講演レポート:「RPAは自動化の万能ツール!」今でもそう思いますか?|Prowise Business Forum|株式会社日立ソリューションズ

株式会社 日立ソリューションズ

Prowise Business Forum in TOKYO 第101回

「RPAは自動化の万能ツール!」今でもそう思いますか?
~価値創造に向けた業務プロセス改革の新潮流~

 2020年2月20日に、東京都港区高輪のシナガワグース内、ザ ランドマークスクエア トーキョー 29F コーストにて、Prowise Business Forum in TOKYO 第101回が開催され、多くのご来場者にお集まりいただき盛況のうちに終了しました。今回は基調講演に、経済・経営ジャーナリストの桑原 晃弥氏をお招きし、トヨタを支える「トヨタ式」の心髄と、トヨタならではのチーム作りの考え方について解説いただきました。
 日立ソリューションズからは、RPAの選定・導入・運用・事業化のプロセスと、効果の創出、顕在化した課題について自社で取り組んできた事例をもとに解説いたしました。
 また、Workatoセッションでは、クラウドシフトとAPIエコノミーによる環境変化を「ビジネステクノロジー」「オートメーション」というキーワードを紐解きながら数々の事例を交えてご紹介しました。
 そして最後に、参加者から寄せられた質問に答える形式でパネルディスカッションが用意され、サイコロ型IoTデバイスを使ったリアルタイムアンケートも活用しながら、登壇した講演者による活発なトークが展開されました。

開催概要

日時 2020年2月20日(木) 14:00~17:10(13:30受付開始)
会場 〒108-0074
東京都港区高輪3-13-3 シナガワグース内(旧ホテルパシフィック東京)
ザ ランドマークスクエア トーキョー (品川駅高輪口徒歩1分) 29F コースト
主催 株式会社日立ソリューションズ

プログラム

14:05~
  • 【基調講演】
    トヨタ式に学ぶ みんなの知恵を活かした強いチームのつくり方
15:05~
  • 【日立ソリューションズセッション】
    RPA導入企業の約40%が失敗するのはなぜか!?
16:00~
  • 【Workatoセッション】
    APIエコノミー時代における業務自動化アプローチと情報システム部門に求められる役割
16:40~
  • 【パネルディスカッション】

【基調講演】
トヨタ式に学ぶ みんなの知恵を活かした強いチームのつくり方

桑原 晃弥氏
経済・経営ジャーナリスト
桑原 晃弥氏
【講師プロフィール】

1965年、広島県生まれ。慶応義塾大学卒。業界紙記者などを経てフリージャーナリストとして独立。トヨタ式の普及で有名な若松義人氏の会社の顧問として、トヨタ式の実践現場や、大野耐一氏直系のトヨタマンを幅広く取材、トヨタ式の書籍やテキストなどの制作を主導した。著書に『トヨタだけが知っている早く帰れる働き方』(文嚮社)、『トヨタ 最強の時間術』(PHP研究所)、『スティーブ・ジョブス名言録』(PHP研究所)、『1分間バフェット』(SBクリエイティブ)、『伝説の7大投資家』(角川新書)などがある。

 基調講演では、自動車業界が直面する100年に1度の変革期に対し、どのようにトヨタは勝ち残ろうとしているのかについて、トヨタ式の書籍を多数手掛ける専門家が解説した。

CASEが自動車業界にもたらす100年に1度の大変革

 世界屈指の自動車メーカーであるトヨタは、2019年3月期決算の発表では売上高が30兆2256億円、営業利益は2兆4575億円、販売台数は1060万台と非常に好調な状況にある中、豊田社長から発せられた言葉には、“100年に1度の大変革期に入った”、“生きるか死ぬかの戦いが始まっている”といった強い危機感が表れていた。また、“競争相手は自動車会社だけではない。GoogleやApple、Facebookのような会社がライバル”なのだという。

 「100年に1度の大変革期という背景には、CASE(Connected;接続、Autonomous;自動運転、Shared;共有サービス、Electric;電動化)という自動車業界の新しい技術トレンドがあります」と桑原氏は語る。CASEへと車社会がシフトすることにより、系列や販売会社をどうするか、これまでのように稼げるのか、異業種との経験したことのない戦いに勝てるのか、日本の製造業は大丈夫か、といった危機に直面しているという。

危機の中で生き残るためのではなく勝ち残るためにトヨタ式が役立つ

 では、そうした危機の中でトヨタはどうやって勝ち残るつもりなのか。桑原氏は「トヨタは“生き残る”という発想ではなく“勝ち残る”ことにこだわるのです」と話す。そのポイントは3つある。1つ目は車を作る会社からモビリティサービスの会社に変わること。トヨタは最近、静岡県裾野市に「ウーブン・シティ」と呼ばれるロボット・AI・自動運転・MaaS(Mobility as a Service;移動手段のサービス化)・パーソナルモビリティ・スマートホームなど先端技術を生活環境に導入する実験都市を発表したり、創業者の夢であった空飛ぶ自動車の開発をめざすと宣言したりしている。2つ目は2025年までに販売する車の半分をEV(電気自動車)・HV(ハイブリッド車)・PHV(プラグインハイブリッド車)・FCV(燃料電池車)にすること。3つ目はスピードとオープン。オールジャパン体制や、チームトヨタ(トヨタ・ダイハツ・日野・スバル・スズキ・マツダ)の構築、自前主義からの脱却、お互いの強みを全体の強みに変えて勝ち残りたいとしている。

 その勝ち残りに役に立つのがトヨタ式だ。「基本的には働く人たちの知恵をいかに引き出しながら、良いものをより早く、より安く作るという考え方で、サービス業や自治体にも採用されています」と桑原氏は述べる。アメリカのGE社やアップル社も取り入れているという。

 トヨタ式は、人間の知恵の上に自働化(工程を改善して品質を高める行動)とJust In Time(必要なものを必要な量だけ必要なときに生産または調達する方法)の2本の柱が立っているといわれる。人間の知恵を引き出し生かすためには2つの要素が必要となる。1つは「見える化」。問題がみんなに見えるからこそ知恵が出るからだ。もう1つは「ムダどり」。ムダを省いて、ただの動きを働きへと変えていく。重要なのは、機械の仕事と人間の仕事を明確に分け、人間には良質のサービスや創意工夫といった知恵を使う仕事をさせることだという。

トヨタ式の改善活動は個人単位からみんなの知恵を生かす形に変化

 トヨタ式はみんなの知恵に支えられているといわれるが、その理由として、難題を解決するカギや活動の原点である創意工夫(改善)とチームワーク(みんなの知恵を引き出してみんなの能力を生かす考え方)にあるという。トヨタの改善には2種類あり、日々のムダを取る「ムダどり型改善」と、大きな目標を掲げる「課題解決型改善」を実践しながらみんなの力をまとめていく。また、知恵は全員がもっており、それを引き出せるようにすることが大事だが、良きチームは一朝一夕にはできない。そのため、トヨタ式の改善活動も最初は個人単位だったが、やがてみんなの知恵を生かす形に変化していった。「1人で悩むより100人で悩みたい」、「1人の100歩より100人の1歩ずつ」、「知恵がないのではなく知恵を引き出すための知恵が不足している」、「仲の良いケンカをしろ」といった言葉が使われていったという。

 チームのあり方を考える上で、桑原氏は参考としてグーグルが導き出した生産性の高いチームの5つの特性として、心理的安全性や信頼性の高さ、社会に対する影響などについても紹介した。また、チームが機能しないと感じたリーダーが行動を振り返る15のチェックリストも紹介した。

 最後に桑原氏は、「トヨタが実践しているように、大きな目標を掲げながらもチームとして一人ひとりの社員が一つひとつを積み重ね、きちんと仕事をしていく風土を作ることがとても大事です。そして強いチームの核になるのが良きリーダーであり、良きマネージャーなのです」と語り、基調講演のまとめとした。

【日立ソリューションズセッション】
RPA導入企業の約40%が失敗するのはなぜか!?

松本匡孝
株式会社日立ソリューションズ
営業企画本部 営業戦略部
部長代理/エバンジェリスト 松本匡孝

 日立ソリューションズセッションは、エバンジェリストの松本が社内のRPA活用事例を紹介し、そこで見えてきたRPA導入の効果と課題及び改善の方法について論じた。

RPAを250業務に拡大し2万6,800時間分の作業削減に成功

 日立ソリューションズは2015年に日立グループの事業再編に伴い、基幹システムが日立製作所が提供するグループ共通基盤に変わった2016年から働き方改革をスタートしたのに合わせ、RPA導入の検討を開始。2017年にRPAを全社展開し、2018年に160業務(人事、労政、総務、経理、財務、情報システム)の自動化を行って6,800時間を削減した。2019年には250業務(調達、営業企画、各事業部門)に拡大し、横展開したことで2万6,800時間分の削減に成功している。一方でRPAの国内販売も手掛け、2017年に「ワークスタイル変革ソリューション」をリリースし、各ソリューションと一緒にRPAグローバルビッグ3の一角である「Automation Anywhere」を国内の一次代理店として販売を開始。2018年にはそれを活用した運用支援クラウドサービスの提供を開始した。そしてこれらの成果が米国Automation Anywhere社に認められ、2019年「Automation Anywhere Partner of the year」を受賞することができた。

 「当社の働き方改革は2014年頃から開始していましたが、2016年にさらに強化され、テレワーク浸透による柔軟な働き方実現での育児・介護退職者ゼロ、メンタル罹病率のIT業界最低水準などをめざすとともに、総実労働時間100時間削減に向けた施策のひとつとしてRPAの活用も視野に入れ目標を立てました」と松本は語る。その働き方改革の一環で行われた「ムダ取りワーキング」の成果発表では、RPA適用業務を洗い出し、RPAを率先して活用した部署での効果が顕著に表れ、その好影響が他部署にも波及するなど一定の成果が確認されたという。

RPA化が難しい業務には「人とロボットの協創」と「APIエコノミー」を提案

  日立ソリューションズのRPA導入は3つのフェーズで実施された。第1段階は目的/目標設定。導入目的の整備、現状業務/システムの課題の洗い出しと見える化、適正業務の選定、目標(KPI)の設定など。その後PoC(実機検証)を経て、第2段階は製品の選定。ロボット開発、適用業務、管理機能・メンテナンス性などを分析。第3段階はRPA(Automation Anywhere)の導入と運用。運用体制の整備、ユーザー部門への展開、部品・ナレッジ共有、開発勉強会の開催、ポータル開設などを進めた。

 RPA導入の結果、250業務に導入が拡大し、2万6,800時間分の削減に成功したが、人の確認や判断が必要な業務や、サービス提供ベンダー側の都合でバージョンアップや画面変更が頻繁にあるクラウドサービスを活用する業務などはRPA化が難しく、例えば当社の経理部門ではある業務において業務プロセス全体の中で、自動化を断念した部分が38%残っているものもあり、規模の大きな業務であることから年間820時間が手作業になっていた。

 松本は、「ロボットの実行プロセスに人の判断を組み込む運用や、管理機能を操作させずに簡単にロボットを実行する運用、システム変更や機能追加の影響を受けない自動化、異なるRPA製品間の連携などが必要と考え、『人とロボットの共創』、『APIエコノミー』というキーワードを提案しています」と述べる。

 最後に松本は、APIエコノミーの一例として、人とあらゆるサービスをつなぎ一連の業務を自動化する「Workato」の概要を紹介し、次のセッションにつなぐかたちで講演を終了した。

【Workatoセッション】
APIエコノミー時代における業務自動化アプローチと情報システム部門に求められる役割

鈴木浩之氏
Workato, Inc.
Country Manager, Japan 鈴木浩之氏
【Workato社について】

Workato社は、Enterprise iPaaS ( integration Platform as a Service ) のリーディングカンパニーであり、ワールドワイドで3,500社を超える企業への「Workato」の導入実績を持ちます。クラウド(Office365、Salesforce、ServiceNow等)・オンプレミスのシステムと連携するコネクタを標準で400以上、サンプル業務フロー(レシピ)数を225,000以上用意しています。

 Workatoセッションでは、iPaaS(integration Platform as a Service;異なるアプリケーションを連携させ、業務プロセスの自動化を実現するクラウドサービス)のベンダーであるWorkato, Inc.の日本責任者が、オートメーション(自動化)をテーマに米国での導入事例を交えて解説した。

米国企業は多数のクラウドアプリケーションを使いこなしてAPIエコノミーを促進

 鈴木氏は、冒頭の自己紹介で、「Work Automationという意味のWorkato(ワーカート)は、業務を自動化する概念で2013年にシリコンバレーで設立。2019年12月に日立ソリューションズと代理店契約を結び、国内でのビジネスを開始しました」と説明する。

  米国では、情報システム部門(IT部門)の名称をビジネス・テクノロジー(BT)と改称する企業が出始めているという。従来IT部門はインフラやソフトウェアなどの導入・運用・保守といった役割がメインだったが、急激なクラウドシフトとAPIエコノミーによる環境変化でこのような業務が減り、ビジネスへ影響を与えるというミッションに変化しているため、BTへとシフトしているという。APIエコノミーとは、APIを公開したり、利用することで他社とのサービス活用を拡大させていく経済圏あるいはビジネスのこと。DX推進においては、非常に重要な要素となる。米国の企業は、数百~数千というクラウドアプリケーション(マイクロサービスも含む)を使いこなし業務を行うため、会社全体の自動化はもちろん、社外の業務の自動化も進める必要があり、それがAPIエコノミーを促進させているという。

オートメーションとは全社レベルでの業務自動化を意味する

 また、これまでのインテグレーション(データ同期/アプリケーション連携)は限られた専門家がコントロールし、大規模なプロジェクトでのみ実現していたため変更が困難だったが、近年はビジネスの要求が高度化し、オートメーション(業務プロセス自動化+データ同期)が主流となりつつある。専門家のみならずビジネスシステム担当者、アプリケーション管理者、ビジネスアナリストなどでも扱いが可能になるなど、ビジネスの変化に俊敏に対応し、アジャイルで容易かつ短時間で実現が反復な点が特徴だという。

 「かつては、ERPのインターフェース開発に数ヶ月かかっていましたが、現在は5~10分の1の速さで簡単に実装が可能です。弊社が言うオートメーションとは、単一のアプリケーションの中や個人が行う業務の自動化だけではなく、複数アプリケーションや複数部門にまたがる全社レベルの業務の自動化を意味します」と鈴木氏はいう。その上で、BTが考慮すべきは、1)セキュリティとガバナンス要件を担保できる仕組みを整備し、2)ビジネスチームが効率良く目的を達成できる環境を迅速かつ全体最適で提供することが求められるという。

 オートメーションのレベルは多様であり、3つのレベルに分けられる。レベル1:アプリケーション間のリアルタイムなデータ同期、レベル2:全社レベルの業務フローを複数アプリケーションや組織を横断するプロセスの自動化、レベル3:単一UI(ユーザーインターフェース)上で複数アプリケーションを使い分ける新たな業務実行環境である。Workatoは、クラウド上のアプリケーションやAPIだけではなく、社内ネットワーク(オンプレミス)で稼働するアプリケーションともシームレスに連携できる。また、自社のAPIエンドポイントを公開することで、社外(取引先・パートナー)とも連携する役割を果たすという。

RPAを実装してITコストのインテグレーション費用を5%未満に削減

 次に鈴木氏は、Workatoを活用した海外の事例をいくつか紹介した。あるロジスティクス企業は、取引先のシステムがAPIを提供しておらず、人による定型操作が必要で、注文データの確認頻度が多く、受注後すぐに基幹システムと連携する必要があった。Workatoの導入によりわずか4時間でRPAによるインターフェースを実装でき、ITコストの25%を占めていたインテグレーション費用を5%未満に削減したという。

 また、あるFin Tech系企業では会社規模が拡大し、業務が増えエンジニアに依存していた業務がボトルネックとなり、生産性が低下していました。しかし、Workatoを使うことでこの業務を自動化し、その後のロジック変更も業務チームが簡単にできるようになり、従来3か月かかっていたインテグレーション要件も2~3週間で実現可能になった。また、営業担当者のフォローが迅速かつ高精度になり、顧客獲得率が5倍になったという。

 さらにある流通大手は、求人募集に課題を抱えていたが、Workatoを活用した新システムでは、Web広告から求人情報を自動的に収集するとともに、各店舗近隣の競合他社などの賃金を従業員がカメラで撮影するなどして実態を把握・分析することで、最適賃金・報酬をオファーできるようになり、効果的な採用と離職率低下につなげている。

 鈴木氏は、「自動化においては自分たちが受け持っている業務プロセスの改革・改善のアイデアが非常に重要です。現状行っている業務を正と考えるのではなく、全社レベルの業務をどうやって付加価値をつけ、最大限に効率化するかを考えて自動化をめざすべきでしょう」と提案する。

 そして最後に、自動化プラットフォームを選定するためのチェックリストを紹介し、自身のセッションを終了した。

【パネルディスカッション】

松本匡孝
―パネリスト―
●Workato, Inc. Country Manager, Japan 鈴木 浩之 氏(左)
●株式会社日立ソリューションズ 営業企画本部 営業戦略部
 部長代理/エバンジェリスト 松本 匡孝
サイコロ型IoTデバイス
日立ソリューションズが開発したサイコロ型の入力装置「サイコロ型IoTデバイス」。
目的の数字を上にするとワイヤレスで投票できる。

 最後に設けられたパネルディスカッションでは、価値創造に向けた業務改革をテーマに、Workato, Inc.の鈴木氏と、日立ソリューションズの松本が再び登壇。サイコロ型IoTデバイスを活用したリアルタイムアンケートや、申し込みフォームで事前に皆様からお寄せいただいた質問に答える形で進められた。

RPA導入では目的やメッセージを伝えて現場の意識を変えてもらうことが重要

RPA導入では目的やメッセージを伝えて現場の意識を変えてもらうことが重要

 サイコロ型IoTデバイスを使った最初のアンケートは、「本セミナーにご参加いただいた目的を教えてください」というもの。それについては、「RPA導入済みで情報収集」が最も多く、次いで「RPAの運用に課題を抱えていて解決策を探している」、「RPAの導入を検討している」、「APIエコノミーに興味があった」と続いた。

 申し込みフォームでお寄せいただいた最初の質問は、自動車関係の製造業の方からで、「数十年も同じ業務を同じルーティーンで行っている社員は改革に後ろ向き。特にRPA導入については自分の仕事が奪われてしまうのではと積極的に協力してくれない。前向きに参画してもらうにはどのように説明すればいいのか」というものだった。

 それについて松本は、「RPAを導入目的で導入すると、ツールを使うために何かを犠牲にする印象を与えてしまいます。残業を減らしたい、業務を楽にしたい、社員のモチベーションを上げたいといった目的を実現するための業務の自動化なので、RPAはその手段に過ぎないと説明することが必要です」と答える。

 鈴木氏は「経営者が現場の方たちにしっかりと目的やメッセージを伝えて意識を変えていただくことが重要だと思います」と話す。

 続いて、製造業の方からの、「設計業務での導入状況、実例について教えてください」という質問について、松本は「ある製造業の企業様は、RPA導入を主導されたのが設計部門でした。活用するPLM(製品ライフサイクル管理)は汎用的な画面が多く、図面の登録・変更作業が大きな負担でしたが、不要な画面をスキップする作業をRPAで実行することで担当者の負担を大幅に軽減しています」と回答。

 鈴木氏は「RPAとは異なりますが、あるお客様はDevOps系ツールを使い、短時間でコミュニケーションを実施したり、承認したりする仕組みを作ることで、自動的にデプロイメントされるような時間短縮の効果を実現した企業様があります。既存のプロセスに固執しないことがポイントです」と紹介した。

RPAでアプリケーション操作を模倣しないAPIコールという方法も選択肢のひとつ

RPAでアプリケーション操作を模倣しないAPIコールという方法も選択肢のひとつ

 次は、金融業のお客様からの質問で、「少しでも業務負荷を下げたくてRPAを現業の片手間で導入したいが、どのようにすれば有効活用できるか。突き詰め過ぎるとシステムとの違いがなく、反対に安易に要件定義や設計を簡単に済ませてしまうと後に問題が出てしまう」という悩みだった。

 

 松本は「RPA導入を安易に進めてしまうと、やはりトラブルが発生してしまうので、要件定義や開発のプロセスが必要だと考えがちですが、RPAは簡単な業務に使うことが前提なのでシステム開発とは異なります。業務を選定し、運用体制を作れば、システム開発に比べて格段に業務の自動化は実現します」とアドバイスする。

 

 一方、鈴木氏は「大手ベンダーのクラウド・アプリケーションならばAPIが充実しているはずですので、RPAでアプリケーション操作を模倣せず、APIを1~2件コールすれば自動化は可能になります。今後、日本でもAPIエコノミーが浸透してくれば、APIをコールする文化が主流になるのではないでしょうか」とRPAを使わない方法を提案する。

 

 サイコロ型IoTデバイスを使う2回目のアンケートは、「御社の業務プロセス改革の取り組みについて教えてください」というもの。結果は、「部門で個別に取り組んでいる」がトップ投票となり、「全社として取り組んでいる」、「その他」、「計画中」の順となった。

 

 続く3回目のアンケートは、2回目の回答を受け、「では『過去に失敗した』『取り組んでいない』を選択した方にお伺いします。その理由は?」というもので、会場の回答は「経営層に取り組む考えがない」が最多となり、「推進組織・体制がない」という回答もあった。

 それについて、鈴木氏は、「海外では楽をして仕事をしたいという考えがベースにあり、ムダな作業があったら経営層に上申することも普通に文化として存在します。日本企業の方はムダな業務も我慢して受け入れていることが多く、海外では考えられないことです」と述べる。

RPAは専門部署による集中開発か、ガバナンスを効かせた上で現場主導での開発か

 最後に紹介された質問は、商社系のお客様からで、「各部署でRPA開発者をどのように育成するか。育成後、現場で開発されるロボットをどのように管理、統制、保守を行っていくか。→特に保守においては、開発者が異動する可能性もあるため」というものだった。

 

 松本は、「RPAは開発部署を作ってそこが集中的に開発するか、それとも現場に委託するのかを問われることも多いのですが、人材と予算に余裕があれば1ヶ所でまとめて開発した方が効率はいいでしょう。そうではない場合は現場に任せることになりますが、野良ロボット(管理者不在・不明のRPA)が発生しないよう統制を取りながらツールを作って権限移管することが望ましいと思います」と答える。

 

 鈴木氏の考えは少し異なり、「私は分担して進めるべきだと思っています。現場の業務を細かく把握した上で、集中的に開発することは社内の人的リソースもそれなりに費やさなければならず難しいケースもあるでしょう。開発部署がコントロールしながら、現場のガバナンスやセキュリティを担保した上で使えるツールを選び、業務を熟知した現場主導で開発を進めてはいかがでしょうか。そのためには、現場でもツールを使いこなすスキルを身につけなければなりませんが」と進言する。

 

 それを受けて、松本も、「現場の方がRPAを作るにしても難しい業務や複雑な業務も多いため、私もそのハイブリッド案に同意します。RPAを取りまとめる開発チームが存在し、現場が自動化したい業務をロボット開発するのをサポートするという形が望ましいですね」と提案した。

 今回は、サイコロ型IoTデバイスを使ったリアルタイムなアンケート集計が機能し、興味深い傾向を得ることもできた。こうした試みを再び実施することも視野に入れ、パネルディスカッションは終了した。

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〒140-0002 東京都品川区東品川4-12-6(日立ソリューションズタワーB)
E-mail : pbf@hitachi-solutions.com

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