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第2回 スマイルカーブでビジネスをとらえる|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

第2回 スマイルカーブでビジネスをとらえる
第2回 スマイルカーブでビジネスをとらえる

90年代以降の市場の成熟化、経済のグローバル化、そして技術革新の中で、ビジネスは進化してきました。
第2回目の講座では、現在どのようなビジネスが利益を上げ、どのようなビジネスが苦しんでいるのか、具体的な事例をあげ、その理由をひも解き何が成功のキーワードになっているのかを解説していただきます。

なぜ中流部分は利益率が低いのか

いろいろな業界でスマイルカーブという言い方が使われている。笑った時の人間の口の形のように、両端が少し上がった形の曲線をスマイルカーブという。その意味するところは、上流や下流は高い利益率を上げることができるが、中流の部分は厳しいということだ。

いろいろな業界でこうした動きが見られる。繊維・アパレル業界はその典型だ。上流で世界的ブランドを展開している企業や、東レのように炭素繊維などの素材を提供している企業はそれなりに高い利益を上げられる。グローバル化が進み、商圏が広がるほど、オンリーワンとなる商品を供給できることは大きな強みとなる。

繊維・アパレルでは下流も大きな利益を上げられることは、ユニクロの好調を見れば明らかだ。消費者や最終ユーザーの価値をしっかり取り込むようなビジネスが展開できれば、それなりの利益を上げられる。ユニクロのケースについては後でもう少し詳しく述べるが、ファースト・ファッションと呼ばれるユニクロ、H&M、フォーエバー21などのブランドは、安いがファッション感覚が優れているということで絶好調である。

上流や下流は高い利益率を上げるが、中流の部分は、厳しいスマイルカーブ

こうした上流や下流に比べて中流部分は厳しい。日本の国内でアパレル製品を生産しようとしても、中国などの低賃金国に対抗することは非常に難しい。中流部分が厳しいのには理由がある。グローバル化と技術革新だ。繊維・アパレルの中流部分で縫製などの生産を行う企業はどこも厳しい。
 中国などで日本よりもはるかに安いコストでできることを日本でやろうとするのは利益になりにくいのだ。技術革新の影響も大きい。優れた機械を使えば、どこの国のメーカーがやっても同じようなものが作れる。「機械にできること」をやっている企業は厳しいのだ。

スマイルカーブはエレクトロニクスの分野でも見られる。グーグル、インテル、サムソンなど大きな利益を上げている企業は、世界で通用するデバイスやシステムで大きな利益を上げている。中小中堅企業であっても、オンリーワンと呼べるような製品を作る企業は高い利益率を上げている。日本でも、携帯電話のための特殊な部品で大きなシェアを上げている企業は少なくない。
 東京エレクトロンなどのように特定の半導体製造装置で世界の7, 8割のシェアを握っているところには、外資系の株式投資も大きい。日本のエレクトロニクスメーカーもデバイス事業には力を入れており、EV(電気自動車)やハイブリッド車用のバッテリー関連のデバイスなど可能性が大きい。

エレクトロニクス分野でも中流部分は厳しい。象徴的なのはパソコンや携帯電話などの組み立て製造分野である。台湾系のEMS(委託生産)メーカーであるフォックスコンは中国広東省で何十万人という労働者を抱える工場を持ち、世界の有力メーカーのパソコンやiPodなどの製品を大量に生産している。同じく台湾系のエイサーも中国での生産を武器に、デルを抜いて世界第二のパソコンの台数シェアを確保している。日本の国内生産でこうした企業と競争をするのは難しい。
 「中国でやれることと同じことを日本でやっても厳しい」というグローバル化の論理と、デジタル機器のような技術革新が進んだ分野で部品を組み立てるだけでは高い利益を上げられないという技術革新の論理が働いているのだ。

では下流はどうだろうか。アップルのiPodやiPhoneの成功を見れば分かるように、消費者に価値を提供できる企業は、コスト競争に巻き込まれないで利益を確保できる。後で詳しく述べるように、下流で成功するためには、ビジネスモデルやブランド戦略が非常に重要な意味を持ってくる。

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