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デジタルトランスフォーメーションの基礎知識・Chapter8:行政におけるDXの推進|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

最新技術で付加価値を生み未来を生き抜く デジタルトランスフォーメーションの基礎知識

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Chapter8行政におけるDXの推進

ここまで民間企業におけるDX推進の意義と現状を見てきましたが、DXはなにも企業の取り組みに限定されるものではありません。Chapter1で紹介した「DXとは、クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術を利用し、新しい製品・サービス・ビジネスモデルを通して価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」という定義に立ち返れば、行政サービスにおいてもDXを推進する意義があることはわかるでしょう。

みなさんは「役所に行く」という言葉からどういったイメージが浮かぶでしょうか。役所に行くという行為は住民票発行なり保険の手続きなり、何らかの行政サービスを受けるためのものでしょうが、おそらくは手続きに手間や時間がかかり、「めんどうくさい」というイメージを持っていると思われます。

役所における手続き、あるいは多くの役所内での業務自体が非効率になっている現状は、否定できないでしょう。行政分野では、まだまだ紙の書類を使うケースが多いのが現状です。もちろん電子化は進められているのですが、膨大な数の行政手続き全体から見ればまだまだ途上、あるいは緒に就いたばかりという感が否めません。IT化(電子化)がそのままDXを意味するものではないことを前編で説明しましたが、こうしたさまざまな行政手続きについても、単に紙などのアナログ手段で行っていた業務をITに置き換えるのではなく、業務自体の見直し(業務改革:BPR)を前提としてデジタル技術を活用することが効率化につながると考えられます。それは国民にとっても行政にとっても新たな付加価値となることは間違いありません。

行政の世界でDXが進むと、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。たとえば、役所で何らかの手続きを行うとき、さまざまな部署をまわって同じ内容を何度も記載して提出しなければならないケースがあります。デジタル化されることで、一度の手続きで複数部署の処理が済むようになれば、住民はもちろん役所にとっても効率化を実現できるでしょう。

また、記入した書類に記載ミスや不備があった場合、あとから訂正を要求されたり、何度も役所に赴いて提出しなければならなかったりするケースもあります。これもデジタル技術によってミスや不備があらかじめ判明していれば、一度の手続きで済むことになるでしょう。

こうしたDXへの期待は、行政手続きや役所での作業のみにとどまるものではありません。行政自体がデジタル化されることで、さまざまなデータを活用する基盤が整い、その先には各種データを政策立案などに活かしていく“政策のデジタルマーケティング”の実現があります。いまや民間企業ではデジタルマーケティングが当たり前のものとなっていますが、これが行政レベルにも反映されることで、国民の暮らしが大きく変わることが期待されます。

経済産業省のDX取り組み例 出展:経済産業省「行政デジタル化に関する政府全体の動向と経産省の取組」

経済産業省のDX取り組み例
出展:経済産業省「行政デジタル化に関する政府全体の動向と経産省の取組」

実際に、国家レベルでDXを進めている国の例を紹介しましょう。北欧のエストニアは人口130万人程度の小国で、財政難に悩んでいました。ソ連からの独立をきっかけに行政の効率化に取り組み、さまざまな行政サービスをデジタル化。現在は教育、医療、選挙をはじめ多様な分野でデジタル化が進んでいます。行政手続きの面でも政府が立ち上げたデータプラットフォームが機能し、国民は一つのIDでさまざまな行政サービスにアクセスできます。

シンガポールもデジタル化が進んでいる国の代表です。スマートフォンのアプリケーションからさまざまな行政サービスにアクセスできるほか、国土全体を3D化する「バーチャル・シンガポール」の取り組みを進め、土地・建物や交通の流れをリアルタイムに可視化することをめざしています。このデータを共有し、防災、渋滞緩和といった都市問題の解消につなげる考えです。

日本も国・都道府県・市区町村と、同様の手続きを各行政組織に個別に行わなければならない縦割りの現状が続けばあまりに非効率です。それがビジネスの許認可に関するものであれば、昨今重視されている迅速性(アジリティ)の点でも弊害が出かねません。IT化・電子化とそれに続くDXによって、さまざまな手続きがワンストップで行えるようになれば、エストニアやシンガポールのような新たな可能性も見えてくるのではないでしょうか。

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公開日:2019年6月17日

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