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2ページ目|第3回 部下編 部下を育てるアプローチ法|齋藤孝の人間関係力養成講座|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

齋藤孝の人間関係力養成講座
第3回 部下編  -部下を育てるアプローチ法-

ステップ2・「評価する」 “コーチング”で本人に考えさせる

 部下の能力を見きわめるなら、前述の「提案シート」が役立ちます。その中に興味深い企画案があったとすれば、それを掘り下げてみるのは上司として当然でしょう。つまりコミュニケーションのきっかけになるわけです。

 このとき活用できるのが、いわゆる「コーチング」の手法と、前回も紹介した「マッピング・コミュニケーション」です。“コーチ”とはいっても、手取り足取り指導するわけではありません。むしろ重要なのは、 徹底的に聞き役に回ること。机の角などを利用して90度の角度に座り、上司が部下の話をカウンセリング的に聞き出しながら、その内容を中央に置いた紙に書き込んでいく。一枚の紙を通して認識と情報を共有するのが、マッピング・コミュニケーションの大きなポイントです。

 例えば企画案の場合なら、おそらくそのままでは使えないことが多いと思います。仕事を覚えはじめた若い人は自己肯定力が強く、自分を過大に評価する傾向があります。しかし一方で自己客観視能力が不足気味のため、現状認識や見通しが甘くなりがちなのです。

コーチングで本人に考えさせる
話をカウンセリング的に聞き出しながら、部下自身に問題点を気づかせよう。

 では、それをどう部下に伝えるか。「これじゃダメだ」と一蹴するだけでは、納得してくれません。重要なのは、 部下自身に気づかせること。そこで上司は、「こういう場合はどうする?」「過去にこういう例があったが」と紙に書きながら現実的な質問を繰り返していけばいい。その答えを考える過程で、部下は思考の浅さに気づいたり、打開策を模索したりしていくわけです。これ自体が、部下にとって大きな勉強になるでしょう。

 そして「コーチング」が終わるころ、紙には思考のプロセスがいろいろ書き込まれているはずです。それに日付と二人の名前を書き入れ、コピーをとって双方で保存する。これは部下にとって「企画書」になり、両者にとって「契約書」になり、また上司にとっては部下の「プロファイリング・シート」になります。部下個々人の知識・能力・意欲などを把握する上で、おおいに参考になるはずです。

ステップ3・「叱る」 “そもそも論”になってはいけない

そもそも論になってはいけない
上から押さえつけるのではなく、問題解決に向けて
一緒に考えるという関係性を。

 部下が不注意や怠慢から重大なミスをしたり、顧客や取引先に迷惑をかけたりしたときには、やはり上司として注意を促す必要があります。とはいえ、豊かな家庭環境の中で育った今の若い人は、強い調子で叱られることに慣れていません。上下関係を認識したり、競争に勝つという意識を持つことも苦手です。無理に叱れば、反発するか萎れてしまうかのどちらかでしょう。

 まず前提として、 “そもそも論”にならないことが鉄則です。「そもそもお前は~」と別の話を持ち出したり、日常的な態度や姿勢にまで及ぶと、それは根本的な能力や人格の否定につながりかねません。それによって本人が反省したり、事態が改善したりすることはあり得ないと思います。

 重要なのは、やはり 現実を認識してもらうこと。客観的な事実を並べ、それに対してどう思うかを尋ねていく。ここでも、「コーチング」と「マッピング・コミュニケーション」が使えます。問題を二人で共有し、一枚の紙に集約させることで、個人的な感情とは切り離して冷静に考える。「叱る・叱られる」という関係性ではなく、 問題解決に向けて一緒に考えるという関係性をつくるわけです。

 その上で、解決の方法は本人に導き出してもらう。自分を向上させる案を自分で考えさせることがポイントです。上司としては、それについてコメントするより、その選択に責任を持たせることのほうが重要でしょう。

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