株式会社肥後銀行様 活文 File Server Optimizerの導入事例やシステム構築例を紹介|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズにお問い合わせください。

活文 File Server Optimizerの導入事例

株式会社肥後銀行様

※「MEANS」は「活文 File Server Optimizer」に名称が変わりました。本事例内容は公開当時のものです。

プライベートクラウドの新基盤にも対応可能なファイルサーバシステムを構築。

2001年から、シンクライアントを中心に情報系システムのターミナルサービス環境を整えてきた肥後銀行。IT活用による風土改革・構造改革を目標に掲げ、その一つとして、紙ベース情報の電子化を進めてきました。そして2011年、クライアント環境の再整備に先駆け、数量、容量ともにかなりの増加が見込まれるファイルへの対応力強化のために「MEANS ファイルサーバスリム化ソリューション」を導入しました。

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従来からの課題

増強の繰り返しで対応してきたファイルサーバに限界、新基盤への移行。

村上 晋 氏システム部 情報系システムグループ 副調査役
村上 晋 氏

肥後銀行では、2001年から情報系システムのターミナルサービス環境を整え、サーバベースドコンピューティング(SBC)を追求してきました。その目的は、分散されたパソコンをベースにしたシステムでは難しい、システム基盤の標準化と統制、信頼性とセキュリティの確保でした。「そのために、プログラムもデータもセンター側に集中させて管理運営するという、仮想化の先駆けのようなことを進めてきました。」(村上氏)

しかし、システム導入の数年後には現在に通じる課題が発生していたといいます。「すべてのプログラム、データをセンターのサーバに保存するため、膨大な量のファイルが溜まることになります。サーバが容量の限界に近づくと、その都度利用者にファイルの整理をお願いし、それでも耐えきれなくなるとサーバを増強する、ということを繰り返してきました。」(村上氏)

加えて、さらなるIT化を促進する経営方針から、紙ベースから電子ベースへ業務スタイルの変革が進められてきました。
こうして、サーバに蓄積されるファイル数が増加したうえ、最近はPDF化や画像添付などによってファイル一つひとつの容量も大きくなり、サーバの負荷はますます増大していきました。
「今後も確実に増加するファイルに対して、その都度サーバを増強するのではなく、課題を根本的にクリアする方法はないだろうか。それは常に頭の中にありました。」(村上氏)

その解決策実施のきっかけとなったのは、2012年のターミナルサービス環境の再構築でした。サーバ、OSの更改とともに全面的に仮想化を導入して新基盤を構築するにあたり、ファイルのライフサイクルを通じて保存や削除を総合的にコントロールできる体制が必要だったのです。そしてもう一つ、ファイル削減の必要性を高めていたのが、2015年に完成が予定されている新本店の建て替えでした。「新本店が完成するまで仮本店へ移転するのですが、物理的なスペースの制約から、これまで溜まっていた文書の電子化と、不要なファイルの削減が急がれていました。」(桐原氏)

こうして、長年の課題であったファイル管理の新体制構築のために、ファイルサーバのスリム化をサポートするツールが検討されることになりました。

製品選定の流れ

ファイルの移動後にショートカットを残すオプション機能が決め手に。

桐原 健寿 氏システム部 システム企画グループ 企画役代理
桐原 健寿 氏

「新しいファイルが作成されてから、最終的に不要となって廃棄されるまで、情報のライフサイクル全体をコントロールしたいというのが、今回のシステムのポリシー。それらを、コスト的に効率よく、利用者に作業の負荷をかけずに実現するには、どのようなツールが有効なのか。そこから製品の選定が始まりました。」(村上氏)

ただし、検討が始まった当初は、MEANSの評価はあまり高くなかったといいます。
「利用者に不要なファイルを削除するよう依頼しても、証拠物の確保などの理由からなかなか消せない。また、検索などの機能があっても、積極的に使って整理する時間や動機付けがない。だからといって、すべてを自動的にファイルサーバから長期保存用サーバに移動してしまうと、業務上困ってしまう。それらを総合的に考えると、各社の製品ともに"帯に短し、タスキに長し"という状態でした。」(村上氏)

システムイメージ図

そのような中で選定のポイントとなったのは、肥後銀行の要望に応えてオプションとして追加した"ファイルを自動的に移動したあと、元のフォルダにショートカットを残す"という機能でした。この機能によって、ファイルサーバから長期保存用サーバへ移動したファイルが再度必要になった際に、ショートカットですぐにピックアップできるようになりました。つまり、利用者の作業環境は今までと変わらず、ファイルサーバの負担だけが減っているという「私たちが求めていたイメージ」(村上氏)が実現することになりました。

こうして、サーバの負荷軽減とファイルの再利用の両立が可能になったことで、そのほかのMEANSのきめ細かな機能も他社製品にないメリットと考えられるようになり、選定につながったといいます。

導入時の取り組み

開発部隊との連携で問題をクリア。国内メーカーならではの対応に納得。

導入決定から稼働開始までは約4か月。その期限の背景には、ターミナルサービス環境のサーバ移行に先行してMEANSと新しいファイルサーバを稼働させ、ファイルの増加という状況にも耐えられる体制をつくっておきたいという要望がありました。

その間には、新しく導入されるファイルサーバのアクセス方式への対応、既存システムと齟齬(そご)が起きないようにするための調整など、MEANSの機能面でクリアすべき問題も多かったといいます。

「私たちのオーダーに対して、非常に迅速に、しかもきめ細かく対応してもらいました。特に、こちらの声が開発部隊まで届きやすいという点は、国内メーカーである日立さんを選んだメリットが大きかったと思っています。」(村上氏)

こうしたやり取りは、実際の利用環境からのフィードバックとして、MEANSの機能向上にもさまざまな効果をもたらしました。そして、目標としていた開発期間内ですべての課題をクリアし、予定どおりに稼働開始を迎えることができました。

導入後の効果

自動的なファイル移動でサーバの負荷を軽減。分析ツールとしても効果が。

2011年12月、ターミナルサービス環境の再構築に先駆けて、MEANSを導入したファイルサーバシステムが稼働しました。

「現在はまだ導入初期なので、システム側でファイルを長期保存サーバへ移動している状態です。この2月に実施したファイル移動では、約120ギガのデータをファイルサーバから削減できました。これは、全体容量の約2割、データ数で約3割を減らせたことになります。これによって、バックアップ時間も短縮できました。当面は半年に1回、自動的にファイルを移動する予定で、その後は削減効果などを確認しつつ、そのサイクルを決めていきます。また、将来的にはルールに沿って個人が削除できるよう浸透させていきたいと考えています。」(桐原氏)

MEANSの導入には、ファイルの削減のほかに、サーバに蓄積していたファイルの状態を分析するツールとしての効果もあったといいます。例えば、各ファイルの文書形態や容量、アクセスの有無などを把握できたことが、2012年5月のターミナルサーバ移行のときに役立ったとのこと。いずれも、現段階ではシステムを管理する側のツールとして活用されているMEANSの導入効果といえます。

「今回の導入で、求めていたファイルサーバの体制が構築できました。これによって、本部各部からのペーパーレス化への要望に対しても、ファイルサーバに余裕がないという理由で躊躇する必要がなくなりました。」(桐原氏)

「実は、この5月に利用者のマイドキュメントを廃止しました。これは、ファイルは個人のものではなく銀行の大切な共有財産であるという考えにもとづくものですが、その受け皿になったのもファイルサーバです。2,000人以上の合計約70ギガのファイルをすべて移行しました。今のところは、これが利用者に見えている唯一の変化かもしれません。」(村上氏)

今後の展望

ルールの確立と個人による削除の浸透で、より大きな効果を期待。

現在のMEANSは裏方で稼働している状態で、ファイルを移動しても利用者から見える部分は変わっていません。
「ただ、稼働からすでに半年以上が過ぎても、苦情や困ったという声が一つも聞こえてこないのは、利用者である行員にインパクトを与えずに環境を移行できたということではないでしょうか。システムの運営側からするとたいへんよい結果だと満足しています。」(村上氏)

「そのうえで今後は、個人が電子データの削除ルールに沿って削除していくように展開していく予定です。そのときこそMEANSが表舞台に登場するときで、その多彩な機能が活かされるときであると考えています。ただ、ルールを決めるにしても、今のワークスタイルにそのままあてはめようとは考えていません。新しいシステム環境に沿って、ワークスタイルも見直していく予定です。そうすることによって、電子ベースの新しいワークスタイルの確立につながっていくと考えています。」(桐原氏)

「今後、利用者一人ひとりがMEANSに接するようになったとき、いろいろな声が出てくる可能性があります。日立さんには、それらの要望へのきめ細かな対応を期待しています。また、銀行以外の業種ではどのようなアーカイブシステムを導入しているかなど、幅広い経験をいかした情報提供パートナーとしても、大きな期待を寄せています。」(村上氏)

株式会社肥後銀行

肥後銀行は、1925年に「肥後協同銀行」として設立。その後1928年に「肥後銀行」に商号を変更し、80年以上にわたり熊本県を中心とした地域社会と経済の発展を支えてきました。2015年には、現在の本店所在地に新本店ビルが完成する予定。「お客様第一主義」の企業理念のもと、2011年の九州新幹線全線開通や2012年の熊本市の政令指定都市移行を機に活性化する地域社会へのさらなる貢献をめざしています。

本店所在地 熊本市中央区練兵町1番地 株式会社肥後銀行
創立 1925(大正14)年7月25日
代表者 取締役頭取 甲斐隆博(代表取締役)
従業員数 2,276人 (平成24年3月31日現在)
事業内容 銀行業
URL http://www.higobank.co.jp/

私たちが担当しました

先進技術を逸早く取り入れ、運用方法を工夫して次々と自社業務にフィットしたシステム化を推進している肥後銀行様。このような、同業企業のシステム化のモデルとなっている肥後銀行様にMEANSを導入いただけたことは、私たちの大きな自信になりました。
今回、MEANSを導入いただいたことで、アクセス頻度の低いファイルの2次ディスクへの物理的分割が可能となりました。今後は、個々の利用者に不要ファイルの削除を促すための削除ポリシーの策定、納得感をもって削除を進めるためのファイルへの保管期間の設定方法などを、肥後銀行様とともに取り組んでいき、パッケージの提供機能にとどまらない、一歩進んだシステムを実現していく所存です。

株式会社日立ソリューションズ
 金融ソリューション本部第3部 グループマネージャ  内田 秀昭
 金融ソリューション本部第3部  主任 谷川 寛孝
 コンテンツソリューション本部 スマートオフィスソリューション部  主任 土井 聡
 全国営業本部 九州支店 金融グループ  妹尾 聡士

(本システムは、 日立ソリューションズがMEANSとそれに関わる技術を提供し、日立製作所が構築しました。)

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本事例の内容は2012年8月31日公開当時のものです。

最終更新日:2012年8月31日