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味岡 毅の『グローバル製造業のための勝てるコストを作り込む「攻めの生産管理」』|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

特集・コラム

第4回 グローバル現場の見える化と現場コミュニケーション活性化で攻める 第4回 グローバル現場の見える化と現場コミュニケーション活性化で攻める

現場見える化の意図

 第3回まででグローバル拠点における製造コストの見える化についてはお話ししてきた。

 今回は、グローバル製造業の「モノ作り」視点での問題に焦点を当ててお話しする。
 筆者がお世話になっている多くのグローバル製造業様で業務課題の抽出を行ってみると、必ずと言って良いほど、解決すべき問題の上位になるのが、「海外現場で今何が起こっているか分からない」が原因となった問題点である。もちろん問題点として「現場が見えない」といった直接的な表現ではないが、「在庫が過剰、または欠品になって困っている」とか「なぜ歩留まりが、こんなに低いままなのか」といった問題として上がってくる。
 これがなぜ「現場見える化」や「現場コミュニケーション活性化」に繋がるのか?という事についてご説明したい。

 本記事をご覧いただいている多くの方には釈迦に説法かもしれないが、数年前に日本の製造業の海外進出が加速し始めた頃は、ほとんどが①国内工場からキーとなる部品を支給(輸出)し、海外現地法人(以下、単に現法と省す)で加工/組み立てし、製品化するパターンか、②逆に海外現法から部品を輸入し、日本で製品を組み立てる、いわゆる一方方向のサプライチェーン形態が多かったように思う。
 しかし現在では、海外現法が部品を海外現法に支給し、そこで付加価値(加工/組み立て)を加えた部品を、さらに別の海外の現法へ引き渡す、また数社の現法(日本工場も含む)を経由し、さらに別の現法で最終組み立てを行って世界市場へ販売するなど、サプライチェーンの形態が複雑化している(図1)。

図1 サプライチェーンの変革

図1 サプライチェーンの変革

 このようにサプライチェーンが複雑化してくると、どこかの拠点で生産台数割れや品質上の問題が起こると、途端に下流工程(別の現法)に影響を及ぼしてしまう。もちろんこのような突発的な事象が発生したとしても、ある程度はクッション在庫(緩衝用在庫)で回避できるであろう。しかし、さらなるコスト低減、需要先からの様々なニーズへの対応力を求められている中で、今後ともこれらの方法で回避していけるのであろうか?
 これが国内のみのサプライチェーンで生産できていた時代であれば、発生している問題をすぐにキャッチアップし、改善していくことができていたかもしれない。
 しかし、グローバルサプライチェーンの中では、上流工程の小さな問題であっても早期に摘み取らないと、下流工程に多大な影響を及ぼしかねない。筆者と親交のある多くのグローバル製造業様でも、改善しなければならない事は分かっているが「現地の管理スタッフ数だけでは目が行き届かない」 「当月の生産高が翌月にならないと上がってこないし、改善を指示しても、ともすればその結果は翌々月にならないと報告されないこともある」という状況で、問題への対応が後手に回ってしまうと、頭を抱えておられる。

 それではあきらめるしかないのであろうか?

 この問題の1つの解決策として弊社がご提案しているのが、第1回でご紹介した「 各拠点間に存在する見えない壁に日本側からいつでも必要な情報を取り出せる風穴をあけ、日本側のリーダシップのもと現地をコントロールする」である。

図2 現地化による拠点間の壁

図2 現地化による拠点間の壁

 すなわち、必要な情報は必要な時に報告を“ 受ける ”のではなく、日本側で必要な時に“ 見に行く ”、または“ 取りに行く ” というアプローチが重要と考える。問題を早期に見つけられることで、

(1)該当する海外現法の生産高に多大な影響がでる前に、早目に手を打てる。
(2)下流工程にあたる別の海外現法へ、先回りして連絡・相談を行い、早目の対処を
   指示できる。

など、メリットも大きい。

図3 グローバルサプライチェーンでの先手管理

図3 グローバルサプライチェーンでの先手管理

 ここまではどなたでも、ご納得いただけると察するが、では「どうやって、遠方の工場の問題(異常)を、早期に見つけ出すか?」である。
 唯でさえ国内工場の対応に追われているのに、毎日毎時間、海外工場の生産実績データ、品質データから問題を見つけ出すことなど、現実的ではない。また断片的な生産や品質データだけを受け取っても、問題を特定できるだけのデータが揃わなかったり、問題が大きくなる前に異常の予兆を見つけることもできない。

 そこで、弊社では以下のコンセプトに基づいたシステムを「現場の見える化システム」と定義している。

(1)海外現法の各種問題(異常)を、「 マザー工場側だけで素早く発見できる」ようにする。
(2)問題の原因特定や対処方法を、難しい手順や操作を踏むことなく、「 ひと目で直感的、
   かつ素早くに把握できる
」ようにする。
(3)海外工場とのコミュニケーションを取り易くし、 問題対処や再発防止に関する現地との
   意識合わせをタイムリーに行える
ようにする。

 上記のコンセプトに従い、弊社が考えるソリューションを以下に示す。

(1)遠隔地に居ながら海外工場で起こっている異常を発見できるシステム
 弊社では、このような課題の解決策として海外現場の設備故障やチョコ停の回数や、歩留まり率、生産高などを 一定時間間隔で監視し、ある閾値を超えた時点で、遠隔地(マザー工場など)に 異常を警告表示するシステムをご提案できる。
 具体的には図4に示すような情報を管理できる。

図4 生産見える化モニター

※MotionBoard活用による製造可視化の例
「ウイングアーク1st株式会社 提供」

図4 生産見える化モニター

(2)海外工場の在庫の動きから問題を予測・発見するシステム
 (1)で異常が発見できなくても、「在庫推移の状況から問題を発見することはできないか?」という視点から、弊社では、 複数の品目の見えている需要、在庫推移、供給(生産計画)から計算した在庫予測情報 1つの画面で一度に確認できるシステム をご提案できる。
 このシステムは上記のような未発見の問題を検出する用途の他に、発生した問題に対する影響度を調査する際にも有効である。
 具体的には、図5のように各々の波形から異常や影響度合いを判断できるシステムである。

図5 需給・在庫見える化モニター

図5 需給・在庫見える化モニター

(3)生産ラインの進捗や負荷の状況、その後の推移を一目で見えるシステム
 問題を発見した場合は、どのラインや品目に問題があるかを掘り下げながら、原因特定と対処方法を考えなければならない。
 ここで重要なのは、単に問題になっている該当ラインや工程の障害を取り除いたとしても、前工程ラインの工程在庫があふれていたり、前後工程ラインの負荷バランスが大きく乱れ、結果的に他のラインや工程にも悪影響が出ることを阻止する事である。
 弊社では、上記の問題に対し、図6のように ライン毎の進捗や負荷状況、その後の需要、供給、在庫推移などを一目で確認でき、必要なら状況を 鑑みながら別ラインへの生産移動や負荷調整ができるシステムをご提案できる。

図6 生産ライン進捗・負荷調整システム

図6 生産ライン進捗・負荷調整システム

(4)問題対処や再発防止のため、正確な情報で海外工場とのコミュニケーションが図れるシステム
 原因究明、再発防止策策定のためには現場管理者との密な情報交換が必要である。また、やり取りされる情報はタイムリーかつ正確でなければならない。海外工場を相手にする場合、ただでさえ距離が離れており、現場を直ちに見に行けないことは当然であるが、加えて時差の問題もあり、必ずしもタイムリーに情報交換を行うことが難しいケースもありうる。
 そのため、問題発生時に起こっていた事実を、如何に正確に伝えられるかが重要である。
 弊社では、図7のように現場管理者に持たせたスマートデバイス(スマートフォンやタブレット端末)で、問題発生時の部品や設備の状況を写真(または動画)で撮り、必要に応じて撮った写真に手書きコメントを書き込んだものを、直ちにマザー工場へ送信することができるシステムをご提案できる。
 このシステムは、Android端末やiPhone、iPadに関わらず、ユーザ様で稼働中のWebアプリケーションへ組み込むこともできる。
 また端末紛失などの際にも重要な情報(写真、データなど)を特別管理エリアに格納するなどして、外部者が取り出せない仕組みでセキュリティにも配慮したシステムである。

図7 現場とのコミュニケーション活性化システム

図7 現場とのコミュニケーション活性化システム

 上記のような「現場見える化、コミュニケーション活性化に繋がるシステム」をご紹介してきたが、上記(1)~(4)以外にも様々なグローバル製造業様が抱える課題解決に寄与するシステムを組み合わせた提案も可能である。
 また貴社が抱える課題の重要度、緊急度に合わせて、これらのシステムを単独導入する事も可能である。

 最近、日系のグローバル製造業様では、日本のガバナンスを効かすために、上記システムを既存や次期新システムへ組み合わせたシステムの導入が増えてきている。今回は紙面の制限で割愛したが、「現場見える化」によって得られた具体的な業務改善効果やお客様の実際の評価については、別の機会でご報告させて頂きたい。

 また上記の弊社ソリューションについてご興味があれば、導入検討頂ければ幸いである。

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株式会社日立ソリューションズ
産業・流通システム事業本部 企画本部 プリセールス部
味岡 毅

1984年4月入社後、一貫して製造業の生産管理システム再構築に従事。
電機・精密製造業、自動車部品製造業など約20社以上の生産管理システム構築プロジェクトに参画。
国家資格である高度情報処理技術者(システムアナリスト、システム監査、プロジェクトマネジャ他)取得。
現在は主に業務系ソリューションの拡販を中心に活動中。

・電子機器メーカにおける統合生産管理システム 再構築(プロジェクトマネージャ)
・自動車会社における統合部品表システム PMO(プロジェクトマネージメントオフィサー)
・その他、自動車部品製造業、農機具製造業等でのプロジェクトマネージャ経験 多数

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