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2ページ目|第3回 「世の中にくだらない仕事はない」ということを気づかせるのが“上司力”|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

第3回 「世の中にくだらない仕事はない」ということを気づかせるのが“上司力”
第3回 「世の中にくだらない仕事はない」ということを気づかせるのが“上司力”

雑務は人と差をつけるチャンスである

 このような仕事の優先順位づけや分類に時間を使わないという背景は「スピード」はもちろんですが、私のそもそもの信念でもある“大事な仕事”と“くだらない仕事”を分けないというところから来ています。起業して以降、私はさまざまな会社にミドリムシを売り込みましたが、「そんなミドリムシみたいなくだらない仕事なんてやめた方がいい」と毎回のように言われました。しかし、私はミドリムシを「くだらない」とは決して考えませんでした。そればかりか「くだらないと思わない」ことが出発点だったのです。

 世の中にくだらない仕事なんてない、私はそう思っています。会社の中で働いていれば、たいてい「雑務」や「雑用」などと呼ばれてひとくくりにされる単純な仕事が多々あります。それらの雑務や雑用は一見、誰がやっても同じで、たいして意味がない仕事と思われがちですが、実はその一つひとつには必ず何かしらの意味がある。だから、雑務や雑用を軽視してはいけない。その仕事が何のためにあるのかを考え、率先して取り組むべきだ、というのが私の考えです。

 例えばあなたの下に新入社員が配属されたとします。早く出世したい、認められたい、という気持ちがあれば、大きな仕事をやりたい!と誰もが思います。でも、会社はいきなり大きな仕事を新人に任せはしません。したがって新人に回すのは、経験がなくてもできるような仕事、つまり雑務・雑用です。これは最初にお断りしておきますが、軽んじた意味での「雑務」「雑用」ではありません。あくまでもそれほど経験がなくてもできるような仕事という意味です。さて、新人に雑務が回ってくるというのは、当然といえば当然のことなのですが、鼻っ柱の強い新人はこれを不満に思うわけです。しかし、ここで私が言いたいのは、「雑務を『くだらない』と思いながらやっている人は、いつまで経っても仕事がおもしろくならない」ということなのです。

雑務に一生懸命取り組むことで仕事の視野が広がる
雑務に一生懸命取り組むことで仕事の視野が広がる

 逆に、どのような雑務でも、その中に自分なりの意味を見出し、色々と工夫し、考えながら取り組んでいる人は仕事や視野に広がりが出てきます。そして、必ず誰かの目に留まり、いつかきっと評価されます。評価されればそれが“小さな成功体験”となり、それを積み上げることはとても大切なことなのです。このことは、私も起業する前、銀行に就職して働いていたときの経験から学びました。

 大学を卒業して銀行に入った私に与えられた仕事は、ATMに現金を補充するというものでした。単純作業でいわゆる雑用といわれるような仕事ですが、なかなか骨の折れる仕事です。まず、現金を金庫から出したり、戻したりする度に、いくつもの判子をもらわなくてはなりません。だからATM1台に現金を詰めて帰ってくるのに相当の時間がかかり、2〜3台詰めれば、それだけで1日が終わってしまう有様でした。また、現金というのは想像以上に重いのです。1億円や2億円の現金を運ぶとなると、それだけでも重労働です。そこで私はなんとかATMへ足を運ぶ回数を減らせないものかと考えました。つまり効率化を目指したわけです。そのためには、1回に補充する現金を「不足せず、多過ぎず、ぴったり」の量にしなければならない。ということで、私はATMの観察を始めました。ATMをどのような人たちが、どのようなタイミングで、どのぐらいの額を利用しているのか、ということを調べようと思ったのです。

 その結果、色々と面白いことが分かりました。私は神田神保町の支店で勤務しており、周りには多くの出版社がありましたが、出版社の人たちは、なぜか給料日が晴れだと大金を引き出します。飲みにでも行くのでしょう。しかし、雨の日には一気に出金額が減るのです。傘をさして飲みに行くのが嫌いなのでしょうか。そうした情報をもとにして、その日に必要な金額を予測し、お金を入れていきました。予測が当たれば、「やった!」と、励みにもなります。しかし予測が外れれば、外れた原因を調べます。すると、その地域で毎年行われるイベントや大手の会社で社内行事が開催されていたことが分かるなど、また新たな情報を入手できます。それらの情報は、顧客の動向やその地域の経済を知ることにもつながりますから、後々の営業活動における大変良い勉強にもなりました。そのようにして予測を立てて行動することで、ATMの現金補充も非常にスピーディーにこなすことができ、上司の目にも止まったようです。しばらくして少し重要な仕事を任せていただけるようになりました。

 そう考えれば、ATMにお金を入れるという仕事は、決して「くだらない仕事」なんかではない。雑用どころか、むしろ新人にとっては大変勉強になる、重要な仕事であるということが言えると思います。要は仕事に対する考え方、捉え方なのです。

 もう一つ、上司として新人に語るべきなのは、実は雑務や雑用は「差をつけるチャンス」だということ。これは新人に限らず、ベテランでも同じだと思います。雑務や雑用は、社内での地位や経験や肩書きなどと一切関係なく、誰でも工夫の余地があります。しかも、漫然とやっている人が多いので、少しの工夫で大きな差をつけることも可能なのです。例えばコピー取り。私は500枚など大量なコピーが必要な場合は、1階、2階、3階と3台あったコピー機でそれぞれ170枚ずつ分けてコピーしていました。1台で全部をコピーすると、コピー機を占領してしまい、他の人に迷惑をかけてしまうからです。これは誰でも思いつくことですが、実際にやっている人は私の他にはいませんでした。また、この時間帯であればどのフロアのコピー機が空いている、ということもおおよそ把握していたので、上司から大量のコピーを頼まれた時も、素早くコピーして届けることができました。

 「それぐらいのことはちょっと目端の効く人であればやるのでは」と言う人もいるでしょう。しかし、やる人はなかなか少ないのです。とくに組織が見事にシステマチックにできている会社では、明らかに非効率的なことでも、社員はあまり疑問を持たずに仕事を進めがちですので、それは顕著です。頭の柔らかいはずの新人でも同様です。逆に言うと、そこで自分なりのやり方で効率化し、アピールするのはいたって簡単なのです。やるか、やらないか。目の前の些細なことを「良くする」ための意識を持つかどうか、ただそれだけで仕事の質が変わってくることを伝えることが上司としての務めでしょう。

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