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キャッシュレスで何が変わるのか・Chapter1:日本におけるキャッシュレスの現状|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

変わり始める“お金”のスタイル キャッシュレスで何が変わるのか

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プロフィール

海老原 要 氏

海老原 要 氏

経済産業省 商務・サービスグループ 消費・流通政策課 市場監察官

1996年4月 通商産業省(現・経済産業省)入省
2017年6月 商務流通保安グループ 消費経済政策課 市場監視官
2017年7月 商務・サービスグループ 消費・流通政策課 市場監視官

Chapter1日本におけるキャッシュレスの現状

モノやサービスをお金で買う……これは経済の、というより日常生活において当たり前の行動です。ただ、買い物の際にお金を支払う“スタイル”が、いま大きく変わり始めています。いま注目の「キャッシュレス」をめぐる事情について、キャッシュレス社会に向けた取り組みを推進する経済産業省の海老原要氏の話を交えながら解説していきます。

従来、お金といわれて私たち日本人が真っ先に思い描くのは間違いなく「キャッシュ(現金)」でした。長い間、日本では現金への信頼度がきわめて高く、商品・サービス購入時の支払いに現金が重宝され続けています。

しかし昨今は、クレジットカードの利用が促進され、デビットカードや、JR東日本のSuicaに代表される交通系電子マネー、楽天Edy、nanaco、WAONといった流通系電子マネーも普及。さらにはApple Pay、LINE Payといった新たなサービスも広まりを見せ始め、決済や個人間送金に現金を用いない「キャッシュレス」が徐々に浸透してきています。「このような状況の中、消費者側の利便性向上と事業者側の生産性向上という両側面から、いまキャッシュレスのさらなる普及が期待されています」と海老原氏は説明します。

ところで、「キャッシュレス」の定義とは何でしょうか。ごく簡単にいうなら、物理的な現金(紙幣や硬貨)を使わずに支払いや送金取引などを行うことです。現在、キャッシュレス決済で利用されるのは、クレジットカードや電子マネー、デビットカードが主流となっています。最近はここに、スマートフォンを使った新たな決済手段も加わってきました。

キャッシュレスとひと口にいっても多様な種類があります。クレジットカードは決済手続き後に銀行口座から引き落としが行われる「ポストペイ(後払い)」型の決済方法。これに対して交通系・流通系の電子マネーは、あらかじめ一定額を入金(チャージ)しておき、利用金額をそこから引き落とす「プリペイド(前払い)」型です。デビットカードや一部のモバイルウォレット(QRコードやNFCを利用)は、登録した銀行口座から決済時にリアルタイムに引き落とす「リアルタイムペイ(即時払い)」型。近年注目のApple PayやLINE Payはスマートフォンを利用した決済手段で、クレジットカードや電子マネーを登録したり、あらかじめ一定額をチャージしたりして使用します。

メディアで時々報じられるのでご存じの方も多いでしょうが、現在、世界各国でキャッシュレス化の動きが進展しています。「北欧のスウェーデンでは現金での取引を極力減らすというドラスティックな取り組みが国を挙げて進行中です。お隣の中国や韓国もキャッシュレス決済が飛躍的に伸びています。その一方で、日本は欧米・アジアのキャッシュレス先進国と比べて、キャッシュレス比率が高くはありません」と海老原氏は指摘します。

経済産業省が2018年4月に発表した「キャッシュレス・ビジョン」に掲載された「各国のキャッシュレス決済比率の状況(2015年)」によると、日本のキャッシュレス比率は18.4%程度にとどまっています。一方で、韓国は89.1%とほぼ9割に達し、中国は60.0%。カナダ、イギリス、スウェーデン、アメリカといったキャッシュレス先進国も軒並み40~50%となっています。

各国のキャッシュレス比率の状況(2015年) 出展:経済産業省「キャッシュレス・ビジョン」(2018年4月)

各国のキャッシュレス比率の状況(2015年)
出展:経済産業省「キャッシュレス・ビジョン」(2018年4月)

内閣府がまとめた別の資料で日本のキャッシュレス比率は2015年18.2%、2016年20.0%、2017年21.3%と伸びてはいるものの、いずれにしても20%程度のレベルですから、こうした国々と比べると日本はまだまだ“キャッシュ天下”だということができます。

たしかに、自分自身や周囲の人たちの行動を思い返しても、交通機関利用時など一部を除けば、クレジットカードをはじめとするキャッシュレスで積極的に決済を行うケースはそう多くないことが実感できるのではないでしょうか。そもそも小さな飲食店や小売店舗などクレジットカードを受け入れない事業者が多いですし、受け入れるお店であっても少額決済では使えない(3,000円以上でないとダメ、など)、あるいはランチタイムのカード決済は断られるといったシーンにしばしば遭遇します。

日本でキャッシュレスが普及していない理由について、詳しくはChapter3で触れます。いずれにしても現状の日本では、ある程度の現金を常に持ち歩いていないと、行動に不便を感じることは間違いありません。では、なぜ、いまキャッシュレスが求められているのでしょうか。次回は日本におけるキャッシュレス推進の流れについて見ていきます。

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公開日:2019年1月22日

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