日立ソリューションズは、お客様の全体最適の視点で豊富なソリューションを組み合わせて提供する『ハイブリッド インテグレーション』を実現します。

株式会社 日立ソリューションズ

「社会イノベーションを起こすCSR経営の実践」

~社会起点での事業創出を加速するために~

 2013年5月、CSR有識者を招いて、経営幹部が意見交換をし合うステークホルダー・ダイアログを開催しました。昨年に引き続き第2回となる今回も、社員が傍聴する公開形式で、「グローバル経営とCSR」、「中計達成にCSRは貢献できるか」をテーマに活発な議論が交わされました。

参加者

■有識者

藤井 敏彦 氏 埼玉大学大学院経済科学研究科客員教授
坂本 文武 氏 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科准教授

■当社参加者

秋山  恵穂 CSR管掌役員、常務執行役員
柳田  三生 経営企画統括本部副統括本部長
江川  裕仁 グローバルビジネス推進本部長
野村  利之 プラットフォームソリューション事業本部 企画本部長
石下谷  清 社会・公共システム事業本部 企画本部長
増田  典生 CSR推進部長〈ファシリテータ〉

全体写真

1.グローバル経営とCSR

日本とグローバルのCSRに関する捉え方の違い

(秋山)

 まず、当社のCSRについてお話しします。日立ソリューションズのCSRは、企業理念である「『日立精神』の下に、確かな技術と先進ソリューションの提供を通じ、お客様と地球社会の発展に貢献する」を実践することであります。あらゆる事業活動にCSRの視点を取り入れ、日立グループCSR取り組み活動方針に即して活動を推進しています。
 また、私たちの社会がさまざまな社会課題に直面している今日、それらの課題解決に対し、企業の果たす役割は極めて大きいと認識しています。当社は、日立グループの情報通信システム社の中核会社として社会イノベーション事業に積極的に参画する一方で、社会課題解決に寄与する新たなビジネスモデルの創出を目指しています。特に、グローバル市場では、社会視点から発想したハイブリッドソリューションを提供し、多種多様な事業で社会に貢献していくべきと考えています。
 さらに当社はお客様、株主様、パートナー企業といったステークホルダーの皆様とともにあります。そして、ステークホルダーに社会価値を提供する主体は社員であり、当社のCSRの原点は社員であると認識しています。したがって、人財育成は最も重要な経営課題の一つであり、社会イノベーションの実現に向け、CSRの実践者である社員が十分に力を発揮できる職場環境作りと教育に取り組んでいます。
 社会の多様化に従い、ステークホルダーからの要請もますます多様化してきました。このようにステークホルダーの皆様と対話し、当社の経営姿勢をご理解いただきながらご意見をたまわる機会は大変貴重であり、これによって当社のCSR経営をより深化させていきたいと思っています。


<藤井 敏彦 氏>

(藤井)

 「あらゆる事業活動にCSRの視点を取り入れる」とのことですが、CSRという言葉は実は非常に難しいのです。
 その話に進む前に、まず、「個人情報保護」という言葉について話したいと思います。そもそもその背景はホロコーストなのです。なぜ、ユダヤ人の収容がされたのか、ユダヤ人であるという個人情報が漏れたのか、そこで初めて個人情報保護という言葉が使われました。したがって、ヨーロッパの人々がこの言葉を聞いた時に思い浮かべることはホロコーストなのです。一方の日本の人々の感覚では、自宅に見知らぬ会社からセールスの電話があるといった例だと思います。これと同様にCSRという言葉にも大きな認識の違いがあるのです。
 日本の一般的概念では、法令順守のCSR、寄付ボランティアのCSR、環境CSR、そして私が名付けた"豆乳CSR"というものがあります。「体にいい豆乳をどんどんつくって本業に勤しむことが当社のCSR」という企業です。これらの概念はどれも新しいものではなく、いままでにあったものばかりです。日本におけるCSRにはさまざまな意味が含まれているが、つかみどころがないというのが現状でしょう。
 そもそも CSRはヨーロッパで生まれた言葉ですが、その出発点は若年失業の問題でした。当時の政府はこの問題に数々の手を打ってきたがうまくいかない、そこで企業に協力を要請し、社会的責任としてこの問題に取り組んでほしいと頼んだわけです。ここで企業の社会的責任というコンセプトが登場します。つまり、CSRは新しい概念として生まれ、そこに新しい言葉が与えられたのです。ですから、CSRの本来の定義は「社会・環境問題の解決のため、事業の"やり方"を自主的に変えること」です。つまり、事業や活動の結果ではなく、過程の問題なのです。
 豆乳CSRのように、より良い製品をつくることこそCSRというのでは現状肯定になってしまい、CSRによって事業のやり方が変わることも、新しい価値を生むこともありません。企業が真摯に事業を行うことを超えた何かがあるはずだ、それが世界の議論の中心です。

(柳田)

 お話を聞いて、グローバルにおけるCSRの奥深さ、要求の厳しさを改めて認識しました。日立グループでも、グローバル市場に進出していく過程で、人権、労働環境、サプライチェーン、環境といった観点をこれまで以上に意識していく必要があると、2013年度から、細かい人権についての要綱を盛り込んだ「日立グループ人権方針」の策定に着手しました。またそれと同時に、日立製作所策定のものを踏襲してサプライチェーンの『CSR推進ガイドブック』を作成し、チェックシートの導入を全社で進めております。

(藤井)

 日立グループは、日本企業の中では人権に対するフレームワークにおいて非常に先進的だと思います。
 ただ、ひとつ注意していただきたいのは、日本の企業はグローバルに出た時に自国の社会のもつ特殊性に埋没する恐れがあるのです。かつてアメリカの経営学者マイケル・ポータ氏が、日本の電機メーカーが世界でトップになった最大の要因を、世界一品質にうるさい日本の消費者に育てられた点だと指摘しました。つまり、日本企業の強みは、個々のメーカーにあるのではなく、社会的な背景にあるとしたのです。これと逆のことがまさにCSRの分野で起ころうとしています。
 日本の消費者は、品質には世界一敏感だが、人権問題について極端におおらかなのです。ですから、この問題では後手に回ってしまう恐れがあります。御社がグローバル企業となっていく過程では、世界の優秀な人材を集めてそれを率いていくことになります。そのような内在的な要請からも人権問題は非常に重要です。ぜひ、御社には今のペースで人権、サプライチェーンへの取り組みを進めていただきたいと期待しています。

2.中計達成にCSRは貢献できるか

社会課題を解決するビジネスの創出

(藤井)

 “事業を通じた社会課題への貢献”というのは、ご存知のように大変難しいテーマです。
 顧客ニーズと社会課題という異質のものが重なるところが重要なのです。たとえば、プリウスという自動車はその重なる部分にあり、これが理想です。
 企業は顧客ニーズに応えるのが当然であり、それを怠ることはできません。しかし、社会課題は得てして顧客ニーズとは離れたところにあり、これには対応しないとなれば問題は放置されます。ですから、ビジネスを設計する時にどこを出発点にするのかが問題です。社会課題を出発点にしたビジネスと顧客ニーズを出発点にしたビジネス、これらは普通は交わらないが、あえてこれを重ねていく必要があるのです。
 そして、企業がこうしたビジネスを創り出すには、CSR部門だけが社会課題に通じていても不可能です。社員が皆、社会視点をもっていなければなりません。それによって、次のビジネスの出発点が社会課題になるかもしれないし、事業のやり方、人財育成の仕方に社会課題の視点が入るかもしれません。それが重要なのです。あらゆる事業活動にCSRの視点を取り入れる、それはすなわちあらゆる社員がCSR視点をもっていると同義なのです。

(柳田)

 当社は受注型ビジネスが中心ですから、お客様から選ばれなければならない、ということがあります。しかし、選ばれるためにお客様のニーズだけを見ていればよいのかを考えなければいけませんね。
 当社は情報漏えい防止ソリューション「秘文(ひぶん)」や電子黒板「StarBoard」など、情報セキュリティ、多様な働き方、教育水準の向上等に貢献する製品を抱えており、国内外のお客様に提供していますが、社員自らが今以上に社会的視点を明確にもつことが、お客様の社会課題解決に向けたソリューション提案には不可欠だと感じます。
 ここ2、3年、そういう意識をもった若い人財を育てていこうと、社会イノベーション事業体験のワークショップやソーシャルイノベーター育成に取り組んでいます。国の政策や規制等も先取りしながら、中長期的な効果を狙って人財育成を行っていくことが大事だと思っています。

(坂本)

 今、御社が取り組んでいる社会的感度を高めるワークショップはとてもすばらしい取り組みです。これは社会イノベーション創出プロセスにおける「社会的課題の認知」「社会的事業の開発」の領域に取り組んでいることを意味しています。ぜひ続けていただきたいですね。
 柳田さんのおっしゃる受注型ビジネスはお客様に選ばれなければいけない、という点ですが、御社の場合、お客様が提示した課題を解決するというレベルは既に超えているのではないでしょうか。今後は、お客様から必ず選ばれるために、お客様ですら気づいていないニーズを提案していく、そうした勇気が必要だと思います。そのために、全社員の社会的な視点や感度を養うこと、そしてそれを形にしていく幹部社員がいるということが非常に重要になってくると思います。

(藤井)

 そのとおりですね。お客様の会社も皆さんと同様に社会課題やCSRの課題を抱えているのです。そのように視点を変えていけば、自ずと営業の提案内容も変わっていきます。B to Bの企業はお客様と一緒に社会課題に取り組むというのも忘れてはいけないと思います。

(江川)

 当社は、2015年度にグローバル事業比率15%という目標を掲げています。実績では2011年度は4%、2012年度は6%と1.5倍に伸長しており、2013年度はこれを2倍にしていく計画です。つまり、グローバルにおける我々の活動は年々、拡がっているわけです。
 実際にグローバルオペレーションの中で直面するさまざまな規制、例えば、現地雇用や人権の問題、希少資源や紛争鉱物、またその他の調達の問題、公正取引に関わる問題などを見ましても、CSRの要求がますます高まっていると認識します。CSRはグローバル事業において極めて重要なイシューであり、そういう視点をもつことは、我々が日本以外のマーケットや地域で事業をやっていくための最低条件だと感じます。

(藤井)

 海外ではCSRはフューチャー・リレーション・イシューと呼ばれることがあります。CSRの課題に挙げられたものは、かなりの確率で将来の規制になっていくのも事実です。

(坂本)

 常に規制は先取りしてお客様に提案すべきですね。私は、ソリューションは社会を変える"てこ"になると思います。その意味でも情報システムという業態には大きな可能性を感じています。

(野村)

 当社は個人情報保護法が注目されるかなり前からセキュリティ製品の開発を進めており、法律が施行される以前から「秘文」を提供したことで、お客様の課題解決にいち早く貢献できたと自負しています。しかし、セキュリティの問題は法規制に対応すれば良いという一過性のものではなりません。今後も、企業のITはますます変化し、クラウドや多様なデバイスの活用が進めば、情報流出の経路や手段が増えていきます。
 また、海外向けセキュリティ商品「credeon」の提供も始めていますが、海外は日本とは環境もニーズもかなり異なっていて、機能の充実よりもインテグレーションレスで導入でき、シンプルで管理がしやすいものが求められます。今後、グローバルにおいてもセキュリティの課題はますます多様化すると予測しています。
 現在、米国のベンチャーキャピタルとの連携によりベンチャー企業、クラウドベンダーを発掘し社会課題やニーズの吸い上げを開始しました。当社としては、今後も持続的に安全・安心な社会作りに貢献していきたいと考えています。

社会イノベーションを実現する「新結合」

(石下谷)

 社会公共部門は、官公庁、自治体、文教、金融、ヘルスケア、鉄道、電力、通信といったインフラや公共性の高い分野でシステムを提供していますので、他部門に比べると、社員の気持ちの中に、日々自分らの仕事が社会を支えているという自負がある部署だと理解しています。お客様との会話の中でも、社会課題に関わることが話題に上りますから、社内でもその手の話が出ることも少なくはありません。しかし、その一方で、政府の規制やレギュレーションも多い分野ですので、ITプレイヤーだけでは実現できないことも多いという限界も感じています。


<坂本 文武 氏>

(坂本)

 2010年の新会社設立を機に、御社は新しい企業理念を掲げられましたが、私はこれを相当に大胆で、積極的なコミットメントとして受け取っています。15,000名以上の社員すべてがお客様だけでなく、地球社会の発展に貢献する意識をもって仕事をしているとしたら、これは間違いなく全世界的な資源です。
 ただし、ひとつ指摘したいのは、"ダブルバインド"になっていないか、ということです。中計(中期経営計画)を拝見すると、各国の人口や市場規模についての記述が多く見られますが、お客様のニーズに対応して大きな市場を獲りに行けという一方で、社会イノベーションを起こしなさいと言っています。短期の利益と中長期の利益の両方を現場に負わせる、これは現場が最も疲弊するパターンです。イノベーションを起こしなさい、開拓者精神を発揮しなさいと言うのは簡単ですが、イノベーションをどのようにして実現するのか、管理職が自ら考え、企業文化を変えていかないと、起こるものも起こらないのです。
 そして、石下谷本部長もお気づきのように、ITプレイヤーだけでは限界もありますが、他のプレイヤーと連携することで革新的イノベーションを目指すことができます。革新的なイノベーションには「新結合」が必要なのです。それは、これまでのようなグループ会社やソリューションの提携先との連携だけでなく、もっと新しい組み合わせ、つまり、NGO、NPO、行政など、もっと幅広い連携ができるのではないでしょうか。

(増田)

 オープンイノベーションといいますか、お客様はもちろん、セクターが違うところと連携してやっていくということですね。それには非常に共感できます。
 経営学者のドラッカーも企業、行政、NGO、NPOが社会課題解決に一緒に取り組むことがこれからの社会マネジメントだと述べています。
 当社も自らリスクテイクしながら、さまざまなセクターと一緒になって、未来に切り込んでいくことが重要なのですね。

(石下谷)

 当社システムエンジニア(以下SE)が毎日現場で顧客と話しする中で、社会イノベーションに繋がるビジネスの種があるはずです。現場管理職の多くは、種を育成し新事業として育てようと指導する一方で、今期の業績はどうなのだとフォローします。現場の戸惑いの声もあり、ご指摘のダブルバインドとなっています。CSR経営の成否は、現場の管理者一人ひとりに突きつけられた現実課題にあると再認識しました。

(坂本)

 それには、御社が将来の社会をどう描くのかが大切です。イノベーションとは、過去を棄却することを前提としています。社会を変えるということは自らのビジネスモデルを変える覚悟をするということです。これまでの限界をどう超えるかです。
 そして、日立グループのもつ開拓者精神について、もっと社内で具体的な議論をしていくべきですね。

(秋山)

 ここ数年、社内でも社会ビジョンについては熱心に議論をしています。
 将来、PCは激減し、さまざまなデバイスを活用していつでもどこでも仕事ができる世の中になるでしょう。時間や場所の制約がなくなる一方で、ビジネスとしてきちんと情報をとり、管理しなければなりません。そういう場面を想定し、我々のプロダクトの足りないところを補完し、新しい社会をつくっていきたいと取り組みを始めたところです。
 また、その過程で、今の日本のIT環境は世界でも特殊なため、世界中とつながるためにはアメリカやヨーロッパの会社と一緒に事業推進しなければならないと、まさしく新しい連携も始めました。当社の強みであるシステム開発にだけ頼るのではなく、サービスやその他のさまざまな事業を取り込み、新しいパートナーと組んでビジネスにしていく取り組みを始めようとしています。
 当社の最大の強みは、ひとつのビジネスを必ずやり遂げ、持続的に取り組んでいく力です。今後も、常に謙虚な気持ちで、社員一人ひとりの社会的視点を養い、お客様と地球社会の両方への貢献に継続して取り組んでいきたいと思います。

3.ステークホルダー・ダイアログを終えて

取締役社長 佐久間 嘉一郎

 今回のステークホルダー・ダイアログでは藤井様、坂本様から、グローバル展開を加速しなければならない当社にとって、大変示唆に富む多くの提言をいただきました。厚く御礼申し上げます。当社は様々な分野で幅広い事業を展開しており、そうした意味で多様なステークホルダーの皆様との対話は、当社のCSR経営を改善し、前進させる上で極めて重要だと感じております。
 今後のグローバルビジネスにおいては、世界の社会課題を意識した事業活動が必要であるとの認識を新たにしました。そのためにも、社会性感度の高い人財を育成する企業文化を醸成し、企業理念にあります通り地球社会の発展に貢献してまいります。

企業情報

CSR報告書
(ダイジェスト版)

CSR報告書

「日立ソリューションズCSR報告書2014」をPDFファイルでご覧いただけます。


CSRレポート 社会・環境報告書 請求サービス エコほっとライン

日立ソリューションズのご紹介
日立ソリューションズは、オンプレミス・クラウド連携を始めとする豊富なソリューションを、お客様の全体最適の視点で組み合わせ、ワンストップで提供する『ハイブリッド インテグレーション』を実現します。