【第九十八回】慶應義塾大学環境情報学部 教授 清水浩「電気自動車はガソリン車を超えられるか?人々を真に魅了する『商品』を作りたい」|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

平成の世にサムライを探して 

【第九十八回】慶應義塾大学環境情報学部 教授 清水浩「電気自動車はガソリン車を超えられるか?人々を真に魅了する『商品』を作りたい」

30年にわたって電気自動車の開発に取り組んできた慶應義塾大学教授の清水浩氏。従来の車の常識を覆す8輪駆動の電気自動車Eliicaは、どのようにして誕生したのだろうか。この分野の第一人者が、電気自動車の可能性を語る。

進路に迷いながら電気自動車開発の道へ

清水浩(しみずひろし)プロフィール
1947年宮城県生まれ。
東北大学工学部博士課程修了。
97年、国立環境研究所を退官後、慶應義塾大学環境情報学部教授に就任。
電気自動車の開発に従事し、2004年、「Eliica」の開発に成功する。
株式会社SIM-Driveの代表取締役社長も務める。
著書に『脱「ひとり勝ち」文明論』(ミシマ社)などがある。

※黒字=清水浩氏

── 電気自動車の研究に携わるようになった経緯をお聞かせください。

小さい頃から車が好きで、大学は工学部を選びました。機械工学を勉強して、自動車作りの道に進もうと思っていたんです。しかし私が大学に入学した1960年代の中頃は、公害が社会問題になっていて、交通事故も非常に多い時代でした。自動車作りを自分の一生の職業にするのが果たしていいことなのかどうかと悩みました。しかし、他に何をやればいいか分からない。とりあえず基礎的な勉強をしておこうと思って、応用物理に進むことにしました。取り組んだのはレーザーの研究です。大学院に進み、博士課程を終え、国立公害研究所に就職しました。そして、レーザーを使った大気汚染測定装置の開発に従事しました。

しかし、その頃にもまだ迷いがありました。この分野で一生やっても世の中を変えることにはならないだろうと思っていました。ちょうどその頃、当時の通産省が出した電気自動車の研究開発報告書を目にしたんです。オイルショックが起こった直後で、世界的に新しいエネルギーの可能性の模索が始まっていた時代でした。

報告書を読むと、電気自動車はすぐにでも実用化できそうな気がしました。そこで、その研究開発に携わった自動車メーカーに行って話を聞いてみると、「いや、実用化は無理ですよ」とみんなが言う。しかし私には、十分に工夫をすれば実用化できると思えました。それで、自分の生涯のテーマとして、電気自動車の開発を選び直したわけです。30歳の頃だったと思います。

Eliica(エリーカ:Electric Lithium-Ion Car) 慶應義塾大学環境情報学部 清水研究室が中心となり産学連携で開発されたリチウムイオン電池を動力とする電気自動車── 電気自動車の実用化が無理といわれていた理由は何だったのですか。

電池です。電池の性能が十分ではないので、航続距離が出ないし、加速性能も悪い。速度も十分には出せない。みんなそう考えていたわけです。

しかし、電池の性能が悪くても、使用するエネルギーを極限まで減らせば、十分に実用化は可能だと私は考えました。モーターの性能を上げ、モーターから車輪にエネルギーを伝える機構に工夫を施し、空気抵抗を抑え、タイヤの転がり摩擦を小さくすれば、実用レベルの電気自動車を作るのは決して不可能ではないと。

越えなければならない三つのハードル

── 最近になって、Eliicaのように完成度の高い試作品を作ることができるようになったのはなぜなのでしょうか。

清水氏電池、モーター、インバーター(モーターの速度を変える装置)という、電気自動車にとってのいわば三種の神器の性能が格段に向上したからです。

まず電池ですが、リチウムイオン電池という高性能の電池を日本人が1980年代に発明し、90年代に入って、パソコン用などで実用化されるようになりました。それが大型化して電気自動車にも使えるようになったわけです。

モーターは、ネオジム鉄磁石という磁石が開発されたことで、大幅な高効率化と小型化が実現しました。これを発明したのも日本人です。インバーターは、IGBTというトランジスタが搭載されることで、大幅に性能がよくなりました。これも日本のメーカーにより実用化されています。

電気自動車の実用化に必要な三種の神器が、いずれも日本人の手によって発明され、日本のメーカーによって実用化されている。これは素晴らしいことだと私は思います。

この続きは、日立ソリューションズの会員様向け情報提供サイト『PREMIUM SERVICE WEB(プレミアムサービスウェブ)』をご覧ください。
プレミアムサービスのご案内はこちら >>
PREMIUM SERVICE WEBをご覧いただくにはプレミアムサービスへの会員登録が必要です。
※本サービスは法人のお客様向けに提供しております。法人に所属していないお客様は入会をお断りさせていただく場合がございます。何卒、ご了承下さいますようお願い申し上げます。
プロフィールや記事など、掲載内容は取材時点のものです。現在と内容が異なる場合があります。
前回の特集を読む 次回の特集を読む
見出し、記事、写真の無断転載を禁じます。All Rights Reserved, Copyright (C) 2010, Hitachi Solutions,Ltd.
ページTOP

本記事の内容は公開当時のものです。本コラムに関するご意見等ございましたら、日立ソリューションズまでお問い合わせください。