Chapter06会話をスムーズにする「要約」のトレーニング
相手との会話が途切れた際、相手の言葉を引き出すテクニックとして「これまでの内容を要約し、繰り返してあげる」という方法があります。
例えば「今までの話をまとめると、要点は3つですよね。1、納期を遅らせて欲しい。2、配送先を変更するので、搬入方法も変わる。3……」というように、
それまでの会話のポイントを要約し、相手に投げかける。これには以下のような効果があります。
- 会話が途切れていた場合は、次の言葉を相手が発するきっかけになる。
- これまでの会話が整理できることで、話している相手自身も要点が確認でき、
会話がスムーズかつスピーディーになる。 - 相手の話をきちんと〝聞けている〟……つまり、理解しているということを相手に伝えることができる。
また、ポイントが異なっていた場合や誤解していた場合は軌道修正することができる。
つまり、うまく「要約」を行うことができれば、相手への信頼感にもつながるということです。
また、グループディスカッションの司会役などを行う際はこの「要約」のスキルは必要不可欠となります。
しかし、慣れないとなかなか難しいのがこの「要約」のスキル。実際に身につくトレーニングをご紹介します。
朝礼のスピーチなど、普段耳にするスピーチの多くは3分程度だと思います。
それを自分自身で10秒?30秒ほどに要約してみましょう。
新聞のコラムや社説、映画などの内容を自分なりにまとめてみましょう。
実際にやってみると、「ポイントを抜き出す」には「思い切って捨てる」という行動も必要なことがわかると思います。
特に10秒程度にまとめる際は、「このエピソードは必要か」「このエピソードは抜いても伝わるか」と取捨選択に迷うことでしょう。
しかし、これを日常の中で繰り返していくことで、相手の言葉を聞きながらポイントをまとめていくトレーニングとなるはずです。
慣れてしまえば、自分の話したいことで頭がいっぱいになったり、ポイントがわからなくなったり……ということもなくなるはず。
いかがでしたか。要約は単に相手の言葉を引き出すだけでなく、「信頼されるためのスキル」でもあります。ぜひ頭の中に入れておいてください。
注意!
ビジネスコミュニケーションにおいて非常に有効な「要約」ですが、逆効果になる場合もあります。
- プライベートで会話を楽しんでいる時
- ただ会話を楽しんでいる時に、「それってこういうことだよね?」とまとめられると逆にムッとする人も多いはず。
また、ストレス解消などで「ただ話を聞いて欲しい」という人に行うのも、「話を早く終わらせたいと思ってるのかな」と思われてしまい逆効果です。
プライベートで楽しくおしゃべりを楽しんでいるときは、あえて〝まとめない〟というのもひとつのやり方です。 - 怒っている相手に応対している時
- 上記と同じように、この「要約」のテクニックは怒っている相手には逆効果なことも。 次のChapterで詳しくお話しますが、感情的になっている相手、怒っている相手にはなるべく使わないように気をつけましょう。