2ページ目|第2回 捨て去る勇気とセルフ・イノベーション|ビジネスを変える! 前刀禎明のセルフ・イノベーション仕事術|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

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ビジネスを変える! 前刀禎明のセルフ・イノベーション仕事術

第2回 捨て去る勇気とセルフ・イノベーション

「社内事情」を乗り越えよう


「うちにはそんな前例がないから」「うちの会社は、そういう路線はとらないのが基本だから」などなど、新しいことをやろうとすると、必ず出てくる後ろ向きの発言。そして、「決まりだから…」「社内規定だから…」と、思考を停止させる発言。経営危機から脱却し生き残るために、多くの会社が変革を求められているにもかかわらず、自分たちの会社は大丈夫、自分たちの会社に限って危機的な状況にはならないと、高を括っている人たちが意外に多いのではないでしょうか。そして、経営破綻にまで至って、まさか自分たちの会社がと嘆く、そんな話も聞いたことがあると思います。社内事情によって社員の自発性や創造性が損なわれてしまうことで、彼らが会社を復活させる力まで奪ってしまっているのです。


誤解してもらいたくないのですが、ここで私が言いたいのは「前例を否定する、しない」ではありません。そもそも前例とは、過去に行われたこと、実績のことです。会社が創業されて以来、誰かが行ったことが実績となり、前例になります。規定だって、何もなかった時に、誰かがつくったものです。創業当時に、会社をつくっていくのは自分たち、成長させていくのは自分たち、というチャレンジ精神を持った社員が頑張って生み出したものなのかもしれません。もちろん、会社の規模も小さくて、自分たちの頑張りや貢献が会社の業績に直結し、手応えもあったから、当事者意識も高かったはずです。そうです! 私がぜひ受け継いでもらいたいと思うのは、その頃の気概、熱意、創意なのです。


いまは時代や状況が違うから、そんな意識で仕事できない、新しいことにチャレンジできないと考えてしまうのは、あまりにも残念です。会社の成長を止めてしまう原因にもなりますが、それ以上に個人の成長を阻んでしまうことが問題です。自発性や創造性は、成長には不可欠です。自分の考え方次第で、積極的に物事に取り組むことができます。好奇心をふくらませて周りを観れば、いいアイディアも浮かびます。創造的な自分になれます。社内事情なんていう呪縛や悪魔から自らを解き放ち、あなたが新しい前例やルールをつくっていきませんか。いつの間にか自分の中に棲みついてしまった固定観念から自由になることから、セルフ・イノベーションが始まるのです。


「現状維持」は退化と同じだ


現状維持では取り残される

経営環境や市場動向など変化が激しい時代に、現状を維持することは大変なことです。極力リスクをとらないで、いままでやってきた通りにおとなしくしている。賢明な策のように思えますが、実は変化についていけず取り残されているのです。気がついたら、現状維持どころか、かなり置いていかれてしまっています。競争力を発揮するものや顧客から求められるものがしっかり捉えられないうちに、あっという間に会社が退化していき、競合相手がますます力を増していく。


たとえばいま、多くのパソコンメーカーが、売上計画の大幅な下方修正を強いられています。日本メーカーのみならず、米国メーカーまで苦しんでいます。パソコン事業が苦しくなった原因は、言うまでもなくスマートフォンやタブレット端末の普及です。家庭用パソコンで行うことのほとんどは、タブレットでできてしまいます。タブレットであれば、家族1人1人に1台ずつということも可能です。起動も早く、圧倒的に便利です。


しかも、このタブレット市場では競合相手や競争の基準が変わってしまいました。もともとハードのメーカーではなく、OSなどソフトやサービスを持っている企業が参入して、新たな価値を提供し始めたのです。従来のパソコンメーカーは、ハードだけをつくっていた会社がほとんどです。それだけを続けて、現状維持を考えていたのかもしれませんが、急速に競争力を失ってしまいました。つまり、劇的な変化についていけずに、ジリ貧の状況に追い込まれてしまったのです。いまの時代、イノベーションなくして現状を維持していくことがいかに難しいかは、おわかりでしょう。


「技術立国というプライド」が邪魔をしていないか


かつて日本の家電メーカーは、その技術力で世界をリードしてきました。テレビに至っては、ほんの数年前まで世界市場を席巻していました。まさかいまのような状況になるとは、誰が予想したでしょうか。日本市場に関して言えば、アナログ放送からデジタル放送に切り替わった「地デジ化」という大きなチャンスが訪れたタイミングで、不必要なまでに価格を下げる過剰な価格競争を行ったのです。


海外のメーカーにしてやられた感はありますが、多くの人たちが必然的にテレビを買い替える時に、大赤字になってしまうほどの低価格で商品を売らなくてもよかったのではないでしょうか? もちろん、否応なく価格競争の土俵に引きずり出されたのかもしれません。しかし、価格だけに競争力を求めてしまったのは失策であったことは否めません。カタログ等で、いくつかの搭載技術をアピールしてはいるものの、競争力にできるほどの価値はなかったということでしょうか? 自信がなかったということでしょうか? 価格を下げ続け、1インチ1万円という目安が、1インチ1,000円にまで下がってしまいました。もはや利益が出るはずがありません。さらに、モデルと画面サイズの違いで、1社から20種類近くの商品ラインアップがありました。数千円差でいくつも選択肢があるという状態ですね。商品ラインアップを絞って、競争力のあるモデルをつくることも可能だったはずです。


さて、大赤字部門となってしまったテレビ事業を抱える日本の家電メーカー各社が、ここに来て、起死回生を期して取り組んでいるのがディスプレイのさらなる高画質化です。高画質という技術を誇示すれば、また日本メーカーのテレビが売れる、市場をリードできるという考えです。画質以外の価値創造を追求していないのは残念ですね。画質さえよければ売れるというのは幻想です。しかも、この高画質テレビ、価格は現在の液晶テレビの10倍で、いったい誰が買うのだろうと思わずにはいられません。


いまや、テレビなどのディスプレイは部品として調達できるので、タブレット同様、異業種の参入も可能です。たとえば、リビングルームにもっともマッチするテレビを、北欧の家具メーカーが出しました。日本では未発売ですが、テレビというものを再定義した、ひとつの例として参考にできますね。もはや、「技術立国」というプライドだけにすがっているわけにはいきません。技術という単一尺度ではなく、他の基準をつくりだし、新しい価値を感じさせ、人々を納得させることが求められています。そのためには、さまざまなモノやコトを結びつけて価値を創造する力が必要なのです。


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