株式会社ファンケル・株式会社ファンケル健康院様 匿名化情報管理サービス 匿名バンクの導入事例紹介|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューション...
匿名化情報管理サービス 匿名バンク 導入事例
日本人の2人に1人が日常的に摂取しているといわれるサプリメント(健康・栄養補助食品)。 サプリメントメーカ大手のファンケルでは、従来のサプリメント事業を一歩進めて、遺伝子検査や各種検査などをもとにした予防医療を提案したり、ユーザ一人ひとりが不足する栄養素や摂取すべき有効成分をカプセルに配合した、あなただけの特別のサプリメントを提供する新事業に乗り出した。個人情報が鍵を握るだけに、その管理には徹底を期す。日立ソフトの匿名化情報管理サービス『匿名バンク』を積極的に活用している。

「病気を治すには病院に行けばよい。しかし、病気というほどではないけれど、何となく体調が悪いという“未病”の人のための健康管理施設は、実はこれまで存在していませんでした。人々が健康であり続けるための予防医療サービスをトータルで提供するのが、私たちの“ファンケル健康院”なのです」

株式会社ファンケル健康院
取締役
鈴木 幸治 氏
と言うのは、2009年6月に発足したファンケルのグループ会社「ファンケル健康院」の鈴木幸治取締役だ。8月には銀座に第1号施設「ファンケル健康院」を開院し、今後、全国の主要都市に展開する予定だ。
健康院の大きな目的は、その人に合ったサプリメントをきちんとした理論のもとに正しく提供すること。従来、サプリメントの利用者はドラッグストアや専門店の棚に並ぶ商品を自分の判断で選ぶしかなかった。その種類や量が自分のからだにとって最適なのかどうか、素人判断では不安が残っていた。
健康院は会員制サービス。会員になると、62項目に及ぶ遺伝子検査や血液検査をはじめ、からだ年齢、血管年齢などの検査や測定を通して、将来の体質や疾病リスクを分析してもらえる。
さらに日頃の食生活や運動などの生活習慣を考慮した上で、一人ひとりにあった最適なサプリメントの提供とアドバイスも受けることができる。カウンセリングには、管理栄養士や薬剤師など専門家があたり、現在飲んでいる薬との飲み合わせもチェックされる。サプリメントや生活面の指導だけでは十分ではないと思う会員には、提携のクリニックで、キレーション点滴や血液クレンジングなどアンチエイジング医療も提供される。
「これからのサプリメントは、オーダーメイドの時代。個人の健康データに基づいて、必要な成分を必要な量だけ提供することが大切で、私たちはこれを“オンリーユーサプリメント”と呼んでいます。健康院では、検査とカウンセリングの結果から、不足する栄養素や摂取すべき有効成分をカプセルに配合した特別のサプリメントを提供するサービスを行っていきます。」(鈴木取締役)。
会員メニューは複数用意されており、カウンセリングと1カ月分のオンリーユーサプリメントがセットになったコースが3万円から、遺伝子検査が10万円からなど。現状は健康管理に比較的意識の高い方々向けのサービスと言えますが、「将来はもっと安価にして普及を図り、国民の健康増進、医療費削減に貢献できるようなものにしたい」と、鈴木取締役は抱負を語る。病気になる前に、まずは“ファンケル健康院”でカウンセリングや検査を受けるというのが、近未来の健康管理の姿になるかもしれない。
こうしたオーダーメイドサービスを実現するためには、避けては通れない課題があった。
扱う対象が、極めて守秘性の高い会員固有の個人情報だということだ。氏名・住所・連絡先などの一般的な個人情報はもちろんだが、それ以上に、体重や血圧、遺伝子情報などは、取り扱いにより高レベルのセキュリティが求められるセンシティブ(機微)情報である。この機微情報を、住所・氏名などの個人情報と完全に分離することで、情報管理の徹底を図ることが必要だ。
「個人情報と機微情報を分離しなければならないが、そうしながらもお客様に高度なサービスを提供するためにはどうすればよいか。これはプロジェクトが立ちあがってからすぐに私たちの課題になりました」
と、2008年10月のプロジェクト・スタート期を振り返るのは、ファンケル・コーポレートシステムグループの吉田響子氏だ。プロジェクトのキックオフ会議には日立ソフトも出席し、『秘文』『静紋』などこれまでのセキュリティ製品の実績や、その後、『匿名バンク』としてリリースされることになる新たなセキュリティサービスの説明を行った。
「機微情報の取扱いについて深い知識を持っている会社だな」というのが、プロジェクトメンバ全員の感想。『匿名バンク』については最初の利用事業者ではあったが、「当事業の個人情報ガイドラインに対応するための技術が構築されていたため」(吉田氏)、迷うことなく採用に至ったという。

株式会社ファンケル
システム・業務改革ユニット
コーポレートシステムグループ
吉田 響子氏
2009年3月に正式リリースされた『匿名バンク』は、個人情報を取り扱う事業者に対し、機微情報を活用したビジネスを、 安全・安心に行うための基盤を提供するサービスだ。
まずは、個人やお客様のさまざまな情報を、個人が特定できない状態にして管理することを目的としている。
ファンケル健康院のケースでいえば、氏名・住所・メールアドレスなど個人を特定できる情報はファンケル側で管理するものの、体重、血圧、遺伝子情報、購買履歴などの個人ごとの機微情報は匿名化され、日立ソフトが管理する。個人特定情報と機微情報が論理的にも物理的にも、分離されるのだ。
機微情報を一つ取り出し、たとえ遺伝子情報がわかったとしても、それは単なる文字の羅列であり、誰のものかはわからない。逆に、健康院の側でも、特定のお客様の体重や血圧を知りたくても、そのデータは自社内には置かれておらず、一切参照できない仕組みになっている。
もちろん実際のお客様サービスのシーンでは、お客様に合わせたオンリーユーサプリメントの提案など、二つの情報を紐づけながら、パーソナルサービスを行う必要がある。二つの情報を結びつけるのは、会員が持つIDカードだ。
「会員カードの表に健康院ID、裏に診察券IDが記されています。前者のIDで氏名などの個人情報を管理し、診察券IDでは機微情報を管理しています。カード提示者がお客様本人であることが確認され且つお客様自身しか知りえないパスワード入力をもって、お客様の機微情報が表示され、機微情報に基づいたさまざまなサービスをご利用いただけるようになっています」(吉田氏)
機微情報を利用したサービスを行う際でも二つの情報は完全に分離される。このように、必要な情報と個人を特定できない形式でお客様の同意を得た情報のみが、同意を得ている間のみ事業者に提供されるという情報制御の仕組み。これこそが、『匿名バンク』サービスの最大のセールスポイントなのだ。
「この仕組みによって初めて、私たち事業者の側が、個人情報漏洩のリスクを負うことなく、パーソナルサービスを提供できるようになりました。現場での使い勝手もシンプルで、よく考えられていると思います」(鈴木取締役)と、ファンケル健康院側の評価は上々だ。
「システム的には情報漏洩の可能性はゼロ。あるとすれば、悪意をもった人間による故意の操作という人的リスクであるが、これについても高レベルな対応ができた」(吉田氏)というほど、『匿名バンク』への信頼も高い。
『匿名バンク』は、日立ソフトのクラウド・サービスSecureOnline上で構築されている。今回、匿名化情報管理技術を確立することで、これまでクラウド・サービスのウィークポイントの一つと受け止められていた情報セキュリティの懸念を払拭することができた。また、サーバ資源の増減も容易、かつ「SaaS提供」ができるため低コストで利用できるなど、クラウド・コンピューティングの利点も最大限に活かされている。
ファンケルでも、健康院は新規事業であるため、システム・リソースにどれだけの負荷がかかるか、当初は予測できなかった。また、機微情報の管理システムをすべて自前で構築するだけの、十分な時間も確保されていなかった。
「『匿名バンク』は、サーバ資源を当方が所有せずに利用することができるので、所有リスクをあらかじめ回避できます。また、機微情報管理の仕組みができているので、短期間でのリリースも可能。事業スピードとセキュリティの両方を同時に満たすという点で、今回の事業にはフィットしたサービスでした」と、吉田氏はクラウドの利点をあらためて実感している。
『匿名バンク』がめざすのは、単に機微情報の分離によるセキュリティの向上だけではない。個人情報を分離して管理することができるようになったため、個人ごとの匿名化された情報のみを統一化することにより、さまざまなサービス同士を連携させることが可能になる。

健康分野では、体重や血圧などの健康情報を、個人が事業者に提供し、遠隔健康指導サービスを受けるなど、医療サービスと非医療のサービスの結合がまず考えられる。
すでにゲームソフトの分野ではこうした個人データ利用の健康指導システムがスタートしている。任天堂の「Wii」用ソフト「WiiFit」で測定したデータを利用する「WiiFitからだチェックチャンネル」(日立製作所、日立ソフトの共同開発)がそれだ。データを日立ソフトの匿名化データセンタに送ることで、個人ごとの情報を匿名化したまま利用者と指導者がコミュニケーションを行い、より効果的な健康指導を受けることができる。
せっかくの個人情報を収集・提供しながらも、それを十分に活用しないのでは、事業者側にとっても、個人の側にとっても非効率というべきだろう。これまでは事業展開の最大のネックは、機微情報を含めた個人まるごとの情報漏洩リスクだったが、それがシステム的にクリアされるとなれば、健康分野だけでなく、他の業種でもさまざまな利用法が考えられていくはずだ。
ファンケルでは、将来的には病院や遺伝子検査会社とのより密接な連携を通して、健康院のサービスをよりパーソナル化、カスタマイズ化していく予定である。
これからのビジネスの鍵を握る個人情報。安全・安心をキープしたうえでの有効活用が望まれている。
本事例の内容は公開当時のものです。本事例に関するご不明点・ご要望等ございましたら、日立ソリューションズまでお問い合わせください。

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