Chapter04贈り方マナー ~手土産編~
「手土産」は、ビジネスパーソンにとっては、もっとも日常的に贈ったり贈られたりする機会の多い贈答品でしょう。手土産を贈る際のマナーや注意点を、シチュエーション別に解説します。
値段の目安
2,000円~3,000円程度。
おすすめの品
個包装のお菓子の詰め合わせなど、手軽に食べられるもの。相手の職場に包丁がない可能性もあるので、切り分ける必要があるものは避けた方が無難。お客様の会社や部署の規模、人数を考えて、全員に行き渡る個数を用意することが大切です。
「特におすすめなのは、手ごろな値段で、個数が多いおせんべいやラスクです。並ばないと買えない話題のスイーツを持って行くのもおすすめ。相手がそのスイーツを知らなくても、はやっている物であれば、話のきっかけ作りになりますよ」(岩下先生)
また、ケーキなど、その日のうちに食べなければいけない生菓子を持って行くなら、お昼ごろまでに伺うようにしましょう。夕方ごろに持って行くと、食べる時間がないため、相手が困るかもしれません。
体裁マナー
赤白のちょう結びの水引に、のしを付けて。表書きは、なくてもかまいませんが、「御挨拶」が一般的。「お菓子」などと、品物名を書いてもかまいません。洋風のお菓子の場合は、のしと水引の代わりにリボンをかけてもらってもOK。
贈り方マナー
お客様にあいさつの言葉を述べた後、着席する前に、紙袋から贈答品を取り出して差し出すのが基本です。ただし、相手が部署に戻る際に持ち運びに困りそうなら、「袋のままで失礼します」と一言添えてそのまま渡してもOKです。
また、「つまらない物ですが……」と言いながら渡す方法に抵抗を感じる人も多いようです。
しかし、これは「私としては誠心誠意あなたのために選んできた物ですが、あなたの前にお持ちしたら、あなたが素晴らしい方だから、私のお持ちした物がつまらないものに思えます」という意味なので、決して失礼ではありません。ただ、現代では、「今話題のお菓子なので」とか「お口に合うとうれしいのですが」などと言って渡した方がいいかもしれません。
値段の目安
3,000円~5,000円。普段、手土産をお持ちするときより少し高めのものを選びましょう。
おすすめの品
おすすめの品物は、お菓子、おせんべいなどの食べ物や、お酒など。手土産と同様、相手が喜んでくれるものを選ぶのが基本。
「新橋にある和菓子屋、新正堂の『切腹最中』は、おわびの品として売れているそうですよ。こうしたユニークな品を贈ると、おわびの気持ちも表現できますし、相手の怒りもおさまりやすいかもしれません」(岩下先生)
体裁マナー
赤白のちょう結びの水引に、のしを付けて。表書きは「深謝」とします。
贈り方・渡し方マナー
おわびの言葉に誠意を込めることが何より大切です。おわびをした後「せめてものおわびの気持ちです」といった言葉を添えて渡しましょう。
風呂敷は結んで使うもの?
最近は紙袋を使うことがほとんどですが、本来、贈答品を持参するときには、風呂敷で包みます。若い世代で正式な風呂敷の包み方を知っている人は、ほとんどいないのでは?
20代読者521名に聞いてみたところ、「風呂敷は結んで使うもの」と思っている人が大半(約7割)でしたが、実はお弁当のようにぎゅっと結ぶ包み方は、お使い包みと言う略式の包み方。あらたまった贈答品の場合、結び目を作らずに折り畳む包み方(平包み)が正式です。この方が、風呂敷にシワを作らずサッと畳むことができ、品物を取り出すのもスムーズなのだそう。