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2ページ目|第4回 スタッフのモチベーションを上げるさまざまな自由。エンパワーメント理論は覚悟を決めてやり抜くことが必要。|星野佳路の「組織活性化」講座|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

~星野リゾート流 意識改革~ 星野佳路の「組織活性化」講座
第4回 スタッフのモチベーションを上げるさまざまな自由。エンパワーメント理論は覚悟を決めてやり抜くことが必要。

社員が辞めないための仕組みや制度づくり

 エンパワーメント理論を取り入れ、フラットな組織づくりを進めていくと、辞めてゆく社員の数は減りました。しかし、人材難は解決しませんでした。その頃には運営案件を委託されることが多くなってきていましたが、案件が増えれば人材の供給が必要です。それも誰でもいいわけではない。パフォーマンスを上げるためのスキルも重要なのです。しかし、いい人材はなかなか集まりません。私が社長に就任した1991年から1998年ぐらいまで、星野リゾートは顧客を集めるよりも人材を集めるのに苦労する状況が続きました。経営の3要素は人、金、モノといわれますが、わが社は運営に特化していたので、お金はかからない。モノも要らない。問題は人なのです。古い社員が残ってくれても、新しい人が入ってこなければ成長は望めないのです。

 それでも苦心して新卒採用などで少しずつでも社員を増やしていったのですが、あろうことか、今度はせっかく新卒で入った数少ない社員が辞めていく。またもや「辞めたい」と言ってきた社員との話し合いです。あの頃は実家に戻った社員をよく追いかけて行ってご両親ともども説得したものです。ほとんど相撲部屋の親方のようでした。

 しかし、よくよく話を聞いてみると、古参社員が「組織に対する不満」を挙げたのに対し、若い社員に多かったのは、「会社は好きだが、もっと他のことをしてみたい」「仕事には満足しているが、ライフステージを高めるために」といった理由でした。「会社が嫌い」「仕事に飽きた」などの理由で退職する人は意外に少ないのです。退職の理由が思っていたものと違うことが分かり、このような理由なら工夫次第で引き止められるのではと思ったのです。じっくりと考えてみると、どうやら社員の気持ちや都合に応えられない会社の仕組みに問題がありそうだ。であれば会社の仕組みを変えればいい、会社の制度を社員のニーズに合わせようと考えたのです。

出世やキャリア、働き方にも「自由度」を

 社員のニーズを調査し、それに合わせた仕組みや制度を考えるうちに出てきたキーワードが“自由度”です。これには色々な意味がありますが、第一は“キャリアの自由度”。やりたい仕事をやれる自由度ともいえる。本来なら自分がやりたい仕事に就けることが一番ですが、現実にはなかなかそうはいかない。しかし、やりたい仕事に就けないことが不満につながり、モチベーションの低下を招き、会社を辞める原因にもなる。そこで星野リゾートでは、可能な限り本人が希望する仕事に携われる“自由度”を与えています。このようなことを会社案内等で「標榜する」会社は多いですが、本気で取り組んでいるところはそうは多くないでしょう。星野リゾートではおのおのがやりたい仕事ができているかをしっかりと調べることを徹底しています。そうすることでモチベーションが上がり業績アップにつながるのであれば、長い目で見れば安いものです。

社員の希望に応じて、多様な働き方を実現する仕組みを用意
社員の希望に応じて、多様な働き方を実現する仕組みを用意

 第二に“休みたい自由度”。星野リゾートには「エデュケーショナル・リーブ」という制度があります。これは最長1年間、会社を休職することができる制度で、「自分が成長するために、まとまった時間を使いたい」という社員が対象です。これを取得する社員に対して私は、「周囲を驚かせるようなところへ行ってほしい」と言っています。さまざまな場所を訪れる経験は、わが社のビジネスにきっと役立つと考えるからです。長期休暇だけではなく、「週休5日で週末だけ働きたい」という人や、「週4日勤務で残り3日は休みたい」という人などには、「ホリデイ社員」という制度を設け、そのような勤務を可能としました。もちろん在宅勤務社員も業界に先駆けて採用しています。また、季節に応じて勤務地を変える、という自由度もあります。これは「ヌー」という制度で、例えば春夏は軽井沢や山梨などの避暑地で、秋冬は北海道や福島のスキーリゾートと季節ごとに違う場所で働きたい社員の声に応えてつくりました。そのような社員一人ひとりの希望に応じて、多様な働き方を実現する仕組みを用意していますし、今後もさらに進めていきたいと思っています。

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