【第九十一回】海上自衛隊佐世保地方総監部 1等海尉 臨床心理士・産業カウンセラー 山下吏良「『元女性アナウンサー自衛官』が語るメンタルヘルスケアの本質 『思いやり』と『絆』が人の心を支える」|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

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【第九十一回】海上自衛隊佐世保地方総監部 1等海尉 臨床心理士・産業カウンセラー 山下吏良「『元女性アナウンサー自衛官』が語るメンタルヘルスケアの本質 『思いやり』と『絆』が人の心を支える」

元はテレビの女性アナウンサー。現在は海上自衛官にして、自衛官のメンタルヘルスケアに取り組む臨床心理士。そんな異色の経歴を持つのが山下吏良氏である。自衛隊の中で働く苦労や醍醐味、東日本大震災での経験、組織におけるメンタルヘルスケアの重要性などについて話を聞いた。

仲間とのつながりで過酷な任務を乗り切る

山下吏良(やましたりら)プロフィール
1972年京都生まれ。同志社大学卒。
テレビ大阪報道部記者、NHKニュースキャスターを経て、フリーアナウンサーになる。
取材を通してメンタルヘルスケアに興味を持ち、京都ノートルダム女子大大学院にて臨床心理学を履修。
臨床心理士試験に合格し、2007年10月、海上自衛隊に入隊する。
現在は、佐世保地方総監部に所属し、広島県江田島市の海上自衛隊第1術科学校に入校中。

※黒字=山下氏

── 東日本大震災では、自衛隊の献身的な活動に注目が集まりました。隊員の方はこれまでになかったような経験をされたのではないでしょうか。

スマトラ沖大地震の際の救助活動に参加した隊員はいますが、今回のような大規模災害は多くの隊員にとって初めての経験だったと思います。私が所属する海上自衛隊は、陸路で近づくのが困難な地域に海からアクセスして救援活動を行ったり、海に流された家や漁船に残された人たちの捜索救難活動を行ったりしました。ほかにも、医療支援、入浴支援、孤立した地域や離島への物資輸送といった任務にも当たりました。

最前線で活躍したのが、EOD(爆発物処理班)の隊員たちです。本来は海の中の機雷処理を行うのが任務なのですが、今回は、津波に流された方々を捜索したり、艦のプロペラに絡まった障害物を除去したりといった作業に従事しました。3月の東北の海では、15分間海中にいると体温が低下して危険だといわれているそうで、かなり過酷な任務だったと思います。

── 災害の現場には行かれたのですか。

本来は現場に行く立場ではないのですが、過酷な作業を実地に見聞するため、現場に行かせてもらいました。

山下氏陸前高田から掃海母艦、掃海艇、ゴムボートに乗り込んで、ゴムボートでご遺体を収容する現場にも立ち会ったのですが、損傷が進んだご遺体を目にして、いろいろ考えさせられました。多くの隊員にとって、お子さんや女性のご遺体を見るのは、自らの妻子を思って、特につらい体験だったと思います。

掃海艇の中では、救助に当たっている隊員たちに、厳しい活動の中で何が一番の支えになったかをヒアリングしました。後のメンタルヘルスケアに役立てるためです。多くの隊員が口にしたのは、「仲間とのつながりやいたわり合いが心の支えになった」ということでした。

実際、救援活動の現場では、ほかでは話せないような率直な気持ちを語り合い、励まし合うなどして、次の日の活動に支障が出ないようにするという動きが自然に生まれていたようです。マニュアルを読む間もあまりなかったようですが、現場の隊員たちの自助努力によって効果的なセルフケアが行われていた。そのことに非常に感動しました。

── 災害後、隊員の方からの相談件数は増えましたか。

いえ、予想よりはるかに少なかったですね。そもそも救援活動中は、任務が忙しくて相談する暇もありませんし、活動が一段落してからも、それほど多くの相談があったわけでもありません。手足の震えが止まらないとか、夜になかなか眠れないといった症状を訴える隊員はいましたが、それはいわば「異常事態に対面した人の正常な反応」だから、過敏になる必要はないと伝えました。また、上級指揮官からのねぎらいの言葉を現場で救助に当たった指揮官に伝えると、それだけで大きな励みになるといったケースもありました。

一人ひとりの隊員の業務負荷を減らしたい

── 前職である記者やアナウンサーの仕事が「伝える」ことだとすれば、現在の臨床心理士の仕事は「聞く」ことですよね。かなり思い切った転身だったのではないですか。

「海上自衛隊 幹部候補生学校」と「大講堂」〜鉄骨煉瓦石造の大講堂は大正6年(1917年)に建てられ、幹部候補生学校や第1術科学校の入校式、卒業式などに使用されているそうでもないんですよ。記者の仕事の多くはインタビューですから、「人の話を聞く」ということをずっとやってきたわけです。アナウンサーの時も、単に用意された原稿を読むだけではなく、伝えるべき事実の背景を理解するのにいろいろな人にヒアリングしていました。その意味では、ずっと「聞く」ことの訓練をしてきたと思います。

例えば、阪神大震災や臓器移植に関する取材に携わったのですが、相手の率直な言葉や感情を引き出すには、その人の立場に立ち、その人の気持ちになって語り掛けなければならないんです。

現在の私の主な仕事は、隊員と個人面談をしたり、電話やメールでの相談に乗ったりすることですが、やっていることは、記者やアナウンサーの頃とあまり変わっていないと思っています。相手の立場に立って、相手の話をしっかり聞くという点は同じですから。

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