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【平成の世にサムライを探して】第二十三回 岡野雅行-後編-生涯一職人として貫くのは、シンプルなビジネススタイルと「人と違うこと」|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

岡野雅行-後編-生涯一職人として貫くのは、シンプルなビジネススタイルと「人と違うこと」

他の企業ではお手上げの無理難題を解決し、技術力とともに評判を向上させ、 「オンリーワンの岡野工業」を築き上げた岡野さん。後編では、 生涯一職人として取り組む 「日本の技術」への熱い思いと、将来を担う若者たちへのメッセージをお届けします。

人と違うことを実現するには、アイディアと交渉力

岡野雅行(おかのまさゆき)プロフィール
「人が作らないもの」を作ることに情熱を燃やす、金属深絞り加工の世界的カリスマ職人として知られる。1933年、東京都墨田区生まれ。48年に旧制西武高校を中退後、父親が経営する岡野金型製作所を手伝う。60年頃より、独学でプレス加工技術を習得し、当時としては異例であった金型製作所によるプレス加工事業に乗り出す。72年、家業を継ぐとともに岡野工業に社名変更し、以降、ノート型パソコンや携帯電話の小型化に一役買った「リチウム電池ケース」や、2005年度のグッドデザイン賞を受賞した「刺しても痛くない注射針」など、数多くのオンリーワン商品を生み出してきた。自ら「代表社員」と名乗る気さくさ、江戸っ子らしい威勢のよい語り口で各種講演にひっぱりだこで著書も多い。趣味はと聞けば「仕事」と答える、根っからの仕事人である。

社員6名の小さな会社ながら、日本はもとより世界の有力企業からパートナーとして信頼され尊敬される岡野工業。その秘密は「人と違うことをする」こと。岡野さんが仕事をする上での筆頭方針とも言えるだろう。しかし、言うは易しとはこのこと。誰もができれば「違うこと」ではなくなってしまう。「そうそう、だから教えたくないのね。俺より頭がいい人がみんなできるようになったら、こちとら干上がっちゃうから」と笑う岡野さんだったが、「言っても誰もやらないから」と、その秘密についてこう明かしてくれた。

「優等生はだめだね。既にあるものから学ぼうとするでしょ。知恵をどこからか借りて来ようとするでしょ。知っていることも多いし、足りなければ勉強する。さらに、できるだけ早く正解に到達しようとするし、効率的に物事を進めようと考える。実際それで解決してきたのだろうし、評価されてきたのだと思う。でも、その結果、『考えること』を面倒がるようになっているんじゃないかな」

この言葉にどきっとした人は多いだろう。世の中には情報があふれており、見つけ出す方法も多い。情報化社会と言われ、いかに有用な情報にたどり着くかが勝負のカギを握ると言われている。しかし、そこで見落としていることも多いはずだ。

顧客のことを愚直なまでに親身になって考え、既存の知識やアイディアに頼ることなく、一から解決法を探る。その姿勢から生まれたアイディアやソリューションは誰にも真似のできないものとなる。そんな岡野さんだから、顧客からの無理難題も多かった。しかし、そんな難題にすぐさま「できない」とは言わないのが、岡野さんの「習慣」だ。

「だって、お客さんが困っているんだからなんとかしてやろうと思うでしょ。そりゃ、何でもってわけじゃないよ。でも、名刺に『プレス金型深堀り用自動装置一式』って書いたからには、それに関することについては意地でもできないって言いたくないんだよ。」

そうして生まれた「リチウム電池ケース」や「刺しても痛くない注射針」のような製品についての誕生秘話は、著書やさまざまなメディアで取り上げられている。しかし、岡野さんの「人がやらないことをする」は、製品だけではない。誰もやりたがらない「ほとんど利益が出ないような製品を短期間のみ作ってほしい」というような、無体な依頼にも果敢に取り組んできた。普通の会社なら断ってあたり前の厄介な依頼である。

岡野氏「あるお客さんから頼まれた話をよく聞くと、確かに手作業じゃ利益にならないんだな。かといって、2~3年後に台湾で工場を立ち上げることが決まっているので、機械を作って自動化しても無駄になる。じゃあ、どうしたかというと、機械を作って製品を作るから、台湾の工場ができたら引き取ってよって交渉したの。」

結果、顧客は2~3年という時間のロスもなく、しかも台湾の工場には岡野さんの工夫が詰め込まれた製造機械を導入することができた。岡野工業にとっても十分な利益をもたらしただけでなく、それ以上に得難い、顧客からの大きな「信頼」が得られたのである。このエピソードについて、岡野さんは「アイディアだけじゃなくて、直接交渉することが大切」と語る。

「交渉することを怖がったり、面倒がったりしちゃだめだね。もともと金型屋だったうちがプレス加工をはじめたのも、直接最終顧客と接触しないと、世の中でどんなものが求められているのかわからなかったから。今後、どう進んでいいのか、プレス加工業者のいいなりになっているのが堪らなかった。だから、直接お客さんと話せる立場になって、お客さんとはたくさん話をするし、問題に感じていることや欲しいものについても必死に聞くわけ。」

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