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グローバル経営を支える見える化の情報基盤|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

特集・コラム

第2回 グローバル経営を支える見える化の情報基盤とは 第2回 グローバル経営を支える見える化の情報基盤とは

経営者の不満

 今後の方向性について述べる前に、少し時間を巻き戻してみましょう。経営管理システムの歴史は古く、その源流は1970年頃のMIS(Management Information System)や、1980年代のDSS(Decision Support System)まで遡ることができます。こうした黎明期の取り組みをひとことでいえば、限られた高価なコンピューター資源をいかに活用して、人間の能力に依存する意志決定業務を高度化できるかに対する挑戦であり夢であったといえるでしょう。多くの先進的な経営者は、コンピューターの戦略的な活用がもたらす効果に期待して高額な投資を承認してきたのです。

 その時代から30年を経てITが飛躍的な進歩を遂げたにもかかわらず、経営管理システムに対する経営者の期待は満たされるばかりか、経営が必然のグローバル化にさらされ複雑化するにつれ、むしろ不満が高まりつつあるとさえいえるかもしれません。経営者の代表的な不満の声を5つに整理しつつ分析してみましょう。

1. 報告のタイミングが遅く先手が打てない

「何が起こったかがすぐに分からない」状態で、見える化のリアルタイム性が欠如している。

2. 意志決定に役立つ情報がない

そもそも「何が起こったかが見えていない」状態で、見える化の対象が欠落している。

または、「何が起こったかが詳細に分からない」状態で、見える化の詳細化ができていない。

3. 部署ごとに情報が分断しており一貫性がない

「何が起こったかが誰からも見える」ようになっていない状態で、見える化の共有ができていない。

または、見える化の統合化が欠如している。

4. 財務の数値と一致しない情報が氾濫している

「何が起こったかが適正に見える」ようになっておらず、見える化の統制ができていない

5. 報告が紙や口頭での説明となり時間がかかる

「何が起こったかが意識せずに見える」ようになっておらず、見える化の自動化ができていない。

 こうした不満は、5つのうちどれかひとつかふたつだけに限定されるということはあまりなく、すべてが複合的に絡んだ状態となっていることが多いと思います。

グローバル経営管理の難しさ

 こうした経営者の不満が、ビジネスのグローバル化に伴いさらに増していきかねない状況を、バリューチェーン・レベルの主活動と支援活動の業務の流れに、グローバルビジネスにおいて連携強化が求められる社外パートナーを含めて図式化してみました(図1)。

図1 グローバルビジネスにおける経営管理の課題

出典:ITR  © 2014, ITR Corporation All rights reserved.

図1 グローバルビジネスにおける経営管理の課題

  第1回の図3「経営管理システムの課題」の上位であった「経営管理情報のニーズが組織、地域、利用者ごとに異なる」ことに関わる情報の分断は、国内だけでなく海外の事業や拠点が増えてバリューチェーンやサプライチェーンが複雑化・多様化すればするほど、さらに悪化するであろうことは容易に想像できます。

 そして、「経営管理情報の指標(KPI)や基準などが明確になっていない」ことに対して、システムを統一しマスタデータを標準化しても、ITだけの表層に過ぎない対処では抜本的な解決にはならないことに注意すべきです。実際、同じERPパッケージをグローバルで展開しつつ、顧客、製品、勘定体系といった主要なマスタデータを標準化している企業ですら、実際の業務における取引データや仕訳の基準までルール化できていないため、図1の「“モノ”の流れと“金”の流れの情報の非同期」を解消できておらず、財管不一致のまま情報量だけが増えて氾濫状態となった例さえあります。

見える化の情報基盤の確立

 経営管理システムは、バリューチェーンやサプライチェーンにおける非常に長く幅広い情報を対象としますので、多種多様なシステムが対象となります。さらに、システムの隙間に存在する多くの手作業ベースの情報も含めて高度化を検討すべきでしょう。経営者だけでなく、管理者、現場担当者の不満を解消しつつ、できるだけ早い段階で「あるべき姿」を描き出し、実行計画に落としこんでいくことで見える化の情報基盤を確立していくことが急務です。

 経営管理に特化する「経営管理(EPM、CPMなど)パッケージ」は、この10年で大きく進化して機能の統合化も進んできました。経営管理パッケージの主要機能を、「ユーザー・フロントエンド」からアクセス方式と、アプリケーションのコンポーネントに分けて中核とし、その周辺に関連するシステムやツールなどを、グローバル経営を支える見える化の情報管理基盤として高度化すべき対象として配置してみました(図2)。

図2 経営管理パッケージおよび関連システム

出典:ITR  © 2014, ITR Corporation All rights reserved.

図2 経営管理パッケージおよび関連システム

 連結、業績管理、計画/予実とそのシミュレーションといった、いわば標準装備的な機能に加えて、昨今製造業において連結ベースでの原価管理を強化しライフサイクルで収益性を向上させる取り組みも進んできております。

 最後に、「何が起こったかがすぐ分かる」「何が起こったかが詳細に分かる」「何が起こったかが誰からも見える」「何が起こったかが意識せずに見える」情報基盤の確立は、システムだけでなく業務と一体化した取り組みで進めることを改めて強調したいと思います。

浅利 浩一 氏の写真

浅利 浩一 氏

株式会社アイ・ティ・アール プリンシパル・アナリスト

国内製造業で、生産、販売、調達、物流、会計、人事・給与、製造現場/工程システムなど、エンタープライズ全領域のアプリケーション構築に携わる。SAPの設計・展開では、国内グループ企業向け共通システム、およびグローバル・システムの構築に携わるなど、幅広い業務分野での導入経験を持つ。2002年より現職。
現在は、ERPを中核としたエンタープライズ・アプリケーション全般、SCM、PLMを担当し、可視化からシステム化構想、製品選定、概要設計および導入支援などのプロジェクトを数多く手がけている。また、グループ/グローバルにおけるシステムの設計・構築・展開などのコンサルティングに取り組んでいる。

浅利氏共著本 日本版SOX法 IT統制実践法~IT全般統制・IT業務処理統制~の写真

浅利氏共著本

日本版SOX法 IT統制実践法~IT全般統制・IT業務処理統制~

内山悟志・浅利浩一[共著]
出版社: ソフトリサーチセンター (2007/3)

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