Chapter04電話越しで相手に説明する場合
このページでは、対面よりも「言ったはずなのに伝わっていなかった」というトラブルが多い電話での説明を例に、誤解を招かないための説明のポイントを学びます。
最初に「相手に伝えたいテーマ・要点の数」を伝える
話の着地点が見えない
- 打ち合わせで聞きそびれたことを確認するためクライアントに電話をかけた。「先日の進行日程が変更になったんですよね?あと、来週のお打ち合わせの日程も変えていただきたいのですが……」と話した。

最初に「相手に伝えたいテーマ・要点の数」を伝えると、相手にとって理解しやすい説明となります。これを「ナンバリング」と言います。「先日の見積もりの件で、お聞きしたいことが2点あります」「この新商品が今までのものと違うポイントは3つです」などと最初に伝えると、相手が自分の頭の中で話の要点を整理しながら聞く必要がなくなりますから、分かりやすさにつながるのです。
このように話し始めるためには、話す前に自分の頭の中で、「伝えたいテーマ・要点」を分類し、ポイントごとに番号をつけて整理しておく必要があります。ナンバリングは、たとえて言うならば、頭の中に「箇条書き」を作る作業です。電話の場合は特に、相手が急いでいるといった状況が分かりにくいため、話の着地点を最初に示すと相手も対応しやすいでしょう。
要件の数を先に伝えて、ひとつずつ確認する
- 自分「2点確認させてください。1つ目ですが、A案件の進行日程は変更ということで間違いないでしょうか。」
相手「はい、変更でお願いします。」
自分「承知いたしました。あともう1点ですが、恐れ入りますが、来週の訪問日程の調整をお願いできませんでしょうか。」
リアクションを促し、理解度を推し量る
一方的に話し続ける
- Hは、出先にいる後輩に、電話で明日の仕事について指示を出した。Hは、「明日は、午前中は出社して現状を報告してくれる?それで打ち合わせしながらお昼でも食べて、で午後はN社との打ち合わせがあるから16時には支社に戻ってくれ。……」と話した。

電話の場合は、相手の反応が見えないため、相手が話を理解しているかどうか分かりにくいものです。そこで、言葉で必ず「○○ということですね」と復唱し、一つのポイントごとに「ここまでよろしいでしょうか?」と確認することが大切です。
また、「間」の取り方も非常に大切です。センテンスとセンテンスの間や話の区切りで、「間」を入れなければ、相手が相づちを打ったり、何となく分からなかったりということを示す隙もないでしょう。逆に「間」を作ることによって、相手に「返事をしなくてはいけない」という気持ちにさせるわけです。「間」を作ることで、相手にリアクションを促し、理解度を推し量ることができるのです。
一つの要件ごとに間をおいて、相手の理解を確認する
- H「もしもし、明日は少し早いが8時までに出社し、A案件について報告を頼む。」
後輩「あ、分かりました。」
H「午後は、N社との打ち合わせだ。事前打ち合わせは、昼食時に行おう。打ち合わせの時間は覚えているか?」
後輩「たしか16時でしたよね。承知しました。」
声のトーン・話すスピードに気を遣う
早口、声が暗い、など
- Mは、自分が急な案件を抱えている時に、得意先からの電話を受け、つい早口になってしまった。何を言っているか分かりづらかったうえに、クライアントへの印象を悪くしてしまった。

人に正確に物事を伝えるためには、言葉での説明が分かりやすいことはもちろんですが、それ以外に、ジェスチャーやアイコンタクト、話し方など非言語の部分での「表現力」も重要になります。特に電話では、相手にとって情報は言葉だけになるため、対面の時よりも、発する声のトーンや言葉のニュアンスなどに気を配る必要があります。
基本は、はきはきと感じのいい話し方。どうしても、声のトーンが暗い人は、テレビのサザエさんが言うように「はい! サザエでございまーす!」と言ってみましょう。それがワントーン高い、明るいあなたの声。その声で電話応対してみてはどうでしょうか。また、忙しい時はどうしても早口になってしまいがちです。早口になると聞き取りづらくなりますから、受話器を取る前にうなずいてみるなど、ワンテンポ置いてから電話に出る習慣をつけましょう。
「恐れ入ります」「よろしければ」といった「クッション言葉」も電話においては必要です。お客様との電話の場合は「ありがとうございます」を時折はさむと、感じよく柔らかい印象になります。
自分の声のトーンや話すペースを意識しながら話す
- 手が離せない最中の電話であったが、まずはひと呼吸置いてから受話器を取った。慌ただしさを相手に伝えないように、穏やかな声で対応するように意識した。