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2ページ目|第6回 偉人たちに学ぶ人間関係力(最終回)|齋藤孝の人間関係力養成講座|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

齋藤孝の人間関係力養成講座
第6回 偉人たちに学ぶ人間関係力(最終回)

渋沢栄一の「手続き力」

 どんなビジネスパーソンでも、いくつかの仕事なり役割なりを同時並行的に抱えていると思います。だんだん忙しくなってくると、そのうちどれかを忘れたり、他の人に“丸投げ”したりすることもあるでしょう。そういう仕事にかぎって、後で上司に「あれはどうなってるんだ?」と怒鳴られたり、想定外の方向に進んでしまったりするもの。「管理能力」を問われるだけでなく、周囲との信頼関係をも失いかねません。

 では、忙しいビジネスパーソンはどうやって仕事を管理しているのか。それを探る上でもっとも適した人物といえば、「日本資本主義の父」と呼ばれる 明治時代の実業家・渋沢栄一を置いて他にいないでしょう。設立に携わった企業数はざっと500、病院や学校等の社会施設は600。まさに驚異的です。

 もちろん、単に名前やお金を出しただけではありません。少なからず身をもって関わっています。例えば製紙工場を立ち上げたときのこと。アメリカ人技師を雇って洋紙製造を始めたものの、どうも品質が悪い。その技師は、「日本人の工員が言うことを聞かないせいだ」と渋沢に訴えます。

 しかし渋沢は、「工員は君の命令どおりに動いている。君の技術が未熟なだけだ」と反論。技師の話を鵜呑みにはしませんでした。実はひんぱんに工場を訪れ、作業工程をよく観察していたからです。もし事情を知らずに技師と一緒になって工員を責めたりしていたら、たちまち現場のモチベーションは失われ、品質向上はますます遠のいたことでしょう。この一件以来、技師も心を入れ換えて本格的な研究を始め、やがて製品化にこぎ着けます。ちなみにこの会社が、今日の王子製紙です。

 それにしても、誰よりも忙しいはずの渋沢が、なぜ足しげく工場に通ったのか。その秘密は、渋沢の自伝『雨夜譚』(日本図書センター)にしばしば登場する「手続き」という言葉に隠されている気がします。

渋沢栄一の「手続き力」
まず全体の設計図を描き、自分がするべきこと、人に任せられることを見極めよう。

 渋沢はこの言葉を、「事務処理」ではなく「段取り」という意味で使っています。 どんな仕事でもまず全体の設計図(グランドデザイン)を描き、それに沿って具体的な段取りを組み、行動に移す。これがパターンでした。おそらく製紙工場についても、立ち上げ期の足場固めこそ肝心と見定めて、意図的に訪問回数を増やしたのではないでしょうか。言い方を換えるなら、 自分については「今、何をすべきか」、事業については「どこまで進めば人に任せられるか」を常に判断していたということです。

 忙しいビジネスパーソンにとっても、この考え方は応用できると思います。まずは抱えている仕事を洗い出し、最終目標を前提に「手続き」を組み、 今の自分が本当にやるべきことを考え直してみてはいかがでしょうか。意外と人に任せられること、先送りできることも見つかると思います。

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