Chapter04敬語・言葉遣いNG集その3/電話編
アンケート調査で「自信がない」という人が多かったのが、電話での敬語・言葉遣いです。
このページでは、電話をかける際や応対の際に敬語や言葉遣いのNG例と、その正しい使い方を解説します。
電話を受けるとき
Case. 1
相手が名乗ったとき、相手の名前を復唱する
- 相手「○○社の大島です」
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「大島様でございますね」
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「大島様でいらっしゃいますね」
ちなみに「~でございます」は、自分の名前につけて「高橋でございます」と言ったり、相手に「山田部長はいらっしゃいますか」と聞かれて「山田でございますね」と言ったりするときに使います。
Case. 2
相手が名指しした担当者に電話を取り次ぐ
- 相手「高橋様はいらっしゃいますか?
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「高橋でございますね、少々お待ちください」
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「高橋ならおります、すぐ呼んでまいりますので1、2分お待ちいただけますか」
これは日本語として間違いではありませんが、できるビジネスパーソンの言葉遣いとは言えません。「高橋でございますね、ただいま変わります、少々お待ちください」もしくは、上の例のように「高橋ならおります、すぐ呼んでまいりますので1、2分お待ちいただけますか」と言うと、より具体的で親切です。
Case. 3
お客様から、上司の「山田部長」への伝言を頼まれた場合の受け答え
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「かしこまりました。山田に申し上げておきます」
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「かしこまりました。山田に申し伝えておきます」
自分が上司に直接何か言う場合は「申し上げます」でいいのですが、この場合、敬意を払うべきなのは電話をしているお客様なので、自分の上司に対して敬語を使うべきではありません。「申しておきます」または「申し伝えておきます」が正解。
電話をかけるとき
Case. 1
電話に出た相手に、担当者がいるかどうか聞く
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「大島様はおられますか?」
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「大島様はいらっしゃいますか?」
「おられます」は、「おります」という謙譲語に無理やり「られる」を付けたもの。たとえば「来る」に「られる」を付けて「来られる」というように、普通の動詞に「れる・られる」を付けると尊敬語になりますが、謙譲語に「れる・られる」をつけても尊敬語にはなりません。この場合は「いらっしゃいますか?」が正解です

- 課題
- 「部長が不在のときにお客様から電話があり、部長への伝言を頼まれる」という設定で電話応対。伝言内容は必ず復唱するのがルール。
タカハシ「はい、○○社でございます」
先生「おそれいります。私、●●株式会社の大嶋と申します」
タカハシ「お世話になっております。●●株式会社の大嶋様でいらっしゃいますね」
先生「お世話になっております。山田部長いらっしゃいますか?」
タカハシ「山田でございますね、確認いたしますので少々お待ちください」
(確認して)
タカハシ「お待たせいたしました。申し訳ございません、部長の山田はただいま外出しておりまして、16時半の戻り予定となっております。よろしければご伝言を伺いますが」
先生「そうですか。実は明日御社にお伺いするお約束でしたが、用事が入ってしまい、お伺いできなくなりました。詳しいことは後でご連絡しますので、取り急ぎ、そのことだけ山田部長にお伝えいただけますか?」
タカハシ「かしこまりました。明日弊社にいらっしゃる予定でしたが、いらっしゃれなくなったとのこと、山田に申し伝えます」
先生「よろしくお願いいたします」
タカハシ「タカハシが承りました。失礼いたします」
「伝言を言い換えて復唱するところが思ったより難しく、混乱してしどろもどろに……。謙譲語と尊敬語の違いは、後で復習します」
「全体的にとてもよくできていますよ。私がタカハシさんの上司を『山田部長』と言ったのにも釣られず、『山田』と言い換えていますし、伝言内容を復唱するところでも、相手が言った敬語を適切な形に言い換えています。これがスラスラとよどみなく言えるようになったら、敬語を十分に使いこなせていると言えるでしょう」
お客様からの電話では「15時にそちらにお伺いするお約束なのですが、10分ほど遅れてしまいました。山田部長に、遅刻する旨をお伝えください」と言うような伝言を頼まれることもあります。
こんなときは「10分の遅刻でございますね」と復唱するのではなく、「かしこまりました。ではご到着は15時10分でございますね」と言うように、「遅刻」、「遅れる」といったマイナス表現は避けるのがお客様への気遣いです。