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デジタルトランスフォーメーションの基礎知識・Chapter5:レガシーシステムの放置がもたらす“2025年の崖”|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

最新技術で付加価値を生み未来を生き抜く デジタルトランスフォーメーションの基礎知識

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Chapter5レガシーシステムの放置がもたらす“2025年の崖”

前編のChapter3で「餅は餅屋」という表現を使いました。日本ではITシステムの導入を始めた時期から、システム構築をベンダー企業にほぼ丸投げするスタイルが定着しています。いわばシステム構築に関しては継続して契約するベンダー企業に任せっきりで、ユーザー企業側はどのようなシステムができあがっているかわからない、つまり「ブラックボックス化」が発生するに至っています。

システム更新時期がきても、同じベンダーに「またよろしくお願いします」と発注するだけなので、ブラックボックス状態は継続します。システム担当者が人事異動する際も特定のベンダーに頼ればいいと引き継ぐだけで、新たな担当者になってもブラックボックスが続いてしまいます。不運なことに、かつて大規模システム開発を担った担当者が大量に定年退職する時期を迎え、属人化していたノウハウが次代につながっていかない、という背景もあります。

レガシーシステムの運用管理と保守に人員が充てられる

この状況ではユーザー企業がレガシーシステムの問題を発見することは難しく、ユーザー企業からの依頼がない以上ベンダー企業が問題を発見することも容易ではありません。

加えて、一つのベンダーのみに依存していると、システムを構成する技術や製品も特定ベンダーに偏っているため、他のベンダーの製品やサービスを新たに導入してシステムを作り変えることが困難になる、いわゆる「ベンダーロックイン」の状況が発生しています。

さらには、日本企業は以前から続くこの慣習の中で成功体験を続けてきたので、経営者の頭の中にも「このままでいい」という意識が定着していた傾向が見られます。仮に現場が問題を感じて提言しても、聞く耳を持たない経営者が多かった可能性があります。

よって、いまさらシステム刷新を考えても、ユーザー企業側にノウハウがなく、すでに動くに動けない状況に追い込まれているというわけです。にもかかわらず、既存システムは運用管理と保守を続けなければならず、そのために資金と人材が費やされます。「DXレポート」に掲載されたJUASの「企業IT動向調査報告書2017」によると、日本企業のIT関連予算の8割以上が既存システムの運用・保守に充てられているといいます。

こうなると、新しく入ってきたIT人材にも古いシステムの運用・保守を担わせなければならず、人材の有効活用もままなりません。また、DX推進に回すべき予算を本来なら不要な既存システムの運用・保守に充てざるを得なくなり、「技術的負債」(Technical Debt)と呼ばれる一種の負債と化している場合もあることが指摘されています。

その結果、日本企業のIT投資は「守りのIT投資」に重点的に割かれてしまい、新たなバリュー構築に向けた「攻めのIT投資」を中心とする米国企業との大きな差が生まれているといわれます。

IT投資における日米比較 出展:「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」

IT投資における日米比較
出展:「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」

2025年ごろにはデジタル競争に負ける恐れ

こうしたレガシーシステムを放置し続けると、日本企業にははたしてどのような未来が待っているのでしょうか?

「DXレポート」では、レガシーシステムの放置は「リスク」であるとし、その刷新を進めていかなければ「“2025年の崖”を迎える」としています。

爆発的に増え続けるデータを活用しきれず、DXを実現できないままでいると、市場の変化に対応して柔軟なビジネスモデルを構築・推進することができず、2025年頃にはデジタル競争の敗者になると「DXレポート」は強調しています。

技術的負債が高まり、既存システムの維持にIT投資の9割以上を費やさなければならなくなり、コスト的にも大きな負担になります。さらには、レガシーシステムを刷新できないとサイバーセキュリティの脅威が増し、システムトラブルによる損害も増え、実害に加えて社会的なレピュテーションリスクも生じるなど、企業は大きな痛手を被ります。

その結果、2025年以降、日本全体で現在の約3倍に上る毎年最大12兆円の経済損失が生じる可能性がある--これが経済産業省の言う“2025年の崖”です。

こうした状況に遭遇するのを避けるため、経済産業省では2018年12月に「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」を発表、レガシーシステム刷新とDX推進にあたって経営者や取締役会メンバーが押さえるべきポイントを整理して提示しました。今後はユーザー企業が自社のITシステムを“見える化”し、把握するための診断指標も構築していく予定です。これらを参考に、日本企業はDX実現に適したITシステム構築を進めていく必要があるでしょう。

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公開日:2019年6月17日

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