Chapter02年賀状のマナー基本
自分は正しいと思って送っていた年賀状が、ビジネスパーソンとしてのマナーを無視した失礼なものだったとしたら? このページでは年賀状でありがちなNG例を紹介しながら、目上の人に好印象を与える年賀状の書き方を伝授します。

- NG
- 例1
「あけましておめでとうございます」だと、ビジネス仕様では柔らかすぎる気がして、目上の人には「賀正」と記載した年賀状を作成した。
「賀正」のほかに、「迎春」や「福」、「寿」など2文字以下の言葉は、そもそもの言葉を簡略化しあらわしているものです。目上の人に対して、この言葉を用いるのは失礼にあたると考えられます。
「謹賀新年」、「恭賀新年」などの4文字のお祝いの言葉、または「謹んで新年のご祝辞を申し上げます」などの表現を使いましょう。また、「あけましておめでとうございます」でも失礼にはあたりませんが、「謹んで」という意味の言葉を使う方がより丁寧だといえるでしょう。
部下や同僚、友人に対しては「賀正」、「迎春」、「福」、「寿」など、2文字以下の言葉を使っても問題ありません。

- NG
- 例2
年賀状の文面はいつも印字してある「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします」のみで送っている。
そもそも年賀状は、「新年を迎えられる喜びと、相手の幸せを願う思い」を伝える縁起ものです。最近ではパソコンで文字を打って年賀状を送るケースが増えています。しかし、すべて印刷された文字では味気ないですよね。目上の人や親しみを込めたい相手には手書きの一言を添えましょう。
また、手書きであっても、「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします」という定型文では相手に伝わりません。せっかく、年賀状を送るのであれば、相手の印象に残るような気の利いた一言を添えて送りたいものです。
「○○先輩の髪型、いつもすてきです。今年は、私も○○先輩を見習い、仕事も身だしなみ気合をいれていきます!」などと書いてあったら、「この人は自分のことを見ていてくれているのだな」とうれしく思うはずです。こびる必要はありませんが、「相手が幸せな気持ちになることを書く」という本来の意味を忘れずに作成しましょう。
また、目上の人に対して「いつも頑張っていらっしゃいますね」などというねぎらいの言葉は失礼にあたります。お礼や感謝の言葉とともに、最後に「今年もご指導ご鞭撻(べんたつ)のほどよろしくお願いいたします」という言葉を忘れずに書きましょう。

- NG
- 例3
昨年子どもが生まれたので、お知らせの意味も込めて子どもの写真入りの年賀状を送った。
ビジネスでのお付き合いの方に、年賀状で結婚式の写真を送ったり、自分の子供の写真を送ったりする人がよくいます。基本的にはこのようなプライベート色の強い年賀状をビジネス上のお付き合いの方に送るのは非常識です。
よく「仕事とプライベートは別」と言いますよね。それは年賀状においても同じことです。普段はビジネス上のお付き合いをしているのに、急にプライベートの写真が送られてきても相手は困惑してしまいます。年賀状の基本は「あなたに良いことがありますように」と、相手を思いやる気持ちが大切だということを忘れないでください。
場合によっては「この人は仕事よりもプライベートを優先する人」というレッテルを貼られたり、「常識をわきまえない人」と思われてしまうかも知れません。
家族ぐるみでお付き合いがあるなど、相手との関係性にもよりますが、上司や取引先など目上の人には年賀状でプライベートな写真を送るのは基本的に避けた方が良いでしょう。
また、「昨年は病気で大変でしたね」などと、相手が暗い気持ちになるようなネガティブな言葉を使うのは避けましょう。

年賀状に限らず、相手の名前を赤字で書くのはNGです。一般的に「赤字」とは、支出が収入を上回ったときに用いられる色であり、ビジネス上ではいい印象を与えません。
昔は絶縁状を赤字で書いたなどともいわれていて、縁起が悪いとされています。宛名や文字については、黒か濃紺で書くのが良いでしょう。また、ボールペンはあくまで事務用品です。
はがきや手紙を書くときには万年筆などを使うのが良いでしょう。

最近では年賀状の宛名をパソコンで入力しているケースが大半です。しかし、最も丁寧なのは毛筆による宛名書きです。
会社によっては代行業者に頼んで、すべての宛名書きを毛筆で行っている企業もあります。より好感度を上げたいのであれば、宛名は毛筆で一枚一枚丁寧に書くのがおすすめです。