日立ソリューションズは、お客様の全体最適の視点で豊富なソリューションを組み合わせて提供する『ハイブリッド インテグレーション』を実現します。

株式会社 日立ソリューションズ

環境ステークホルダーダイアログ

 日立ソリューションズは、2012年2月、社団法人 産業環境管理協会 理事 横山 宏氏を本社にお招きし、 「これからの10年 環境保全のために当社に期待できること」をテーマに当社環境担当役員および環境推進本部のメンバーと意見交換を実施しました。

当社からの参加者

専務執行役員 CSR統括本部長永野顕隆(当時)

ブランド・コミュニケーション本部長

安東泰隆
環境推進本部長林健治郎
環境推進本部 部長代理臼見元恵

これまでの10年・これからの10年(日立ソリューションズより)

(臼見)

 2002年10月に東品川の本社ができまして、ちょうど今年で10年になります。2003年の2月には、この本社講堂で横山様にご講演頂き、企業での環境活動は地球規模で考えるものだということを教えていただきました。その年には環境ISO14001認証を取得し、すぐにLCA(※1)評価の取り組みを開始した経緯があります。

電子帳票システムReportMissionCO2の排出量

全ライフサイクルのCO2排出量

 このLCAは日立グループで開発したシステム・ソフトのLCA手法である、SI-LCA(※2)で、2004年8月には「電子帳票システムReportMission(レポートミッション)」の評価結果の発表をさせていただきました。これはメインフレーム機で帳票を印刷していたものを、サーバー側にダウンサイジングし電子帳票として参照・保存・管理するというシステムです。そのシステムの導入前と後とをLCA評価した結果、CO2の排出量を8割削減できたという非常に大きな効果が算定できました。コスト削減は3割程度ですが、紙を電子に変えることによる環境負荷低減効果の大きさを示すことができました。この結果を、新聞発表やエコプロダクツ2004の日立ブースへ出展し広く示すことができました。
 2005年になると評価する製品数を増やすため、社内の技術教育講座にLCA講座を設けて、社内展開を行い、2006年の11月には、エコバランス国際会議で、セキュリティ製品のSI-LCA評価結果を発表しました。このような社外への情報発信も必要と考え、日々活動しております。現在では検討を進めた結果、製品開発以外の受注製品を含めて環境適合の評価をしているという状況です。

LCA日本フォーラム表彰会長賞

LCA日本フォーラム
表彰会長賞

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 2007年12月には、LCAの活用と普及推進の観点から、「LCA日本フォーラム表彰会長賞」を受賞しました。これは、SI-LCAを社内で活用するだけでなく、社外の方にも使ってもらおうという事で、当社の教育部と連携してSI-LCA教育を社外向けに実施したことが評価され、受賞に至ったものです。

 2008年度には、農業情報管理システム「GeoMation Farm」についてLCA評価による環境負荷低減効果を示すことにより、「総務省uJapan大賞 環境部門賞」、「GreenITアワード推進協議会会長賞」および「エコプロダクツ2008推進協議会会長賞」の3賞を受賞することができました。これは、環境負荷低減効果をLCAで評価したところ、「GeoMation Farm」は衛星画像情報から小麦の生育度合いを地図上に展開し、その情報をもとにした刈り取り順番と乾燥工程での最適化による省エネ効果により、ライフサイクル全体で33%のCO2排出量削減という結果を出すことができました。具体的には、刈り取る順番を最適にしたことでのトラクターの省エネ・整備・使い回しの効率化、小麦の乾燥工程の最適化による燃料費の省エネなどさまざまなメリットがあり、農家の方々に喜んでいただいたシステムです。表彰時には既に30以上のJAや他団体に使って頂いていたということもあり、表彰の選考対象になったのだと思います。

 2009年から2010年は、「電子黒板(StarBoard)を用いた遠隔会議システム」でのCFP(※3)への取り組みに大変苦労しました。2009年7月から始めて、終わったのが2010年11月と、取り組みに長い時間のかかったのがこのシステムです。使用許諾を取得したCFPマークでは評価モデルについての記述もCFPマークと共に表示することが必須となりました。注記をつけなければ正しい表記にならないということで、環境表記というのが非常に難しいことだと改めて認識しました。

 これに続くものとしては、「SecureOnline(セキュアオンライン)」といってインフラ系ミドルウェアをベースとしたセキュアなIT基盤と、付帯する運用サービスをASPで提供する事業の評価をやっております。2011年度は震災の影響で大きな展示会はあまり開かれませんでしたが、いくつかの製品を「節電ソリューション」ということで新聞などに情報展開を行いました。また、日本でほとんど展示会が開かれなかった6月に、中国で行われた日中環境展でStarBoardのCFPを紹介しました。また2011年度は、エコプロダクツ2011にも出展し、2度目となるLCA日本フォーラム表彰会長賞を頂きました。CFP普及推進の目的でビジネスで活発にCFPをアピールしたことや、IT機器が国内初のCFPマークの使用許諾を得たことを含め、活動全体が高い評価を得て今回の受賞につながりました。

 今年度は、LCAだけでなく、生物多様性の定量評価CEV(※4)の手法を活用し、生態系サービスが企業にもたらすリスクとチャンスについて検討しています。これからもまた横山様のご指導をいただきながら方向性を定めて進んでいきたいと思います。

※1.Life Cycle Assessment:製品やサービスに対する、環境影響評価の手法
※2.System Integration- Life Cycle Assessment:システム・サービス製品の設計・開発から使用、廃棄に至る全ライフサイクルでの環境負荷(CO2排出量)と、コストの評価が可能な、日立グループのSI環境評価プログラム
※3.カーボンフットプリント:温室効果ガス排出量の表示制度。経済産業省の「カーボンフットプリント制度試行事業」
※4.Corporate Ecosystem Valuation(生態系の劣化と生態系サービスから提供される便益の両方を明示的に評価する手法)

横山氏

社団法人 産業環境管理協会
理事 横山 宏氏

(横山氏)

 日立ソリューションズがITでLCAを実現されたということ大変心強く、また嬉しく思っております。10年ほど前になりますが、LCAは一時ブームになりましたが、一通りやった後、その次に何をやったら良いかわからないという事で下火になっているようです。LCA評価の取り組みとは、環境負荷たとえばCO2の出所を分析して、環境負荷がどのステージから出てくるのか、どこを削減したら良いかという「ホットスポット」を見つけるということです。
 今後の取り組みとありますが、国際的な法的規制を乗り越えるために国際標準を使っていくわけですが、まだまだやることは沢山あります。御社がこれまでやってこられた事は、もう100点満点に近く、日立グループの中での優等生という感じだと思います。ここで気を緩めずに、これからの国際的な法的規制への対応に、フォーメーションを組んで業界をリードしてほしいというのが私からのコメントです。

環境の国際的な法的規制とは(意見交換)

(永野)

 法的規制というのはやはりハードウェアが主体になるのでしょうか。

(横山氏)

 注目すべき動きは2つあって、フランスでグルネル環境法(※5)というのが去年の7月から1年間ということで試行されていることと、ISOの世界で「組織のLCA(サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等に関する評価方法の国際動向に関するもの)」という規格を作り出そうという事が昨年の6月のオスロー総会で決まったことです。
 LCAのベンチャー企業の人たちがフランスでコンサルとして活躍していていますが、今のところはハードウェアの製品のLCAを評価し、更にその製品に関連する色々なハードウェア製品のLCAを評価することによって、組織のLCAにつなげていくということでスタートします。ハードウェアからスタートしますが、ソフトウェアも含めるべきと考えています。常に、ISOの世界では品質も含め、製品とサービスを併せて「商品」だという括りをしています。いち早く組織にもLCAを適用して国際規格に対応しようというフランスの動きは必ずヨーロッパに広がります。その動きが広がった時には当然サービスも含まれてくることでしょう。日本でももう既に準備ができているという対応をしていくことが大事ですね。

※5.フランスで最近定められた,気候変動対策等様々な環境に関する課題を扱う環境立法

(永野)

 日本では、中小企業を含むサプライチェーン全体で評価するというしくみが、まだできていないように思われます。

(横山氏)

 現在「スコープ3」という、サプライチェーンの規制を意味するキーワードがあります。「スコープ1」は自分が直接出すCO2、「スコープ2」は電力などで間接的に出すCO2、それ以外のCO2というのは「スコープ3」つまり、取引先が出したCO2まで考えさせようというものです。また、「スコープ3」では、カーボンだけでなくLCA全体の環境負荷になります。よって、化学物質も含めてサプライチェーン全体を規制していこうという動きが既に始まっていて、昨年の10月にWBCSD(World Business Council for Sustainable Development)という「持続可能な発展のための世界経済人会議」がガイドラインを出しており、現状では「着々と」というよりは「遅々としながら」進んでいるといえるでしょう。次の10年の視野の中には「スコープ3」のサプライチェーンマネジメントを組み込んでいかないと遅れを取ることになります。

(永野)

 日本企業の環境規制として関わる「RoHS:電子・電気機器における特定有害物質の使用制限についての欧州連合(EU)による指令」の日本版についてはどうでしょうか。

(横山氏)

 RoHSあるいはそれに続くREACH(※6)規制の日本の対応版といえるものに化審法(かしんほう)「化学 物質の審査及び製造等の規制に関する法律」の改正があります。化学物質そのものを使ってはいけない=ゼロという禁止ではなく、化学物質をどのくらい使っているかという「情報」、つまり化学物質は何に使うのか、どれくらい使われていますか、という情報をきちんと出しなさいというものです。すなわち、使用を禁止するのではなくて、取り扱いの情報の規制へと移行しており、化学物質管理の情報の取り扱いや届け出を規制するという方向へ動いています。また、日本の「グリーン購入法」という法律の中でまさにCFPやLCAのところを、きちんと考えて行こうという動きもあります。 これらの種々の動きは、まさに欧州からいろいろな影響を受け、さらにアジア、中国を意識して日本がリーダシップを発揮していこうという動きと言えます。

※6.REACH(Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals、リーチ, リーチ法)は、欧州連合における人の健康や環境の保護のために化学物質とその使用を管理する欧州議会及び欧州理事会規則

(林)

 LCAでは、サプライチェーンにおいても、原材料から部品に至るまで規制に関連した情報・データベースが必要だということでしょうか。これらがなんらかの形で蓄積されていないと、きちんと計算ができないし、LCA全体のCO2の計算もできない、という事になりますね。

(横山氏)

 そうです。何が必要かというとまさにデータです。CFPもPCR(※7)がないと何もできません。なぜPCRかというと、PCRを使って計算したものをCFPというのが国際規格だからです。CFPの規格であるISO14067の中に、「CFPとは、PCRを用いて計算したもの」と述べられていて、今年中にまとまる予定です。CFPの延長線上にあるLCAとCFPで一番大事なのがデータベースということになります。今、国際会議などで、LCAのデータベースのところが大変ホットになりつつあります。韓国とかタイ、マレーシア、オーストラリアも含めて、データベースには大変関心が高くなっています。日本はほんとうにうかうかしてはおられません。

※7.PCR(Product Category Rule)カーボンフットプリントの商品種別算定基準

環境経営の推進、新たな取り組みと世界への発信 ~次の10年に向けた取組をめざして~ 横山氏より

今、企業が立ち上がるためのキーワード(経営指標)

(横山氏)

 次の10年は劇的に変わるのではなくて、今までやってきたものの上に成り立っていくといえます。従って、LCAをきちんとやったから他をやらなくても良いという事ではなく、やることは増えるばかりです。従って、ITを活用して効率良く幅広くできるようになっていかないと、なかなか難しいという事ですね。従って、指標を決めて環境経営を強化することが重要になってきます。そして、日本一国だけ、一企業だけでもだめで、環境経営のグローバリゼーションが必要となってきます。
 全ての経営を環境の視点で見直すというのが環境経営ですから、その際に課題となるのが、低炭素社会、化学物質管理、ライフサイクルシンキング、そしてサプライチェーンの法的規制への対応です。これらがグローバルな環境経営で求められるキーワードになります。
 次は、ISOで環境適合設計をライフサイクルで考えていかなければなりません、見えるもの(LCA)への対応と見えないもの(化学物質)への対応、この2つの面でしっかりやっていかなければならないので、ISOで環境適合製品の規格を作っていきましょうという事が韓国の国際会議で決まったのです。環境の切り口から見直すというのは、例えば液晶テレビでは、これだけ薄くなりましたという性能面で評価しますけれども、実は環境面での切り口からすると、薄いために多く積めて輸送効率が上がるため、液晶テレビが普及するとCO2の排出が2割減るということになります。これが環境経営の考え方です。

サプライチェーン管理と国際標準の必要性

(横山氏)

 製品のサプライチェーン規制をどうやってクリアしていくかというのが、これからの国際標準の考え方になります。原材料をタイで調達して、中国で部品を作って、マレーシアで組み立てて、ヨーロッパで売る、あるいは日本に持ってくる、こういう流れになりますから、このサプライチェーンが段階ごとに国を行き来するわけです。その段階ごとにLCAがあり、かつ各国で法規制が違いますから、産業界は貿易の共通ルールを国際標準に求めることになります。国際標準のISOとIECにサプライチェーンのルール作りと規制が進む中で、これに対応していこうというのが今の産業界でのグローバルな流れです。
 ヨーロッパでは2005年に欧州ErPという、京都議定書をヨーロッパがクリアするための法律を作って、これが遅々としてではありますが、確実に進んでいます。Energy Using Product規制化が、2009年にはEnergy related Product規制となって、エネルギーに関係する製品に適用範囲が広がりました。そして、2011年には、フランスがLCAの法的規制ともいえるCFPの届け出の義務付けという形に具体化され既に試行が進んでいるのです。これらの動きはたいへんゆっくりですが、日本の産業界として対応の遅れがあってはいけません。

低炭素社会のはじまり

横山氏

(横山氏)

 私が日立製作所本社の環境本部にいた10年間というのは、京都議定書とともに色々ポリシーを考えてきたと言っても過言ではありません。2011年12月12日付けの日本経済新聞では、「京都体制は終わった。終わったことが始まった」と掲載されましたが、12月27日付の讀賣新聞には、「京都議定書が延長された。その後どうするのかというのが次の10年である」という本質をついた意見が掲載されていました。
 日本では震災があっても、予算が色々変わっても、環境に力を入れるという基本的な路線は変わらず、進んでいきます。環境に関して国が政策に力を入れている分野は、住宅と車とインフラです。従って、国民がものすごく多く関わるという事です。住宅、車、新しい原子力問題への対応をする中では、国際的な連携が不可欠になります。環境省が出した「2050年80%削減のためのビジョン」の基本的な流れは変わっていないと思います。
 今までの10年間の京都議定書の動きを見てみますと、京都議定書が決まった時には、省エネ未達は生産停止だという新聞記事も見られ厳しい事が言われました。京都議定書から10年以上かかってエネルギマネジメントのISO国際規格が動き出しました。従って大きな節目から国際規格が動き出すのには10年かかるという事です。日本は省エネ法の改正や省エネ製品のトップランナー方式で進めてきましたが、これらの取り組みをこれからは着実に世界に向けて発信する時代になります。また省エネ、CO2だけでなく化学物質管理にも配慮する必要があります。

政府の環境戦略:革新的エネルギー・環境戦略

(横山氏)

 今後、日本はどう進んでいくかという事ですが、2011年6月に「革新的エネルギー・環境戦略」を策定するという事で第一回の会議が開かれ、2012年6月にはまとめられてくる予定ですが、グリーンイノベーションの実現という言葉が出てきています。また、新たな国際的な枠組みの構築ということについては、京都議定書が国際的枠組みとしてはたいへん難しいと言う事で、国の方向は二国間協議にも向かっています。国際標準を使った二国間の取り決めをして、そこで産業界が入って国際的に展開しつつ、グローバルな仲間づくりを進めようという方向になっています。

海外のCFP活用の動き

(横山氏)

 経済産業省が商品にCO2排出の表示を義務付け、日立グループもCFPに積極的に取り組んだということは素晴らしいと思います。海外に目を向けますと、米国EPEATというエレクトロニクス製品の政府調達基準が動いており、フランスのグルネル法はCFPを義務付けしています。またドイツではブルーエンジェルラベルという気候変動特化ラベルを出しています。韓国では、CFPでポイントを付与するという大統領のコメントが出たほか、イギリスのカーボントラスト社がオーストラリアでそれを普及させようと国際的にビジネス展開しています。更には、アメリカでウォールマート社が2000万トンのCO2削減へのCFP活用という企業努力を見せようとしています。是非日立グループもこういったグローバルな動きに連動できると良いと思います。

グローバル低炭素社会の国際リーダーシップとは?

(横山氏)

 GHGプロトコル「スコープ3」というキーワードについては、このガイドラインが2011年の10月末に出ましたので、それをどう捕えて動くかというのが企業の競争力ということになります。欧州では、LCAの法的義務付けという動きに加えて、Environmental Footprintという動きがあります。これはCFPだけではなく、まさにLCAという事で、環境負荷をCO2以外にも広げるという動きです。また、ISOでは「組織のLCA」を、「製品のLCAの集合体」で評価するという議論でスタートします。次の10年はシングルイシューからマルチイシュー、つまりCFPからEnvironmental FPへの動きとなります。京都議定書の終わりがCFPからEnvironmental FPに動いていくという事で、CFPがなくなるわけではなくて、その上に積み重ねて動いていくという事になります。やることが変わるのではなく、増えるのです。
 貿易ルールが国際化する中、日本がリーダーシップを取れる動きをとろうと産業界は提案しています。例えば私が事務局を務めるエコプロダクツ展示会は一番先進的な展示会にしていこうと努力をしており、展示会のPCRというのも決めています。その展時会で今年は、被災地の釜石市長にお越し頂いてシンポジウムを開催しました。その時に出た結論のひとつが「復興は一人ではできない、連携と分散が重要だ」ということです。連携がグローバルだとすると、分散というのは二国間の協議あるいは企業間同士の連携という事で、それによって仲間づくりをしていくという事になります。
 また、輸送ビジネスでは、機器の利益とサービスの利益が完全に50%になっていますが、日立グループとしては、サービスの方でいかに考えていくかというのが今後のポイントとなってきます。ご存じのように、ITビジネスでは95%がサービスの方の利益になっていますので、このサービス事業の中で環境貢献は何かといったことで立ち上がった企業が生き残る時代だという事です。
 国際規格としては、LCAができ、CFPができて、今度ウォーターフットプリントというものができつつあります。これまでの10年間は、水と環境というのは使った量だけで評価されており、水を使う企業は悪者にされてきました。そこで、水の使用量は消費量だけじゃなく、使用の結果が環境に与える影響がきちんと把握されているところがベースになる、という事でWater Footprintという規格の作成作業が今年正式にスタートします。以上がこれまでの10年の動きの概要です。国際社会で日本の産業界が国際標準やグローバルな仲間作りのリーダシップを発揮することはたいへん重要なことなのです。

ソフトウェアが果たす役割とは(意見交換)

(永野)

 最近の世界各地で発生している天災等を見ると、もう地球環境が末期的な時期に来ているのではないかと危惧していますが、企業がその中で果たす役割というのは非常に大きいとも感じています。当社の提供しているソフトウェアがそれにどう貢献できるのか、当社の役割は何かという事を考えされられます。

(横山氏)

 お客様にCO2を削減するためのツールを提供するという事だと思います。コンサルも併せて、お客様にCO2のホットスポットを見極めるツールを提供することです。そのツールをお客様が使いこなすためには、データベースが必要になってくるので、そのデータベースへのアクセスのところで御社が貢献できるのではないでしょうか。

(林)

 当社はSI企業なので、当社の製品をお客様が使うことによって、作業効率が上がり、それが省エネにつながり、CO2削減につながっていきます。お客様がどれだけCO2を削減できるかに焦点を当てて製品を見ると、SI-LCAを使ったコンサルをお客様にするなどで当社が貢献できるのではないかと思います。

(横山氏)

 これからのビジネスを考えますと、お客さんが既に使っている製品ネットワークの中には、LCAやSI-LCAをもう組み込んでありますので、単品でのツール販売ではなく、その企業の中の製品ネットワークの中に、ある環境経営の指標が出てくるものを積み上げる、組み込んでいくと良いと思います。

(永野)

 これからソフトウェアの世界も、お客様への提案書の中に、このシステムを導入していただくことによって、これだけ環境へ貢献できますと定量的に示すことができる時代になっていかないといけないのでしょうね。

(横山氏)

 お客様と連携して、一緒にCO2を削減するという事ですね。

(臼見)

 SI-LCAをやり始めた時には、まず設計者にアプローチをして、今作っているものが結果的にCO2をこれだけ出しているから、作る時に気をつけてください、使ってもらう時にはそういうことに配慮した使い方ができるように設計してください、ということでSI-LCAを活用していたのですが、最近はSEというよりは営業担当者が自分の売る製品の説明の一つとして、SI-LCAを使いたいから教えてくれと講座等を受講しに来ます。要はその製品の価値の一つとして、アピールしたいということです。お客様にとってはその製品の環境への影響が商品の選択基準になってきたようです。グリーン購入の達成度も高くなりましたが、効果の大きさで判断するのが最近の傾向です。
 IT企業の中では当社が最初ですが、設計の規格の中に、特にプロジェクト計画の中で、環境配慮の宣言をしています。環境配慮方針を決めて具体的な施策をワークシートに書いて実施することを開発規格にしているのです。それをやらなければ、プロジェクト計画も承認されず、その通りやらないと、最終的な工程に行けないという仕組みを作ったのです。その意味では、半分社内教育的な面もありますが、お客様に対してきちんと考えた上でやっていますと言えるようになってきており、そういう下地は、会社の仕組みとして構築してきたと思います。

横山氏

(横山氏)

 日本の仕組みと重なるのですが、ヨーロッパでもRoHSにしてもREACHにしても最後まで反対しています。しかし、準備は一方ではしておいて、決まった途端に一斉にやりましょうと走り出します。ヨーロッパでは、G20とかG8に臨むにあたって、ヨーロッパだけで首脳が集まって予備会議をやります。その中で何を項目にして攻めようかという中で、最初は雇用だとか領土問題とかいろいろなものが上がって優先順位が議論されましたが、当時は、その優先順位のトップが環境になったのです。グローバルな時代に産業界が環境経営を重視することはたいへん大切なことです。

(臼見)

 当社の場合もグローバル化でどんどん外に出ようとする際に、CO2だけでなく、生物多様性も含めその土地、土壌をどれだけ環境面で損なうことなく、現地で産業を伸ばしていくか、そこをちゃんと考えておかないと大変なことになると思います。私たちはソフトウェアを作っていると言いながらも、ビルを建てて、そこを生産拠点にしているところは少なくありません。ビルを建てるだけでもジャングルを切り開くなど環境破壊が伴うことも考量すべきです。
 LCAのデータという面では、海外のデータが必要になってくることが随分あります。当社も海外でソフトウェア自体を作ってもらって、こちらに持ってきて組み込んでということがかなりありますので、自社だけでは計算ができません。では、海外の実績値をどうやって入手するのか、向こうで発表されている数字だけでいいのかどうか、もっと背景に損なわれているものとか、もっとCO2が出ているものがあるのではないか、など見えないところが多くあります。もっと視点を国際化し、地球環境全体を見て行かなければならないと、LCAをやっていて感じることが多いですね。それをいろんなモノづくりの人たちに、仕組みを提供して皆に意識啓発することがここから10年の間のやりたいことのベースラインにあります。

(林)

 当社ではソフトウェアの海外生産委託があり、ここ最近は自社のハードウェア製品も海外へ委託生産してもらおうという動きが段々加速してきています。環境面でどういう対応を考えていけば良いか、何かお知恵を頂けると嬉しいのですが。

(横山氏)

 世界で一番厳しいコーポレート基準を日立グループが持ち、その基準で海外に進出すると良いのではと思います。そういった基準がない国もあり、これまでの10年もそうですが、基準がない国に進出した企業が今撤退しています。行き場がなくなって日本に戻ってきたり、他の場所に移ったりという事になっています。グローバルになると、とにかく甘い基準で売上だけを伸ばしている企業はチェックされます。ホームページで環境に関する基準や活動を公開し、取組みやPR活動をやっていると理解してもらえます。それはブランドの向上にもつながります。

(永野)

 今はもう自社だけできちんとやってます、というだけでは済まなくなっているということですね。

(横山氏)

 まさにスコープ3ですね。今は世界的に法律の世界では最終販売者が全部責任を持つという事になっています。ただ、中間部品メーカーとか素材メーカーは何の責任もないのかというとそうではなく、法律的な義務はなくとも様々な施策や見解を展開し、きっちりやっていますという事を示していく時代になっています。今は法律で決まってないからやらなくても良いと考える企業は減ったような気がします。

(安東)

 CSRでもISO26000 が発行されて、やはり自社だけでやっていれば良いというのではないというのは全く共通ですね。サプライチェーンというかバリューチェーン全体で手をつないでやっていこうというのは共通の考えになりつつあります。特に、ISO26000は認証規格ではありませんので義務とは言えませんが、これを知っていて、具体的にサプライチェーンを含めてどのように取り組んでいるという説明責任は必ずあるというのが非常に難しいところですね。

(臼見)

 グローバルにやっとその段階に来たという事でしょうか。

(横山氏)

 そうですね。その動きがシングルイッシューからマルチへと移っていきます。また、フランスの動きがヨーロッパに広がり、ヨーロッパの動きをいち早く取り込んでアジアへといく中で、日本がアジアの動きの主導権を握れると良いですね。

(臼見)

 CFPを始める時の経済産業省の話の中にも、アジア圏での普及とEUや米国との連携について説明がありました。弊社のStarBoardも世界70カ国以上で販売していますので日本でCFPをとったものに関しては、グローバルで通用するようになってほしものです。

(永野)

 これまで当社もソフトやサービスに環境活動を工夫しながら、当社は何をやったら良いのかと考えながらここまでやってきましたが、やはり温暖効果ガス・CO2の問題では、これからもっとコンピュータや関連サービス等が果たす役割のウェートが大きくなっていくように思います。今世の中で言われているスマートシティでは、まさにインフラ全体をコンピュータで制御していくわけですから、もっと当社の役割が出せるエリアというのは相当に広がってくると思います。
 ぜひ気を引き締めて、今まで以上の取り組みを進めていきたいと考えています。

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