Chapter02睡眠の基礎知識と「眠い」悩みへの対策方法
「眠くなる」症状も「眠れない」症状も、睡眠のメカニズムに関係しています。
具体的な悩み解決法をご紹介する前に、まずは睡眠に関する基礎知識を解説します。
睡眠には、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」という二つの種類があります。「レム睡眠」は、浅い睡眠で夢をよく見ます。睡眠の前半(寝入り)はその長さが短く、睡眠の後半(朝方)になると長くなる特徴があります。
一方の「ノンレム睡眠」は、ほとんど夢を見ない睡眠です。寝てから3時間の間に、特に深いノンレム睡眠が集中的に発生するという特徴があります。
図のように、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」はセットになっており、寝てから目覚めるまでに、90分周期で4〜6回繰り返されます。こうした睡眠のサイクルを考えると、たとえば、4時間半、もしくは6時間、7時間半……というように、90分の倍数分の睡眠時間をとるのが、もっとも効果的で目覚めやすい眠り方ということになります。
アンケートでは、20代の約6割が眠気に悩んでおり、その半数が「日中に眠くなる」という症状を抱えているという結果が出ています。ここからは、そんな症状の解決法をご紹介します。
実は睡眠は、自分が満足する長さより"少し短め"にした方が、質がよくなります。睡眠には、長さが足りなくなると、その分、質を上げてカバーしようとする特性があるからです。もちろん、睡眠の質がよくなれば、日中の集中力も増します。
たとえば、平日は、20代の一般的睡眠時間より少しだけ短めに、毎日6時間眠るようにしてみましょう。ただし、それを続けていると睡眠不足になる可能性があるので、休日に多めに寝て、不足分を補うのがコツです。睡眠というのは、事前にまとめて寝だめすること(=貯金)はできませんが、少しずつ借金をして、それを後から返済することはできるのです。
ただし、休日に昼まで寝ると体内時計がずれてしまうので、起床は朝10時までに。寝る時間を数時間早くしてその週の寝不足分を挽回しましょう。
人間は、適正な睡眠時間をとっていれば「いつ寝てもいい」というわけではありません。何時から何時まで寝るのがベストかというと、午前0時〜午前6時。同じ睡眠時間でも、この午前0時〜午前6時というベストタイムに寝るのと、たとえば明け方の午前3時〜午前9時まで寝るのとでは、睡眠の質に大きな違いが生じます。
なぜかというと、レム睡眠には、午前3時から6時ごろの朝方に多く出るという特徴があり、深いノンレム睡眠には、寝てから3時間の間に集中的に出るという特徴があるから。つまり、午前0時に就寝した場合には、最初の3時間は深いノンレム睡眠をとり、3時からはレム睡眠を十分にとることができますが、午前3時に就寝した場合、交代で出現するはずのレム睡眠とノンレム睡眠が同時に出現するため、どちらも不完全になってしまうのです。
午前0時〜午前6時に完全に合わせるのは無理でも、大きくずれないように心がけてみましょう。
また、規則正しい生活をすることも大事です。不規則な時間帯で寝起きしていると、体内時計がずれて、通常なら眠くならない時間に眠気を感じやすくなります。
逆に、毎日決まった時間に寝起きすると、成長ホルモン、コルチゾール(体内の栄養素をエネルギーに変えるホルモン)、メラトニン(眠くなるホルモン)といったホルモン分泌や、体温の上り下がりが、睡眠時間に合わせて調節されるようになります。そうなれば、昼間に眠気を感じにくいのはもちろん、睡眠の質がよくなり、深く眠れるようになります。
本当です。寝る前の食事は、体の"ダイエット機能"を妨げます
睡眠中、人間の体内では、コルチゾールというホルモンが働き、脂肪を分解しエネルギーに変えて生命を維持しています。つまり、人間は寝ている間に、ダイエットをしているということです。
しかし、寝る前に食事をすると、コルチゾールが働かなくなり、体は消費されるはずだったエネルギーをためこんでしまうのです。