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特集・コラム

第1回 グローバル経営管理システムの導入状況 第1回 グローバル経営管理システムの導入状況

ビジネスのグローバル化と経営管理システムの導入状況

 グローバル化の波は製造業だけでなく、流通業、金融業、サービス業などあらゆる業種で進展しており、多くの国内企業にとってグローバル・ビジネスの展開は重要な戦略のひとつとなっています。また、グローバル化の進展に伴って、展開の形態や海外拠点の位置づけは複雑化・多様化しており、より高度な情報や業務プロセスの連携が求められるようになってきていることが、かつてのグローバル化とは異なる点であり、難しい点でもあります。

 今後の企業情報システムは、なかでも経営管理システムは、当初からグローバル対応を前提として構築することが求められるといっても過言ではありませんが、まずは、当社(ITR)が2013年3月に実施した経営管理システム動向調査のなかから、グループ/グローバルでビジネスを展開する国内企業における経営管理システムの動向をご紹介します。この調査は、調査のパネルを「日本国外でのビジネス展開とグループ連結経営を実施または検討中の、2012年度のIT予算が1億円以上かつ従業員数100人以上の企業」に限定しておりますので、リアルな実態が確認できていると思います。

 初めに、「経営管理システムの導入範囲について、もっとも貴社の状況に近いものを選択してください」と問うた結果を確認してみましょう(図1)。

図1 経営管理システムの導入範囲

出典:ITR「ITR User View:経営管理動向調査」
© 2014, ITR Corporation All rights reserved.

図1 経営管理システムの導入範囲

 「グループ本社に加えて、国内外の主要グループ企業を含む」「グループ本社に加えて、国内外の大多数のグループ企業を含む」の回答を合わせると、すでに3割強の企業がグローバルで経営管理システムを導入していることが確認できます(図1)。全体の2割程度の企業が、大多数のグローバル・ビジネスの拠点を対象とした経営管理システムを導入している点には注目すべきですが、「経営企画、経理部に限定」「グループ本社に限定」の両方で3割の企業が単体のみでの導入にとどまっていることも見逃してはなりません。グローバル経営管理システムの導入状況は、企業により大きく二極化しているといえるでしょう。

規模により異なるシステム化の状況

 次に、企業が経営管理システムをどのようにシステム化しているかを確認してみましょう。複数のシステムがある場合は、最も主体となるシステムを単一回答で選択するよう依頼し、回答者の定性的な判断ではあるものの、自社にとっての経営管理システムが何かを問うてみました。その結果、全体としては、33.5%の企業が「独自開発」と回答して最も多く、次いで「ERPパッケージ」が28.5%となっておりました(図2)。

図2 経営管理システムのシステム化状況

出典:ITR「ITR User View:経営管理動向調査」  © 2014, ITR Corporation All rights reserved.

図2 経営管理システムのシステム化状況

 さらに、従業員規模別で確認してみると、企業規模によりシステム化の状況にかなりバラつきがあることも分かりました。

 例えば、「1,000~2,999人」の企業での最多はERPパッケージとなり、半数を占めていますが、「10,000人以上」では独自開発(52.0%)が最多です。また、「表計算ソフトウェア(Excelなど)」との回答は、「5,000~9,999人」の企業で17.4%を占めて他の規模に比べ高い比率ですが、全体ではわずかといってよい、7.5%にとどまりました。

 Excelは、経営管理分野のキラーアプリケーションであるとよくいわれますが、興味深いことにその通説を覆す結果となっております。なお、経営管理に特化する「経営管理(EPM、CPMなど)パッケージ」は、「100~999人」と「3,000~4,999人」で10%程度と、他の従業員規模に比べて倍以上利用されているものの、全体としてはExcelを下回る6.0%にすぎず、まだ十分に浸透していないようです。

経営管理の課題と今後の方向性

 次に、経営管理およびシステムにおける課題を問うた結果を確認してみましょう。この設問は、複数回答で依頼しました(図3)。

図3 経営管理システムの課題

出典:ITR「ITR User View:経営管理動向調査」  © 2014, ITR Corporation All rights reserved.

図3 経営管理システムの課題

 「ライセンス費用が高い」や「導入費用/維持費用が高い」といった費用に関する課題や「システムが使いにくい」といった、どのシステムでも共通的な課題はさておき、経営管理情報ニーズの多様性や、管理指標の不明確性、売上増大への貢献が不透明といった生々しい課題が目につきます。冒頭述べたように、ビジネスのグローバル化自体が複雑化・多様化してきているなか、どのようにシステム化の要件に落としこんでいくかの悩みが大きいことがその背景にあると見られます。

 次回は、こうした課題を抱えながらも、今後、企業がどのような方向性で経営管理システムを強化していくべきなのかについてお話します。

浅利 浩一 氏の写真

浅利 浩一 氏

株式会社アイ・ティ・アール プリンシパル・アナリスト

国内製造業で、生産、販売、調達、物流、会計、人事・給与、製造現場/工程システムなど、エンタープライズ全領域のアプリケーション構築に携わる。SAPの設計・展開では、国内グループ企業向け共通システム、およびグローバル・システムの構築に携わるなど、幅広い業務分野での導入経験を持つ。2002年より現職。
現在は、ERPを中核としたエンタープライズ・アプリケーション全般、SCM、PLMを担当し、可視化からシステム化構想、製品選定、概要設計および導入支援などのプロジェクトを数多く手がけている。また、グループ/グローバルにおけるシステムの設計・構築・展開などのコンサルティングに取り組んでいる。

浅利氏共著本 日本版SOX法 IT統制実践法~IT全般統制・IT業務処理統制~の写真

浅利氏共著本

日本版SOX法 IT統制実践法~IT全般統制・IT業務処理統制~

内山悟志・浅利浩一[共著]
出版社: ソフトリサーチセンター (2007/3)

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