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【平成の世にサムライを探して】【第八十二回】浅葉克己|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

第八十二回 浅葉克己「トンパ文字デザインの第一人者が語る くめども尽きぬタイポグラフィーの魅力」

中国の少数民族に伝わる トンパ文字。このあまりに個性的な象形文字の魅力に取り付かれ、長年、トンパ文字を使った作品作りに取り組んでいるのが アートディレクター浅葉克己氏である。浅葉氏にトンパ文字の魅力や文字のデザイン(タイポグラフィー)の醍醐味について伺った。

1ミリの幅の中に10本の線を引く

浅葉克己(あさば かつみ)プロフィール
1940年横浜生まれ。
ライトパブリシティを経て、75年に浅葉克己デザイン室を設立する。
以後、サントリー、西武百貨店など、数々の広告作品を手掛ける。
2002年、紫綬褒章を受章。著書に『トンパのアサバイブル』(宣伝会議)、『地球文字探険家』(二玄社)などがある。

※黒字=浅葉氏

-- 文字をデザインすることに目覚めたのはいつ頃でしたか。

18の頃でしたね。僕は、横浜の神奈川工業高校の図案科、今でいうデザイン科を出ておりまして、そこで3年間デザインのやり方を習いました。そこを卒業してから、横浜の伊勢佐木町にあった松喜屋百貨店の宣伝部に入って、広告制作、ディスプレイ、内装などの仕事をしました。

あの頃はカフカとかカミュとかの実存主義がはやっていて、僕も大学に行って哲学の勉強がしたいと思ったのですが、頭より手の方が先に動いてしまうんですね。高校で習った手技をすぐにでも生かしたいと考えた。それができる仕事が宣伝部だったわけです。

松喜屋に入って間もなく、先輩の一人が佐藤敬之輔さんという文字の先生を紹介してくれまして、そこで僕は文字の世界の奥深さを知りました。それが18の時です。その後5年間、佐藤さんの下で活字の設計の修行をしました。

僕は英字のデザインから入ったのですが、当時はまだ正しい英字がなくてね。佐藤さんは、英字がメチャクチャだと街の看板や広告もメチャクチャになってしまうと考えて、英字デザインの本を作ったんです。ローマの7つの丘の一つに建っている碑文の文字を分析した本で、あれが日本におけるタイポグラフィーの原点といっていいと思います。そんな本で英字の書き方を必死に勉強しました。

-- タイポグラフィーの技術は具体的にどのように修得していったのですか。

その頃はもちろんコンピューターなどありませんから、烏口で線を書く修行を繰り返しました。どのくらい精神を尖らせて線を書くべきかと考えて、1ミリの幅の中に烏口で10本の線を引くことを自分に課しました。しかし、なかなか書けないんですよ。7本くらいが精一杯。それが22の春に初めて引けた。あれは達成感がありました。後に自分で助手を持つようになってから、その行為をすべての助手に強要するようになったのですが、結局できたのは一人だけでした。

世界一面白い象形文字

-- トンパ文字との出会いについてお聞かせください。

トンパ文字20年くらい前ですか、友人の中西亮さんにトンパ文字が書いてある本を見せてもらったのが最初でした。中西さんは京都の印刷屋の社長さんで、世界中の文字を収集していた人です。その文字を見て僕が思わず「こんな漫画みたいな字があるわけないだろ」と言ったら、「いやいや、浅葉さん、今もあるんですよ」と彼は言う。

アジアの文字の大部分を占める表意文字とは異なる、絵のような象形文字です。こんな文字でもってコミュニケーションしている人たちがいることが実に興味深くてね。この目とこの足で確かめなければと思い立ちました。それで、トンパ文字の故郷である中国雲南省の麗江を訪ねたわけです。

-- 実際に訪れてみていかがでしたか。

浅葉氏麗江は雲南省の中でも北西の端にあり、かなりの奥地でした。昆明まで行って1泊。そこから車をひたすら走らせて丸2日。途中、大理石で有名な大理市を通っていくコースです。今は昆明から飛行機で40分程度で行けちゃいますけど、昔は大変でした。

現地に着いてみると、田園風景が広がっていて、雰囲気はまるで日本の田舎のようでした。玉竜雪山という高い山があって、いつも雲に隠れていてなかなか姿を見せてくれない。そんな美しいところです。住んでいるのは納西(ナシ)族という少数民族で、数は26万人くらいですかね。

麗江の市街地は現在では世界遺産に指定されていて、観光客が世界中から訪れるようになっています。今行くと毎日がお祭りみたいですよ。街角に裸電球がずらりとぶら下がって、露店が出てね。そして道の両側には明の時代からの建物が残っていたりするわけです。

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