を続け、現在は自ら開発した機種の開発・販売を手がけているのが、千葉大学特別教授であり、自律制御システム研究所 代表取締役CEO の野波健蔵氏だ。斯界の第一人者がドローンの未来を語った。

ドローン活用で労働力不足に対応する

野波健蔵(のなみ・けんぞう)プロフィール

1979年、東京都立大学大学院博士課程を修了。NASA研究員などを経て、94年に千葉大学教授に就任。
80年代より自律制御ロボットの研究を開始し、90年代半ばから地雷除去や海底測量用ロボットを次々と開発。98年からドローン研究に着手し、2001年に自律制御飛行をするドローンの開発に成功した。

※黒字= 野波健蔵氏

── 現在、ドローンはどのような段階にあるのか、まずは技術面からお聞かせいただけますか。

ドローンの能力は、人間で例えると小学生程度である。そう私はよく説明します。運動機能と平衡感覚はあり、“小脳”も備えているので、飛び方や軌道を教えてあげれば自在に飛ぶことができます。

課題は、まだ“大脳”が発達していないことです。“大脳”の最も重要な機能とは「自分で判断する」ことです。障害物があれば、その状況に最も適した方法でそれをよける。部品に異常が発生した場合は、人のいない場所を見つけて安全に着陸する。しかも、そのような認識と判断を時速100kmのスピードで飛んでいる中で行う。“大脳”が十分に発達すれば、そういった行動が可能になります。そこまでいけば、ドローンの活用シーンは一気に広まっていくと考えられます。

野波氏とミニサーベイヤーの画像
野波氏とミニサーベイヤー

── 最新のドローンのスペックや操作方法についても教えてください。

私たちが開発し販売している「ミニサーベイヤー」という機種の場合、航続距離は直線で30 km、スピードは最大120 km、最大高度が150mといったところです。

操作については、事前のプログラミングによって自律飛行をするケースと、地上からマニュアルで操縦するケースがありますが、今後はプログラミングによる自律飛行が主流となっていくでしょう。

── ドローンが実用化されている分野にはどういったものがありますか。

実用分野は、現在のところ主に5つです。農薬散布などの「農業用途」、橋、トンネル、道路、鉄道などの検査をする「インフラ点検」、それから「警備」「災害対応」「測量」です。

── 今後はどのような分野で活用が広まっていくと考えられるのでしょうか。

日本の労働力人口は、急速に減少しています。今後、労働力不足がかなり深刻な社会問題となるでしょう。その影響が特に顕著に表れると考えられるのが、物流、建築、土木といった分野です。これらの領域でドローンを活用して人手不足を解消することが期待されています。

ドローンの最新機種「ACSL-PF1」。完全自律飛行による離着陸を実現している。測量、点検、空撮など様々な用途に合わせてカスタマイズできるの画像
ドローンの最新機種「ACSL-PF1」。完全自律飛行による離着陸を実現している。測量、点検、空撮など様々な用途に合わせてカスタマイズできる

── とりわけ物流の分野での活用に注目が集まっているようですね。

ええ。ドローンの活用が進むことによって「空の産業革命」が起こると私はしばしば言っていますが、特に物流においてはドラスチックな変化が起こると考えています。

物流の市場規模は、現在およそ20兆円です。今後、インターネットの活用がさらに進んでも、この市場が小さくなることはありません。むしろ、EC(electronic commerce=電子商取引)が活発になることによって市場規模は拡大していくでしょう。現在、物流の7割近くは企業間の移動で、残りが家庭への戸別配達です。その家庭向け物流の部分でまずはドローンが活用されることになるというのが私の見通しです。仮に家庭向け物流を小さめに見積もって2割としても、物流市場のうちの4兆円分を占めることになります。つまり、ドローンが4兆円市場を担うことになるということです。

物流の経路に革命が起こる

── ドローンによる家庭向け物流が実現した場合、その運営者は誰になるのでしょうか。

宅配事業者や郵便会社がドローンを持つこともあり得ますが、むしろドローン運営専業の会社が生まれて、そこが宅配事業者などと組んで配達を行うモデルができると私は見ています。また、ECや通販を手がける事業者が大量のドローンを自ら保有して、ユーザー宅に30分程度で商品を届けることも可能になるでしょう。そうなると、商品配送に物流事業者が関与しなくなるケースも出てきます。

── まさに破壊的イノベーションですね。ユーザー側では、荷物を運んできたドローンをどのようにして受け入れるのですか。

戸建てなら庭先や玄関口に着地させることになるでしょう。集合住宅の場合は、ベランダに着脱可能なドローンポートをつけて、そこにドローンが着地するイメージです。いずれの場合も、目標であるポートに向けてピンポイントで着地できる性能を実現させる必要があります。

ミニサーベイヤーのバッテリーの画像
ミニサーベイヤーのバッテリー

── 長距離輸送の場合はどうなるのでしょうか。

バッテリーで30km以上の長距離を飛ぶのは難しいので、動力をエンジンにすることになるでしょうね。もっとも、すべての輸送をドローンで行うわけではなく、コストなども考えながら、陸上輸送と適宜組み合わせていくのが現実的だと思います。

── 空の輸送路はどう設定されるのでしょうか。

特定のルートを設け、高度60~150mの間を30m間隔で分ける方法が想定されています。スピードによって飛ぶルートを変えるわけです。また、往路と復路を分けてドローン同士が正面衝突をしないようにします。それでも接触の可能性はゼロにはならないので、接触しそうになったら“大脳”の働きでそれを回避させるわけです。

── 技術面以外で、越えなければならないハードルにはどのようなものがありますか。

法律ですね。第三者が所有する土地の上をドローンが飛ぶことの可否は、法律上まだ明確になっていません。これが整備されるまで、あと3年はかかると見られています。

それから安全性の確保も必要です。飛行中にトラブルが起きた場合に地上にいる人に危険が及ばないよう、パラシュートの搭載を義務づけるなどの案が出ています。自動車における車検や免許証登録と同じように、安全性を認証して登録する仕組みができることになるでしょう。考えてみれば、車の運転も、何の決まりもないところから一つひとつルールを検討しながら整備していったわけですよね。それと同じ道をドローンも歩むことになるのだと思います。

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