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特集・コラム

第1回 オムニチャネル大作戦 第1回 オムニチャネル大作戦

 小売業にとってネット活用は切っても切れない関係になっている。どんな店であれ、お客への情報発信を従来の店頭、新聞チラシ、CMで賄うことは、すでにできなくなっている。いかにネットの活用をうまく使いこなすかは、小売業の経営戦略にとって重要な課題だ。そこに登場したのが「オムニチャネル」という言葉であり戦略だ。

 オムニチャネルは、「すべての(オムニ)顧客接点(チャネル)」という意味だが、O2O「Offline to Online(リアルからネットへの誘引)」と合わせて、大手小売業の重要戦略として、使用されるようになった。

 では、具体的にはどういった内容だろうか。

セブン&アイ

 セブン&アイホールディングスにおける、オムニチャネル戦略は、2014年に本格的な事業展開が始まっている。売上高6兆円といった大規模な小売業グループとなっている同社では、セブン-イレブン、イトーヨーカ堂、そごう・西武、ロフト、赤ちゃん本舗といったラインナップに、ネット専門のセブンネットショッピングが展開されている。

 各業態で行われているネットでの利用もセブンネットショッピングを中心とした事業体系に進んでいたが、2013年末に通販専門会社のニッセンをグループ化したことで、加速されることになり、2015年2月期の通信販売事業の売上高は1968億円を見込んでいる。

 ネットに対する販売チャネルの充実を図るように見えるが、実は売り上げの中ではなく、ネットを活用して、様々なネット系の窓口からの流入を増やし、販売チャネル、情報提供チャネルの連携をすることで、グループでの相乗的な効果を上げる戦略として取り組んでいる。

 2013年9月にオムニチャネルに関してアメリカでの実情視察を行い、同年10月にはオムニチャネル推進プロジェクトを外部専門家も交えて発足した。

 2020年における様々な家庭を想定して、24時間、どこにいても買物ができ、都合の良い時間や場所で商品を受け取るサービスを享受できる、そういったイメージを実現する戦略としてとらえている。

 2013年12月から、広島では「そごう・西武」の商品をネットで注文し、近くのセブン-イレブンで受け取る事業会社間の連携テストを着手し、2015年には、リアル店舗とも連携して、さまざまなテストが開始される予定という。

 組織面でもセブン-イレブン、イトーヨーカ堂、そごう・西武などにオムニチャネルの推進部門を相次いで新設している。

 「オムニチャネル時代への挑戦」をテーマに、新しいマーケットの創造を図るとして、お客がいつでも、どこでも、あらゆる商品・サービスを利用できるという、新しい小売環境を作り出す取組みを推進する戦略を進めるとともに、オムニチャネル戦略は、グループの『成長の第2ステージ』を牽引する、大きなシナジーを実現する戦略として位置づけている。

イオンは、積極的にスマホアプリを活用

 イオンでは、ネットについて、各社で行っていた展開を総合ポータルサイト「イオンスクエア」を開設し、ネットスーパーの全国展開等、基盤構築に努めた。

 「コト・モノ・ネット イオンのオムニチャネル」をテーマに、Eコマース事業の確立に加えて、マルチフォーマットで日本全国に店舗網を持つグループの強みを活かしたオムニチャネル戦略を加速し、2013年12月にオープンした「イオン幕張新都心店」からオムニチャネルをスタートさせた。

 ワイン売場の店頭での品揃えは800種類だが、スマートフォンから「スマホ DE リカー」アプリにより、ネットサイト「AEON de WINE」から、約3000種類のワインを選択、購入できる。

 イオン幕張新都心店では、「イオンWi-Fi」を活用した各種サービスがすでに始まり、全国のGMS、SMなどグループ各店に順次展開する。

 商品のPOP等にかざすだけでレシピが表示される「撮って!インフォ」、WAONの買物・チャージ履歴紹介やポイント残高の確認などを行う「WAONサービスアプリ」も開始している。

 タブレット端末「A touch Ru*Run」を設けて、店舗に品揃えしていない商品の取り寄せ、店頭受け取りができる「タッチ・ゲット」サービスを、リカー、ホームファッション、ベビー用品から開始している。
 イオン幕張新都心店を皮切りに、システムや物流のグループ機能を活用し、順次GMS約500店舗で展開する計画だ。

 2016年度までにマックスバリュなどのSM約1100店舗、ミニストップ、まいばすけっと約2500店舗で注文商品の受け取りが可能となる。

 2014年2月にはデジタルシフト、オムニチャネル化の加速 として、イオンリテールでは社長直轄下に、オムニチャネル推進本部を新設し、ネット推進部も移管し、ネットスーパー、デジタルサイネージ、タッチゲット事業等のデジタル・ネット関連組織を一体化し、「デジタルシフト」、「オムニチャネル化」をさらに加速する体制を整えた。

 このように、大手2グループにおける展開は、様々な店舗とネットを活用して、幅広い商品力と店舗力を生かした手法を取組み始め、今後の新たな販売方法、手法の誕生を大いに期待したいところだ。

オムニチャネルの課題

 では、消費者側からオムニチャネルの価値を考えてみると、商品を探す、価格を比較するといった商品購入時の重要なポイントとすれば、ネットの世界では同一グループ内で探す必然性は弱い。

 しかし、大手小売業グループでは、企業への信頼、商品ブランド、決済の利便性、宅配精度レベル、カードやポイントなどのメリットなどがあげられる。

 例えば、店頭である商品を購入するかを検討しているときに、ネットで比較する信頼の高いアプリ、サイトがあれば、その店にしかないという商品以外は、問題なく価格の安い方を優先されるといっていいだろう。

 すぐに必要だというのなら別だが、自分が手にすることができる信頼性のあるサイト、購入経験のあるサイトであれば、あとはその買う店はリアルとネットの差は、届けてもらえるその手間がかかるか、かからないかといった部分だけだ。

 だからネット利用の浸透が、オムニチャネル戦略展開を進める大手小売業ほど、グループ内で買わなければ、そのブランド・商品が買えないという囲い込みができる場合は、価値を持つ。

 例えば、生鮮食品、PB商品、グループ内のブランド、アパレルなどの実際に手を取ってみなければ買いにくい商品については、様々な店頭が数多くある組織化されているところほど、オムニチャネルの価値を享受しやすい環境にある。

 一方で、特定の商品分野を一元に管理できる仕組みがあれば、意外にオムニチャネルは驚きの展開の可能性を持っている。

 セレクトショップ的なものをリアルとネットで統合することで、独特な世界を作り上げているZOZOTOWNを展開するスタートトゥデイが、その典型だ。

 スタートトゥデイの新サービス「WEAR」は、商品のバーコードを読み取ることでどこでも注文、シェアができるとして、注目されたが、店舗のショールーミング化の懸念から、店舗側だけが、その機能を使えるようにシステムを制限した。

 価格.com、食べログ、ちらし比較サイトなど商品比較、評価などを連動したサイトは、確実にアクセスを増やし、一般消費者の囲い込みは、急速に進んでいる。

 そういう流れをみると、オムニチャネルというのは、あくまでリアル店舗を相乗的に使う観点での方法論かもしれないが、かなり早い時点で、商品分野で切り分けされてしまう戦略かもしれない。

 ネットの世界は、速い。特異な情報発信を広げるには、従来にないスピードと手法で、拡大が考えられるが、実際の利用となると、使う使わないの判断も早い。いつまでも同じ手法に固執していても利用されなければ、消えていくしかない。

 今の時代、どこにでも手に入らないものがない状況が出現しているのなら、逆にどこにもない、ここだけの商品・サービスを手にする手法がオムニチャネルとして重要なのかもしれない。

(2014年5月21日更新)

(参考)
■セブンネットの買い物をセブン-イレブン、イトーヨーカ堂で受取り

http://www.7netshopping.jp/all/static/pr_delivery_20111001.html#sej

■イオンのショッピングポータルサイト「イオンスクエア」

http://www.aeonsquare.net/

■WEAR

https://wear.jp/

流通ニュース

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