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第3回「都市」の安心 後編| 次の情報セキュリティのヒントがここに つくろう!安心ニッポン|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

第3回「都市」の安心 後編
安心のつくりびと 佐土原 聡 先生
横浜国立大学 大学院都市イノベーション研究院
研究院長 教授
地球環境未来都市研究会 会長

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聞き手 ひろた みゆ紀さん
フリーアナウンサー
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一人ひとりの足元が、地球とどうつながっているのか?

佐土原 聡 先生

佐土原 聡 先生

地球資源の有限性が見えてきた今、エネルギー、水、食糧、そして生物多様性など生態系とのバランスを真剣に考えていかないと、今までのような人間活動はいずれ不可能となり、ひいては都市は存続できなくなります。これが都市の抱える最大のリスクではないでしょうか。

ひろた

難しい問題ですが、解決の糸口はあるんでしょうか。

佐土原 聡 先生

環境問題は地球規模に広がるきわめて大きな問題ですが、その解決には私たちのひとつひとつの行動が大きな意味を持ってきます。

ひろた

はい。でもひとつひとつの行動において地球環境を意識するというのは、一般的には難しそうですが…

佐土原 聡 先生

そこで、都市で暮らす一人ひとりの足元が大きな地球の問題とどのようにつながっているのか、見えるようにしてあげることが重要だと考えています。
自分が住む足の下の地盤はどうなっていて、目の前の川はどこから来てどこへ流れていくのか、といった自然学的なつながりはもちろんですし、例えば目の前の食事がどこから来たものなのか。残り物はどう再利用されるのか。あるいは捨てられて地球環境にどんな負荷を与えるのか。そういう社会的なつながりまで可視化できれば、人の行動に影響を与えることができるようになります。

ひろた

確かに。自分の行動の先が見えれば、きっと意識は変わると思います。

佐土原 聡 先生

私たちがつくろうとしている情報プラットフォームでは、都市の地盤や大気や水の様子、そして地球規模の気候変動までスケールを超えたさまざまな自然環境データ、さらに都市における経済活動など人間圏のさまざまなデータを重ね合わせられればと考えています。
これを活用すれば、都市の複雑なメカニズムと地球環境の複雑なメカニズムにおいて、それぞれの要素がどのようにつながっていて、何がどこに影響してくるのか、浮き彫りになってくると思います。そして、このプラットフォームでの解析結果を適時、スマートフォンなどで人々に提供するしくみを都市の中につくりたいと思っています。

ひろた

すごい!いつでもどこにいても、人と地球がつながるんですね。

高齢化、地方創生…さまざまな都市の課題を解決

佐土原 聡 先生

この情報プラットフォームは、環境負荷を減らすための情報を人々に提供しますが、例えば夏の暑い日、徒歩で外出する場合などに、最も涼しいルートをスマートフォンでおすすめするというようなことも可能にしたいのです。

ひろた

それ、できたら絶対に使います!

佐土原 聡 先生

これから日本では高齢化がますます進みます。これからの都市は地球だけでなく、人へのやさしさもさらに高度化させていかなければなりません。
あと、地方創生が今、日本の大きなテーマのひとつですが、そのためには地方が持つ資源をどう経済に活かしていくかが課題になってきます。でも、地方の自然資源の素晴らしい価値を、地元の方々も認識されていないというケースが少なくありません。

ひろた

それはすごく多いと思います。

佐土原 聡 先生

例えば山梨県の都留市には、素晴らしい水質の富士山の湧水が網の目のように流れていて、それはとてもきれいなんです。でも地元の方にとっては、それがあたりまえの光景で、その価値に気付いていらっしゃらなかったんですね。人は身近なものの価値に気付きにくいものです。そこで今、この魅力的な水の価値を横浜市などの下流に発信するプロジェクトについて議論しています。
地方の自然資源の価値を発見して、他の地域に発信してあげる。そんなことも、この情報プラットフォームで可能になります。

ひろた

素晴らしいつながりがたくさん生まれそうですね。

佐土原 聡 先生

都市の安心をつくるためには、まずつながることが大事です。それは情報のつながりに限った話ではありません。例えば都市の緑地計画では、多くの場合見栄えしか気にされません。
でも私は都市に緑をつくるなら、その地域の生物多様性ができるだけ感じられる緑地にしたい。そうすれば、その小さな緑が入口になって、人の気持ちは地域の里山や水源にまでつながっていく。自然を守る意識へと拡大していきます。

ひろた

それに、そんな緑地がある街は、絶対に素敵な街です。

都市とは、人がつながっていきいきと輝く場

佐土原 聡 先生

私は、安心とは、自分の位置付けがいろいろなつながりの中ではっきりと見えている状態だと思います。

ひろた

位置付け…ですか?

佐土原 聡 先生

今、自分が立っている場所が、空間的な意味でも、社会的な意味でも、いろいろな人や物事とのつながりの中ではっきり見えている。あるいは過去の歴史や将来とのつながりの中で、時間的な意味でもわかっている。その状態が安心を生むんだと思います。

ひろた

私もいろいろなつながりに支えられています。

佐土原 聡 先生

よいものとのつながりだけでなく、リスクとのつながりも大事です。リスクが存在しても、そのリスクが自分とどういう位置関係にあるのかわかっていれば安心ですよね。

ひろた

なるほど。

佐土原 聡 先生

そして安心は、幸福の源だと思います。
都市において、たくさんの人たちとのつながりの中、自分の位置付けがわかっている。つまり、自分がみんなにどう協力したらいいのか、そのために何を努力すればいいのかわかっている。
それはどんな物理的な豊かさよりも、人を夢中にさせて、いきいきと輝かせるのではないでしょうか。

ひろた

人がいきいきと暮らせる。もしかしたら、それが都市の一番大事な機能かもしれませんね。

佐土原 聡 先生

はい。私は都市の本質的な役割は、「イノベーションの場」であることだと思っています。実はこれ、今のプロジェクトを進めていて心から感じることなんです。
この情報とこの情報をつないだら、こんなことが良くなるかもしれないと見えてくると、皆さんの目がどんどん輝いて、動きが活発になってくるんですね。
私たち人間は今、さまざまな問題を抱えていますが、それらを解決するイノベーションを生み出すためにも、つながりがたくさん生まれる元気な都市をつくらなければなりません。

ひろた

先生、期待しています!今日はありがとうございました。

佐土原 聡 先生

ありがとうございました。

ひろた's VIEW

生態系を守るためには、私たちひとつひとつの行動が地球環境にどんな影響を与えるのか、可視化することが大事でした。
それは情報セキュリティにおいても同様です。皆さんの日常のビジネス活動のひとつひとつ――例えば一通のメールを出すという行動においても、さまざまなリスクとつながっています。
インシデントを起こさないようにするためには、情報システムの活用状況を全社トータルに見ることができて、リスクにつながる行動を発見するしくみが大切だと実感しました。

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