流通マーケット最前線|小売業の将来を左右するのは物流|流通ニュース編集部


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第4回:小売業の将来を左右するのは物流

 小売業が業績を拡大する方法には、大きく分けて店舗の拡大と業態を広げる手法がある。
販促費を増やして、チラシ・TVなどのコマーシャルを増やすというのもあるが、投資対効果という点では、店舗を増やすのが一番早い。

 できれば、ライバルがいない、ライバルがいても少し違う業態で店舗展開をすることで、新たなマーケットを開拓し、拡大をすることが重要だ。ところが、ある程度の規模になると、店舗展開に大きな問題が発生する。

小売業にとって物流が重要な理由

 商品を店舗ごとに品切れせずに、適切に供給するきめ細かな対応が、独自に必要になってくる。店舗数が少ない時代は、仕入れ先から商品群ごとに納品させているのだが、あるエリアで数十店舗以上店となると、商品群ごとに大手卸での一括納品に移行が始まりだす。

 一番の理由は、店舗側に一時保管するなどストックエリアなどのバックヤードが少なく、食品では生鮮、日配品などの賞味期限などの商品を品切れなく供給するには、物流センターなどとのデータ連携による管理、商品供給を効率的に行うことは必須だからだ。

 特に、店内での商品陳列の時間を短縮し、顧客の購買機会をいかに損なわずに店舗運営を行う必要があるため、陳列棚ごとのカーゴ台車による商品供給などは、きめ細かな管理を物流センターの出荷段階で行うことで、店頭作業の軽減、高鮮度の商品供給が、他社との差別化の基本となっている。

 20~30年ぐらい前から始まったイオンなどの大手小売業による特定のエリアに集中して店舗展開する「ドミナント形式」による出店は、実は物流センターを整備したうえで、行われていた。これは、ウォルマートなど世界市場での常套手段であり、商品供給を小売り側でイニシアティブを取ることで、店舗に安定した商品供給、仕入れ先への大型発注による仕入れ価格の低減を行うための重要な経営戦略となっている。

 この仕組みで成功したのが日本ではコンビニエンスストアだ。店頭のバックヤードがないため、店頭に置く商品だけを納品する。1日に4回から8回といった頻度の納品によって、鮮度の向上、時間帯によって売れる商品の供給といった、詳細なデータ管理のよる発注、品切れを低減する重要なインフラとして機能することになった。これが、中堅の小売業でも積極的に導入されることになった。

具体例

 具体例を見ると、和歌山県を中心に近畿・東海に食品スーパーを展開するオークワ(2012年2月期売上高3005億円)は、2013年を目途に東海エリアに物流センターを新設すると公表している。同社では、近畿圏などに物流センター4か所、食品工場4か所、加工センター3か所を設けているが、愛知県と岐阜県の店舗拡大強化のため、在庫型センターと水産、畜産のプロセスセンターを併設した施設を計画している。

 マルエツでは、スーパーマーケットのインフラをゼロベースで再構築し、経営効率を高めるため、2010年6月に横浜常温物流センター(神奈川県)、8月に八潮常温物流センター(埼玉県)、9月に川崎複合センター(神奈川県)を開設。2012年5月に小型店用の物流機能も併設した新たな低温・加工センターである三郷複合センターが稼働し、川崎複合センターと併せ、センターを活用した店舗作業の軽減化と店舗運営組織体制の見直し等を図り、生産性の改善に取り組んでいる。

 中四国でスーパーを展開するハローズでは2012年10月、四国に低温物流センターを稼働させる。四国での店舗拡大を目的に、通貨型の通過型センターとして設け、店舗に1日3便で供給する。入荷車両の減少、荷受け作業の軽減、EOS・EDI比率の向上による事務処理コスト削減や、広島・岡山店舗と同条件でのオペレーションの標準化などを見込んでいる。

ネットスーパーの課題

 しかし、こういった物流はあくまで店舗への搬入の話であって、現在、急速に増えているのが各店舗でのネットスーパーだ。もともと、持ち帰りを代行して配送するサービスは各社とも実施していた。この数年、ネットの浸透普及により、店舗で配布するチラシなどをメインにネットで注文するネットスーパーが、各小売業とも取り込んでいる。高齢者での利用なども危ぶまれたが、実際には、利用者層とエリアを拡大している。

 この分野の物流は、顧客への配送なので、商品のピッキングを店頭で行っているところもあるが、何店舗化分を物流センターで対応するなど、様々だ。配送についても、きめ細かな配送を行うため毎日6便で配送しているところもある。一方で、宅配業者に全面的に委託して業務の軽減を進めているところもある。この仕組みは、よく考えてみると、昔の御用聞きの世界をネットに変えたものであって、小売業にとっては、かなり基本的なサービスの在り方だ。

 ここで気になるのが、ネット利用と実店舗の連携をいかにうまくとり、効率的で利用者も利便性を感じてくれるかにある。それについては、物流面での収支も含めて、まだ発展途上中といった感は否めない。

 今後の小売業の生き残り競争は、まだまだかもしれない。過当競争とは言われるものの、中堅の小売業の店舗展開は、以前よりはスピードは鈍くなっているかもしれないが、店舗の大型化、業態の拡大、エリア拡大は進んでいる。都市部でのミニスーパーの出店も衰えない。様々なチャレンジが、まだまだ続くと思ってもおかしくないのが現状だ。そのチャレンジが、新たな企業・業態の成長を生み出すものと流通ニュースでも、期待している。

(2013年3月21日更新)

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連載目次

流通マーケット最前線一覧

第1回:エキナカは、活況

第2回:小売は、世界を目指す

第3回:家電量販店は、どこへ行く

第4回:小売業の将来を左右するのは物流



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