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第1回 リーダーは「挫折力」を身につけよ|冨山和彦の「挫折力」と強いリーダーの条件|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

冨山和彦の「挫折力」と強いリーダーの条件
第1回 リーダーは「挫折力」を身につけよ

「挫折力」とは、これからのリーダーに欠かせない、人生のチャンスを拡大させてくれる大きな力です。果敢なチャレンジと多くの失敗を乗り越えてこそ、獲得できる挫折力について、今と昔のリーダーのあり方を比較しながら、その重要性、その磨き方を考察していきます。

混沌の時代に決断を求められるリーダー

バブル経済がはじけて以来、日本には長いトンネルに入ったような閉塞感が続いています。どこにその出口があるのか懸命に探しているうちに、アメリカに端を発した経済不況がユーロに飛び火し、今や世界中が明日の見えない混迷の時代に突入してしまいました。国内景気は一向によくならないのに、異常なほどに円高がすすみ、日本経済をけん引してきた大手輸出企業は為替によりその利益が毎日のように飛んでしまっています。また、市場のパイも人口減少のために縮小している上に、海外から安い商品がどんどん入ってきていることで、国内企業はものを作っても売れる場所さえなくなってきています。

こんな状況はいままで誰も経験したことない未知の領域。そのため、その処方箋を書いてくれる人もいません。「ああじゃない、こうじゃない」と言っているうちに事態はさらに進み、いろいろなことが手遅れになっていきます。そこで、真っ先に求められるのが『リーダーの決断』です。変化の激しい今の世の中、確実な答えはもはやないに等しいのですが、それでもリーダーが決断しなければ組織は動きません。リーダーは動きながら決断し、決断しながら動くことが必要になってきます。例え間違ったとしても、すぐにただせばいいのです。失敗を恐れていては何も決断できないですし、何も行動できません。正解のない世界で組織を動かすリーダーが信じるのは、自分だけであることを肝に銘じておきましょう。

日本を停滞させたエリートリーダーの弊害

私は産業再生機構にたずさわり、企業の倒産や再生の修羅場を数多く見てきました。そのために、リーダーの役割の大きさ、決断の重要さを痛感しています。リーダーがもっと早く決断していたら、その会社はここまで事態がひどくならずにすんだというケースはたくさんあるのです。そうしたリーダーは会社や組織の舵取りに結果的には失敗したといえますが、それぞれの人たちは優秀な人だというのは確かです。それでは、なぜ、彼らは舵取りを失敗したのでしょうか。

今のリーダーは調整力ではなく、決断力が必要
今のリーダーは調整力ではなく、決断力が必要

今までの日本の社会では、一流大学を卒業し、一流企業に就職し、出世コースを歩んできた人がリーダーになるケースがほとんどでした。いわゆるエリートと呼ばれる人々です。そしてそのリーダーに求められるのは、巨大な組織をまとめるための調整力。戦後の高度成長の時代は、そういうリーダーのもと日本の企業は大躍進を遂げてきました。勤勉で、技術力、開発力のある日本人は、良いものを安く、大量に生産する能力は抜群でした。原材料を輸入して、それを付加価値のある製品にするという決められた流れの中で起こる問題は、想定できる範囲内のものでした。問題が起こった場合の対処方法をマニュアル化し、それに沿って行動すれば、現場で解決することができました。問題解決のための調整をすることがリーダーに求められる役割だったのです。

しかし、バブルが崩壊し、日本よりも安く、技術の高い海外製品が登場し始めたため、今までのような大量生産体制下でのマニュアルに沿った対処方法では対応することができなくなってきました。誰もが想定できなかった問題が、日々噴出し続けているにも関わらず、現場の人間も、リーダーも、誰も解決策が見出せない。そんな中、誰かが決断しなければ先に進めなくなったとき、その決断を下すのはリーダーしかいません。リーダーは調整だけではなく、決断を迫られる場面が増えてきたのです。調整力があれば通用していたこれまでのリーダーに、決断力が求められるようになったということは、それはあたかも野球を得意としてきた人に、急にサッカ―の監督をやれというようなもの。ルールが違う、スピードが違うのです。結果、決断ができない、冒険ができないリーダーが続出してしまいました。これがエリートリーダーの弊害なのです。

決められた仕事を効率よくやれば予測できる結果が得られた時代から、何をやれば良い結果が得られるのかが分からない時代へ、日本は大きく様変わりしました。こうした時代には、自分から進んで答えのない世界に飛び込もうとしない(決断しない)限り、その決断自体が正解か否か分からないので、失敗を恐れるエリートリーダーは心もとない存在となります。つまり、これからのリーダーとは、失敗を経験し、「挫折」しているかどうかがとても重要なポイントとなるのです。

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