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特集・コラム

第4回 急成長するドラッグストア市場 第4回 急成長するドラッグストア市場

ドラッグストアの現状

 日本標準産業分類によると、ドラッグストアは、医薬品・化粧品小売業の4分類の1つで、分類コードは6031となっている。事業内容は「主に医薬品、化粧品を中心とした健康、美容に関する各種の商品を中心として、家庭用品、加工食品などの最寄り品をセルフサービス方式によって小売する事業所」と説明している。
 他の3分類は、調剤薬局、医薬品小売業(いわゆる薬局)、化粧品小売業である。

 チェーンドラッグストア協会は15年前に組織化され、医薬品販売については、販売登録員制度の導入、医薬品のネット販売、ドラッグストア市場の急速な拡大等、相次いで社会的な注目を浴びている。

 チェーンドラッグストア協会の会員(164社)の総売上高は5兆円規模である。薬局から販売商品を増やし、チェーン化による各社の旺盛な店舗展開、M&Aなど、積極的な事業展開が続いている。

 年商のトップ10に入るチェーンは、マツモトキヨシホールディングス(年商4953億円)、サンドラッグ(4478億円)、ツルハホールディングス(3884億円)、コスモス薬品(3718億円)、スギホールディングス(3652億円)、ココカラファイン(3493億円)、ウエルシアホールディングス(3343億円)、カワチ薬品(2426億円)、クリエイト エス・ディー(1974億円)、アインファーマシーズ(1702億円)となっている。

 このうち上位5社の3か年の業績動向をグラフで見てみよう。

マツモトキヨシホールディングス

(※有価証券報告書、決算短信より筆者作成)

マツモトキヨシホールディングス

サンドラッグ

(※有価証券報告書、決算短信より筆者作成)

サンドラッグ

ツルハホールディングス

(※有価証券報告書、決算短信より筆者作成)

ツルハホールディングス

コスモス薬品

(※有価証券報告書、決算短信より筆者作成)

コスモス薬品

スギホールディングス

(※有価証券報告書、決算短信より筆者作成)

スギホールディングス

 上位5社とも3期連続で増収を続けており、他の小売業では見られないような伸びを各社とも堅持している。経常利益についても、スギホールディングスのみが僅かな減益となっているものの、各社とも順調に増益を続けている。

 この不思議なほどの高い成長を各社が続けている数字を見させられると、他の小売業には見られない「ドラッグストア独自の戦略、うまみがあるのでは」と考えてもおかしくない。

ドラッグストアの事業戦略

 ドラッグストアが積極的に取り組んでいる事業戦略が、M&Aと新規出店だ。

 マツモトキヨシホールディングスの場合、2012年4月に東北のダルマ薬局(年間売上高106億円、62店舗)、同年10月には兵庫県のモリスリテール(年間売上高22億円、8店舗)、2013年2月に愛知県の杉浦薬局(年間売上高85億円、44店舗)、同年12月に北陸の示野薬局(年間売上高173億円、66店舗)など、相次いで完全子会社化しており、その勢いは止まらない。店舗新設含めて2014年3月期には年間で96店舗増え、計1486店舗になっている。2016年度は2000店舗を目標にしている。

 一方、サンドラッグは、2008年から2009年にかけて、首都圏でビアンドエッチアメミヤ(現ピュマージ)、新潟・福島の星光堂薬局(フランチャイジー)、九州・中四国のダイレックスを完全子会社化したが、最近は子会社のサンドラック東海を吸収合併や、各地で物流拠点整備をすすめるなど、店舗展開のインフラ、体制整備を図りながら、積極的な店舗開発を行っており2014年3月期には43店舗(フランチャイズ含む)増え、計937店舗となった。2015年3月期には87店舗を新設する計画だ。

 ツルハホールディングスは、2014年8月に和歌山のウエダ薬局(年間売上高17億円、14店舗)を完全子会社化、同年12月に広島のハーティウォンツ(年間売上高511億円、140店舗)の子会社化、同年7月にかねまん薬局総本店マルモ薬品の3店舗、同年10月にはかもめの15店舗を事業譲受している。加えて96店舗の新規出店と32店舗の閉店を行い、2014年3月期の期末でのグループ店舗数は直営で、292店舗増の1312店舗と大幅な増加となっている。2015年3月期でも出店計画は100店舗と積極的だ。

 コスモス薬品は、M&Aは行わず、自社の新規出店に限定している。2014年5月期は新規出店が72店舗、6店舗を閉店し、純増66店舗と増やししているものの、期末での店舗数は511店舗と、他社と比較して、大幅に少ない店舗数だ。しかも西日本エリアに絞った展開を進めているが、売り上げは、12.9%増の3718億円と大幅な伸びを実現している。2015年5月期は、74店舗の出店(4店舗の閉店)、4190億円の売り上げを計画している。

 スギホールディングスは、近年はM&Aを実施せずに自社による出店がメイン。2014年2月期は、68店舗の新規出店、24店舗の閉店を実施し、期末の店舗数は44店舗増の915店舗となった。出店とともに、棚割り、品揃え、単品管理等店舗運営の効率化、総合的な業績管理システムなど収益管理など、組織・運営体制の高度化、人材育成などにより、他社との差別化促進を進めている。なお、2015年度の店舗数1500店舗、売上高5000億円を目標にしている。

 店舗の全国化、ドミナント形式による出店戦略などが中心だが、各社により事業展開は少し異なっている。

ドラッグストア市場は――

 ところで、ドラッグストア市場について、市場売上は従来年次レベルでは発表されていたが、行政による公表が行われていなかった。しかし、2014年1月分から、毎月、ドラッグストアが50店舗以上の企業もしくはドラッグストアの年間販売額が100億円以上の企業を対象に、売上に関する調査・発表が始まった。

ドラッグストア売上高、店舗数推移

(※経済産業省調べ)

ドラッグストア売上高、店舗数推移

 店舗数が6か月で299店舗増えているが、消費税増税による影響を受け3月と4月に大幅に上下したものの、全体の売上高は着実に増加しているのがわかる。

商品分類別売上高推移

(※経済産業省調べ)

商品分類別売上高推移

 商品分類別の売上高を見ると、食品がトップで、OTC医薬品(医師の処方箋以外の医薬品)、家庭用品・日用消耗品・ペット用品、ビューティーケア、そしてトイレタリーなどと続いている。

商品分類別のシェア(1~6月合計)

(※経済産業省調べ)

商品分類別のシェア(1~6月合計)

 半年の合計売上による商品分類別のシェアをグラフにすると食品が23.9%とウェイトが大きく、OTC医薬品に調剤医薬品、ヘルスケア用品、健康食品を加えると32.8%となり、ドラッグストアとしての特徴が出ている。

ドラッグストアの今後について

 上位5社は、シェア競争は年々厳しくなっているものの、収益性が落ちていないところを見ると、まだまだドラッグストア市場は、拡大基調にあるのかもしれない。しかし、各社の店舗戦略によっては、店舗を増やしても売り上げが伸びなくなってくる時期が、いつか来ることは間違いないと思われる。

 ポテンシャル的には、店舗数が少なく、エリアも限定的な段階であるコスモス薬品が注目される。今後、関西、中部への進出を準備しており、徐々にエリア拡大進めるようだが、商圏人口1万人に1店というコンセプトによる集中出店により結果を出している。

 売上における食品のウェイトは53.7%(2期連続)と、他のドラッグストアと比較して特異な状況だが、同社では「店舗規模が売場面積2000m 2または1000m 2を想定しており、競合業態については、食品スーパー、小商圏型ディスカウントストア、コンビニエンスストア、500m 2型ドラッグストア」と設定し、今後のドラッグストアの標準化を目指しているようだ。

 このように、この業態のフォーマットは未だ決まっていない。大手各社による旺盛な事業戦略によって市場地図は更に変化しそうだ。思いがけないM&A、他からの参入もあるかもしれない。目が離せない市場だ。

(2014年8月26日更新)

流通ニュース

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