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3ページ目|第4回 スタッフのモチベーションを上げるさまざまな自由。エンパワーメント理論は覚悟を決めてやり抜くことが必要。|星野佳路の「組織活性化」講座|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

~星野リゾート流 意識改革~ 星野佳路の「組織活性化」講座
第4回 スタッフのモチベーションを上げるさまざまな自由。エンパワーメント理論は覚悟を決めてやり抜くことが必要。

出世やキャリアの自由度は「立候補」で

 最後に“出世の自由度”。星野リゾートでは昇進したい人には昇進する自由を与えています。昇進を待たされることがフラストレーションになる人もいるのです。そのため会社ができるだけ歩み寄って、昇進のための機会を得ることができるシステムをつくりました。具体的にいうと「立候補」です。“キャリアの自由度”も満たす「立候補」制は、星野リゾートではすでに定着しつつあり、人事や異動の多くは「立候補」で決まっています。例えば新しい施設がオープンする際、支配人は立候補した人の中から選ばれるのです。

人間関係がフラットで「仕事が楽しい」と感じられる職場づくり
人間関係がフラットで「仕事が楽しい」と感じられる職場づくり

 この「立候補」という方法は、予想以上の効果がありました。多くのマネージャーにとって人事は頭の痛い問題だと思うのですが、90年代、私も自ら人事を行っていた時は、抜擢すればエコヒイキ、抜擢しなければ年功序列と陰口を叩かれたものです。また、抜擢された人はどれほど優秀でも欠点が目立ちます。抜擢されたことによって周囲の目のハードルが上がり、その欠点だけが大きくクローズアップされてしまうのです。ところが「立候補」制にして、候補者の情報をオープンにすると、状況が一変しました。皆が候補者を評価し、その欠点まで承知しているわけですから、皆でその欠点をカバーしようというメンタリティが生まれるのです。さらに部下の不満も減ります。もし不満があるのであれば自分が立候補すればいいだけの話ですから。ちなみに「立候補」制のおかげで人事の悩みから解放された私は、ストレスがなくなり、高血圧が解消されました。これは本当の話です。

 私は社員に会社を辞めてほしくない。できるだけ長く星野リゾートで働き続けてほしいのです。そのために社員が働き続けられる仕組みを考えよう、会社を変えようと決意しました。それでも、今も人材の問題は完全には解決できていません。それは星野リゾートに限らず、業界全体の課題でもあります。リゾートビジネスはまだまだ人材を集めにくい面があるのです。だから私は、今後も社員の働き方がどうあるかについて、しっかり考えていきたい、と思っています。

フラットな組織づくりとは、「休憩室の愚痴」を正式な議論の場に引き出すこと

 第1回の講座において、長期的に業績を上げるために必要なことは、部下のあら探しや作業の極端な効率化ではないとお話しました。そして、スタッフのやる気というものは企業としてのパフォーマンスを上げるためにとても重要な要因なのだとも。それはケン・ブランチャードという組織論の大家が証明しています。

 組織モチベーションアップに焦点を合わせ、一人一人がやる気と責任を自覚しながら働ける仕事場をつくることこそがリーダーの役割なのです。

 そのためにはフラットな組織づくりが先決です。ただし、フラットな組織というと、ただやみくもに何でも言いたいことを言うという風に誤解されがちでが、本質は「スタッフ一人一人が自ずから判断していく」ということなのです。トップやマネジャーに頼らず、自分たちで考えて行動し、目標を達成していく。そのために必要な条件がフラットな人間関係なのです。

 「言いたいことが言えるようになる」という変革に反対する人はいません。そればかりか「オレたちは今までも言いたいこと言ってよな」という反応も少なくないはずです。しかし、そのほとんどは休憩室での愚痴に過ぎない。それを正式な議論の場に引き出すことこそが、チームリーダーの仕事なのです。

 一方で、中間管理職は厳しい立場に置かれます。中間管理職は、一般社員よりもたくさんの情報を持っていることでステイタスを保っている場合が多いのです。しかし、フラットな組織になると情報量の差はなくなり、あっという間にステイタスは失われ、部下からは詰め寄られます。実際、辞める人がいちばん出やすいのが中間管理職なのです。しかし、そんな状況であっても、あるべき方向に向かって、最短距離を最速で進む。それだけを考えていれば、歩みが揺らぐことはありません。必ず理解してくれる人がいます。「いい環境になる」と信じてついてきてくれる人たちは、必ずいるのです。

 人がイキイキと仕事をするためには、「楽しい」と感じること、それがすごく重要なのです。働く人はみな、そんな場所を探すべきだと私は思います。そしてリーダーの務めは、そのような場所を作っていくことなのです。

次回

第5回   「成功は失敗のもと」。昨日の成功に甘えず、組織をさらに活性化させるさまざまな方法。

星野リゾートでは、「経営に変化を促し継続する仕組み」づくりのひとつとして、業績の良いときこそ積極的に人事異動を行う。単に変革の歩みを止めないという理由だけでなく、その好業績は誰がやっても好業績を生んだのではないか、もっとよい人事があったのではないかというあくなき追求が秘められている。
すべてが公平な星野リゾートの人事において非常にシビアな一面を語っています。

※プロフィールや記事など、掲載内容は取材時点のものです。現在と内容が異なる場合があります。

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