ページの本文へ

3ページ目|第1回 「同期発火」が組織を強くする。|脳医学者 林成之の「逆境を打破する勝負脳講座」|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

脳医学者 林成之の「逆境を打破する勝負脳講座」
第1回 「同期発火」が組織を強くする。

自分の立場を捨てる、弱点をさらけだす。

 相手を尊敬する、その気持ちを出発点にすることが大事です。しかし、どうしてもその相手が尊敬できなかったらどうすればいいのでしょうか。私のところに来る人も、「私の上司は本当にイヤな人で、好きになるところがひとつもないんですよ。どうしたらいいんですか?」とよく言います。
 諦める、というのも一つの手ですが、もう一つの方法は「その人は自分がやがてすごい人間になるために神様がつかわした人なんだ」と考えること。そうすれば、どんなにイヤな上司でも好きになってきます。以前、北島選手を含めて北京オリンピック競泳選手の強化合宿でも言ったことがあります。「皆さんは、コーチ、監督を好きにならないとオリンピックでは力を発揮できません。コーチや監督は、北京オリンピックのひのき舞台で活躍するために『神様がつかわした人なんだ』と思ってください」と言いました。

 逆に、上司は部下に対して「こんなに出来の悪いやつが自分の部下になるなんて困ったな。これじゃ成績が落ちるな」と思うのではなく、「やがてすごい上司になるために、この出来の悪い部下を神様がつかわしたんだ」と思えば、「自分が育ててみせる」という気持ちになるはずです。

 確かに難しい話です。同時に「なるほど」と思わないと「同期発火」にならないのですから、そう簡単ではありません。しかし、組織は、考えや思いまで共有しないと強くなれない。目的は共有しないと達成できない。もちろん、目的と目標は違います。会社の目的は「仲間を作って自らが生きる」、そして最終的には社会貢献、社会やお客様を幸せにすることです。目標は、そのために何が必要で、今どこまで達成できているのか、ということを具体的に示すこと。その目標に向かって行くということが、人間の脳がいちばん力を発揮する方法なのです。

 みんながお互いを尊敬し、「同期発火」が常にあちこちで起きている組織であれば、その組織内で誰かがミスをしたとしても、「あいつの失敗を絶対取り返してやる」という思いを共有することができます。反対に、自分の立場だけを言い張ったり、守っていては、相手は傷つくだけです。さらに、その「自分を守る」という本能が過剰になると、自分の脳も壊れていきます。これは私の臨床体験からわかってきた本当の話です。脳の障害がひどくなると、脳は自分を守ろうとして神経ホルモンを出して血圧を上げる。脳のエネルギー代謝には糖が必要なのでグリコーゲンを分解して血糖値も上がってくる。それは脳からすれば自分を守るための合目的な判断ですが、結果的には過剰反応となって、余計に脳が壊れていく場合があります。組織もそれと同じだと感じています。

自分の弱点
部下には「弱点」をさらけだそう。

 目的を共有し、目標に向かって一体となれる強い組織、そして部下が成長していける組織を目指すには、リーダーは時に、自分の立場を捨てる勇気が必要です。例えば、部下に自分の弱点をさらけだせるぐらいでなければ、リーダーは務まりません。それは、人間の脳は本来、「違いを認め、共に生きる」ように機能しているからです。リーダーが自分の立場に固執したり、自分とは違う意見を排除することは、その組織にとって決して益にはならないのです。

 この講座をお読みいただいているリーダーの立場にある方々には、部下とどう「同期発火」していくかを、ぜひこれから、あらゆる場面で意識していただきたいと思います。 その点も含め、次回は、私が臨床の現場で救急救命チームのパフォーマンスを上げるために行っていたことなどをご紹介しましょう。

次回

第2回   リーダー力アップのための3つのポイント

一つのミスが一つの命と直結している救命救急センターの過酷な現場。人も、予算も、設備も、理想とは遥かに隔たりのある逆境を乗り越え、最強といわれるチームを育てあげた林先生が、「空間認知能」の重要性など人と組織の本質に迫ります。

本講座は、既存の講座を改編して、再録しています。最新号をお読みになりたい方は、日立ソリューションズの会員様向け情報提供サイト『PREMIUM SERVICE WEB(プレミアムサービスウェブ)』をご覧ください。

プレミアムサービスのご案内はこちら

PREMIUM SERVICE WEBをご覧いただくにはプレミアムサービスへの会員登録が必要です。

プロフィールや記事など、掲載内容は取材時点のものです。現在と内容が異なる場合があります。

ページの先頭へ

もっと学ぶ

もっと学ぶ

本記事の内容は公開当時のものです。本コラムに関するご意見等ございましたら、日立ソリューションズまでお問い合わせください。

ページの先頭へ