Chapter01今しか見られない「歌舞伎座」という建物を鑑賞



歌舞伎座の前には、たくさんの人たち。昼の部を終えて出てくる人と、これから夜の部で入る人とでごった返している。
待合せの人垣ができており、誰もがうきうきと華やいだ顔を見せている。
「現在の歌舞伎座は4代目。大戦で3代目が焼け落ち、その一部を使って建て直したそうです。建物が国の登録有形文化財にもなっているんですよ。正直、建て直しと聞いて、残念だなぁという気持ちもあります」
正面外観は、城郭建築と社寺建築を基調にした「桃山様式」で、勢いよく跳ね上がった瀟酒(しょうしゃ)な屋根が印象的だ。旧博報堂本社や明治生命館で知られる岡田信一郎の設計で、東京タワーの構造も担当した内藤多仲が構造設計を行っているという。
見上げれば、赤い提灯がずらりとならび、紫に鳳凰丸紋が染め抜かれた垂れ幕が下がる。銀座の町に溶け込み、何気なく見ていた建物だが、なくなってしまうときくと確かに寂しい気がする。中に入ると赤い絨毯に赤い柱、ここそこに日本画が飾られ、レトロな雰囲気が漂う。
歌舞伎座の正面玄関左右には「絵看板」が掲げられ、古風で華やかな江戸の芝居小屋の雰囲気を彷彿させる。3部構成のそれぞれが鮮やかな色で描かれた肉筆画で描かれており、物語の一部が紹介されている。世界的に芸術性を評価されている「浮世絵」は、この絵看板から派生したものなのだそうだ。
Chapter02初心者には欠かせない、上手なイヤホンガイドの使い方

予習をしたとはいえ、登場している役者とその役柄、物語の歴史、背景やあらすじなど、予備知識は皆無。そんな初心者の強い見方となってくれるのが「イヤホンガイド」だ。
「『イヤホンガイド』を使うと、歌舞伎の魅力を十分に味わうことができるでしょう。演目の内容や役者の名前、舞台の仕掛けなどを、舞台の進行に合わせて解説してくれます。台詞や物語の内容ばかりでなく、仕草、振りの意味や見せ場、大道具や小道具、衣裳の名前や意味と特徴などもわかるため、全く歌舞伎の知識がない方でも舞台を楽しむことができますよ」
入り口脇のコーナーで「イヤホンガイド」を借りる。さっそく装着して聞いてみると、まだ昼の部と夜の部の間の時間だが、イヤホンからは義経千本桜の簡単なストーリーや見どころが流れている。休憩時間には、出演者からのメッセージも流れ、解説者も変わるため、通いなれたファンにも人気があるという。それでもおくださんは、イヤホンガイドだけに頼りすぎるのは望ましくないという。
「演目の内容が分からなくても、演じる役者や音楽、美しい着物や化粧、大掛かりな舞台のセットなど、見どころはたくさんあります。物語の流ればかりに気を取られず、ぜひ、感性で観ることも忘れずにいてほしいですね」

イヤホンガイドには英語版も用意されているため、外国からのお客様も、安心して招待できる。どのように歌舞伎を紹介しているのか、興味のあるところ。
Kabuki is one of Japan's traditional stage arts along with Noh, Kyogen and Bunraku. It is said to have originated in the seventeenth century when it was first performed by the female dancer Izumo-no-Okuni and her troupe in Kyoto.
出典:英文日本絵とき事典(JTBパブリッシング)
英語に自信がある方は、英語版に挑戦してみてもおもしろいかも?(タカハシ談)
それでは、イヤホンを片手に実際に劇場の中に入ってみよう。