講演レポート:第103回 デジタル革新の成否を分けるデータマネジメント |Prowise Business Forum|株式会社日立ソリューションズ

株式会社 日立ソリューションズ

Prowise Business Forum 第103回

デジタル革新の成否を分けるデータマネジメント
~データ価値を最大化する「データガバナンス」とは~

2020年9月9日に、Prowise Business Forum第103回が開催されました。前回に続いて今回も新型コロナウイルスの影響に配慮し、オンライン形式での開催となりましたが、定員を上回る皆さまにご参加・ご視聴いただき、盛況のうちに終了いたしました。
 今回の基調講演では、経済産業省 商務情報政策局 情報経済課の沼尻氏にご登場いただき、Society5.0時代における他社とのデータ利活用連携や国際的にも注目を集める「アーキテクチャ」の考え方と関連政策についてご紹介いただきました。
 続くパートナーセッションでは、Talend株式会社の角田氏が、データガバナンスが必要な理由と具体的な取り組みの手順およびその効果についてご説明しました。
 また、日立ソリューションズからは、データの民主化を推進するための最適なデータ利活用プラットフォームの在り方や、データガバナンスを実現するためのソリューションをご紹介しました。
 さらに今回は、チャット機能を活用した質疑応答も用意し、ご視聴中の参加者とセッションの講演担当者との間で活発な質疑応答もおこなわれました。その内容もお伝えします。

開催概要

日時 2020年9月9日(水) 14:00~15:30
会場 Webセミナー
主催 株式会社日立ソリューションズ

【基調講演】
Society5.0時代に求められる考え方と今後の政策展開について

沼尻 祐未氏
経済産業省
商務情報政策局 情報経済課
課長補佐 沼尻 祐未 氏
【講師プロフィール】

2014年、経済産業省入省。資源エネルギー庁資源・燃料部政策課、新エネルギー課、大臣官房総務課を経て、2018年6月より現職。経済産業省が提唱する「Connected Industries」の主担当として、ものづくり/自動走行・モビリティ/バイオ・素材等の分野における AI・IoTの活用を推進。また、AIスタートアップの事業支援にも取り組む。

 基調講演では、国内外におけるデータとデジタルの現状と今後について、そしてSociety5.0を高度に実現する「アーキテクチャ」の重要性について論じられた。

米中巨大プラットフォーマーが展開する新たな戦いに日本も巻き込まれる

 冒頭、沼尻氏はデータとデジタルをめぐる現状と課題について言及した。「第4次産業革命の第1幕では、顧客データや販売データなどサービスの拡大・向上に必要なデータが、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazonのビッグテック企業群)に代表されるデータプラットフォーマーに握られ、日本のIT産業は“小作人化”しています」と語る。

 次の第2幕では、バーチャルデータだけではなく、リアルデータをいかに活用していくかに主戦場は移っていくという。健康・医療・介護、製造現場、自動走行など、リアルなデータの利活用サイクルを回し、革新的な製品・サービスを実現していくことが肝となる。そのためには、日本は協調領域と競争領域とを切り分け、自動車や産業機械など強みを活かせる戦略分野でプラットフォームを創出・発展させていくことが必要だという。

 実際に、米中の巨大プラットフォーマーは、コンテンツなどのデジタル領域から、実店舗での小売やIT化したスマートホーム、自動運転などリアルな領域へ急速に事業を拡大。製造大手企業も、自社製品をスマート化しデータを取得・解析することで、ITソリューションビジネスへの事業転換を図っている。
「ITによってリアルデータを活用し、高付加価値の新たなサービスを展開するという戦いに、日本も巻き込まれていくことになるでしょう」と沼尻氏は予想する。

 日本の経済産業省は、2016年から第4次産業革命の重要政策である「Connected Industries」の概念を提唱し、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合する社会「Society5.0」を実現していくため、新たな付加価値の創出や社会課題の解決を官民で取り組んできた。Connected Industriesとは、さまざまな業種・企業・人・機械・データなどがつながり、AIなどによって新たな付加価値や製品・サービスを創出し、生産性を向上することで、高齢化・人手不足・環境エネルギー制約などの社会課題を解決するもの。産業競争力の強化や国民生活の向上、国民経済の健全な発展をめざす。

 日本にも強みはある。国民皆保険による個人に紐付いた経時的な健康データや、自動車に関連するプローブ情報・3D地図・走行データ、生物資源における微生物のゲノムデータ、工作機器における稼働状況・熟練技術など、国際競争力のあるリアルデータを豊富に有している点だ。そのため、Connected Industriesでは、1)自動走行・モビリティサービス、2)バイオ・素材、3)スマートライフ、4)プラント・インフラ保安、5)ものづくり・ロボティクスの5つを重点取り組み分野に指定し施策を推進しているという。

アーキテクチャの不在は日本企業が直面している課題の根本

 続いて、沼尻氏はデータとデジタルの今後について論じた。これまでConnected Industriesでは、データプラットフォームやAIの開発を推し進めてきたが、さらに高位のSociety5.0に近づくために、「アーキテクチャ」の重要性に注目し、さまざまな政策を推し進めている段階だという。

 Society5.0は、デジタル化・データ化が進み、システム同士がつながり、AIで人間を介さずにデータがやり取り・処理される社会のことだが、それを可能にする全体の見取り図・設計図となるのがアーキテクチャだ。アメリカではNIST(米国国立標準技術研究所)がアーキテクチャ設計やサイバー空間の標準技術の研究に取り組んでいる。目標となるビジョンをどのようにシステムに落とし込むかという観点からアーキテクチャやリファレンスモデルを設計し、スタンダードを決め、サイバーセキュリティの方針を検討。それを経て最終的にプロジェクトが組まれ、システム全体のつながり方やつながった後の対応をルール決めして実装に至る。

 一方、日本では、ビジョンが掲げられるとすぐにプロジェクトが組まれ、実証が繰り返して行われることが多い。結果として、システム全体の見取り図や設計図を作ることが難しくなり、一部の企業の間だけでシステムが連携できることを確認するに留まっているという。  沼尻氏は「アーキテクチャの不在は、日本企業が今直面している課題の根本ではないかと考えています」と危機感を募らせる。データ連携により、あらゆる主体がつながっていく中で、システム全体の基本設計となるアーキテクチャが欠如していれば、研究開発、製品・サービス開発、デジタル投資、事業戦略の策定が進まないという現象を引き起こしかねないという。

DADCでプロジェクトを組みアーキテクチャ設計に乗り出した日本

 諸外国では、政府主導でシステム連携のためのアーキテクチャ設計を先行させている。日本も、国内の数少ない専門家をプール化・育成し、官民が協力してアーキテクチャ設計に取り組む体制が必要となる。「今後、産業基盤として重要な分野や人材不足の課題を抱える分野でアーキテクチャを先行的に設計していくことを考えています」と沼尻氏は見通しを語る。

 その動きは始まっている。2020年5月、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)に「デジタルアーキテクチャ・デザインセンター」(DADC)を設立した。DADCとは、重要分野のアーキテクチャ設計依頼や、民間企業が設計したアーキテクチャのレビュー・標準化支援、設計プロセスのオープン化、国際連携、人材の育成・循環などで、日本の産業におけるアーキテクチャ設計力の強化に取り組む組織だ。政府や民間企業からニーズを掘り起こし、官民プラットフォーム(経済産業省、関係省庁、IPA、国立研究開発法人産業技術総合研究所、産業界、アカデミアなどが参加する基盤)の意見を踏まえながら政策に合致したテーマを選定すると、DADCでプロジェクトを組み、アーキテクチャ設計に取り組んでいくという。

 DADCでは、1)規制分野(スマート保安、自律移動ロボット)、2)政府・公共調達分野(下水道、介護)、3)産業基盤分野(MaaS(Mobility as a Service)、製造小売サプライチェーン)の3分野6テーマに取り組むことを検討している。その一部では、既にFS(実行可能性調査)も実施されたという。

 最後に、沼尻氏は、「アーキテクチャ設計のテーマ選定については、今後経済産業省のWebページなどで公表する予定ですので、ぜひ皆さまもチェックいただければと思います」と述べ、基調講演を終了した。

【パートナーセッション】
データマネジメントプロジェクトの成功に必須のフレームワークとは?
~データガバナンスが求められる背景と導入事例のご紹介~

角田 賢治 氏
Talend株式会社
カントリーマネージャー
角田 賢治 氏

 パートナーセッションでは、データガバナンスの目的や、具体的な取り組みの手順、事例とその効果について説明した。

データの増大・多様化・予測不能によりデータガバナンスが求められている

 ガートナー社によると、データガバナンスとは、データや分析結果を評価、作成、消費、管理する場合において、行動が適切であることを保証するためのフレームワークことと定義している。全てのデータを分析に利用したり、他のソフトウェアで再利用したりする行動が適切であるか、取得手続きは承認されているか、企業ポリシーに則っているのかなどを保証する体制や枠組みを意味する。Talendではデータガバナンスを、1)データ分析効率化、2)法規制の遵守/プライバシー、3)データインテリジェンス、4)データマーケットプレイスの4つのユースケースに分類し定義している。

 では、なぜデータガバナンスが必要なのか。角田氏は、データの多様化は増大し、予測不能になっている点を指摘する。データは毎時複雑性を増し、世界のデータ量は2005年から2020年で300倍の40ZB(ゼタバイト)に急増。構造化・非構造化を問わず、顧客、社内、パートナー企業、デバイスなどを発生源として、多様なフォーマットを含むようになっている。また、データスピードも、工場のセンサデータや、為替データ、SNSデータ、バッチデータなど用途や目的によって異なる。さらには、データ正確性においても、3人に1人のビジネスリーダーは意思決定に利用している情報を信頼していないという。

 角田氏は「データにはスピードと信頼の両立が必要不可欠です」と話す。また、データガバナンスプロジェクトを実現するには、ビジネス部門とIT部門の協力に加え、経営層の後押しによるデータガバナンスチームを設置する必要があるという。そのデータガバナンス組織には一般的に、CDO(チーフ・データ・オフィサー)、DPO(データ・プロテクション・オフィサー)、データアーキテクト、データスチュワード、データエンジニア、データサイエンティスト、ビジネスアナリスト、ソフトウェアアドミなどが設置される。

全データが分析可能なデータプラットフォームを構築し顧客満足度を向上

 角田氏があげた1つの事例は、データインテリジェンスにおけるデータガバナンスの導入。カリブ海を拠点にカジュアル・ファミリー向けのクルーズを提供するロイヤル・カリビアンは、2017年5月に3Dシミュレーションによる乗船プランの提供とデジタルトランスフォーメーション(DX)の実施を発表。そのためには、異なるデータソースから全データの関係性を見出し、共通したシングルビューをリアルタイムに作り出すことが必要となった。しかし、当時は船上のデータとデータセンターのデータが異なっていたため、高いレイテンシーの問題があったほか、余剰データの品質問題、技術毎に異なるベンダー、データプロセスの複雑性、ライセンス費用の増大なども障害になっていたという。

 そこでロイヤル・カリビアンは、ビジネスニーズと技術課題を明確化し、自社が持つ大量データから得られる価値にどのようなニーズがあるかを調査。日々増大するデータを収集/共有するにはこれまでのテクノロジーでは実現不可能と判断し、Talendのデータ&分析プラットフォームを導入した。その結果、データ連携は早く、簡単になり、綺麗なデータを一元的に管理することで全てのデータを分析可能なデータプラットフォームの構築が実現。正確なデータをタイムリーに提供できるようになり、新たな気付きを得ることで顧客満足度も向上した。また、Talendのデータマスキングを利用することでデータプライバシーにも対応し、4日でGDPRに準拠することもできたという。現在は、データ収集プロセスは数日から数分への短縮し、秘匿された乗客の動向を分析して顧客インサイトを強化。乗客の乗船から下船までの全ての行動を理解可能になったほか、クラウドやオンプレミスにも依存しない次世代型のプラットフォームが実現したという。

 最後に、角田氏は、「データガバナンス向けソフトウェアを導入することによって、どの企業も課題としているデータ保護など法規制に遵守した運用の実現や、あらゆるデータを企業横断で取り扱う360ビュー、綺麗なデータをスピーディにセルフサービスで扱えるようになる洞察の取得などが実現することをご理解いただければ嬉しく思います」と語り、セッションのまとめとした。

【日立ソリューションズセッション】
データガバナンスソリューション
~データの効率的活用と適正利用を実現~

荒川 啓之
株式会社日立ソリューションズ
デジタルプラットフォーム本部
主管技師 荒川 啓之

 日立ソリューションズセッションでは、データガバナンスを実現するデータ利活用プラットフォームのあり方や、データガバナンス導入のポイント、それを実現するデータガバナンスソリューションなどを紹介した。

データ利活用プラットフォームで効率良く統制管理し質の高いデータを利用者に提供

 冒頭で、荒川は、データマネジメントとデータガバナンスの関係について触れた。データマネジメントは、組織がデータから価値を得られるようデータ資産を管理するのに対し、データガバナンスは、データマネジメント活動全体を統制することであり、データガバナンスの導入によりデータマネジメントも適切に行われるようになるという。

 今後多様化するデータ利活用シーンにおけるデータガバナンス実現で、特に重要となる要素として、1)メタデータ管理、2)データ品質管理、3)データセキュリティ統制の3つがあり、それによりデータの信頼性向上による資産価値向上と、取り扱い規約の管理による適正利用の実現が可能になるという。

 そこで荒川は、データガバナンスを実現するためのデータ利活用プラットフォームアーキテクチャについて言及した。従来、DWH(データウェアハウス)+BI(ビジネスインテリジェンス)を活用していた時代は、IT部門によりデータの管理・プログラム開発を行うことでガバナンスを確保していたが、業務ユーザー部門の分析ニーズの要求スピードにタイムリーに追従できないという課題があった。また、データレイク+セルフサービスBIの導入によって業務ユーザー部門の分析スピードと自由度は向上したものの、IT部門ではデータ量・データ種類の増加によってガバナンスが低下するという新たな課題も顕在化した。

 そのため、日立ソリューションズでは、業務ユーザー部門主体のタイムリーなデータ活用ニーズに応えつつ、データ管理と信頼性確保を両立させるデータ利活用プラットフォームを提唱している。そのポイントは4つある。1つ目はデータガバナンス実現に重要なメタデータ管理・データ品質管理・データセキュリティ統制の3要素を担う「データガバナンス基盤」。2つ目は、データガバナンス基盤の中核となる「データカタログ」。3つ目は、セルフサービスBIやデータサイエンティストによるAIによる分析でデータを自由に活用できる「サンドボックス」。4つ目は、データ分析者がセルフサービスでデータを前処理するための「データプレパレーション基盤」。

 荒川は、「これらをうまく組み合わせることで、データレイクからDWHまでをデータガバナンス基盤で効率良く統制管理し、データマネジメントされた品質の高いデータを利用者に提供します。また、業務ユーザー部門はデータカタログでの自由な検索、データプレパレーション基盤でのデータ加工、サンドボックスでの分析などで、要件に応じたタイムリーなデータ利活用を実現します」と説明する。

データガバナンス導入はIT基盤整備と組織・文化の変革の両面実施がポイント

 続いて、荒川は、データガバナンス導入のポイントについて説明した。データマネジメントの成熟度を上げることでデータの価値も向上する。そのためには、IT基盤(データ利活用プラットフォーム)の整備に加え、運用面を支える組織と文化の変革も加わることで実現するという。また、データガバナンス導入のロードマップも、IT基盤の整備と、組織と文化の変革の両面で策定し、段階的な導入と継続的な改善でステップアップさせることが重要となる。具体的には、1)継続的に粘り強く行うこと、2)業務プロセスに組み込むこと、3)効果を測定できることがポイントとなる。

 ただし、めざすゴールにより導入プロセスは異なるため、特定業務から少しずつ適用業務を拡大する方法や、セルフサービスBI開発者向けデータ公開から実現する方法、適正なアクセス権管理から実現する方法などの事例を紹介した。

 日立ソリューションズでは、お客様のニーズに応じたデータガバナンス基盤を実現する「データガバナンスソリューション」を提供。データガバナンス基盤の設計~構築~運用までをトータルに対応する。また、データガバナンスソリューションでは、導入シナリオ・計画策定の支援や、構築プロセスの支援、自社ツールによる効率的なメタデータ登録の支援、個別開発による機能拡充など、お客様の状況に合わせたさまざまな支援も可能となっている。

 さらに、Talend製品の導入やHadoopの導入、データプレパレーション基盤の導入などデータ利活用プラットフォーム構築を支援する「データ利活用ソリューション」も用意している。

 最後に、荒川は、「これからのデータ利活用においては、データの資産価値向上が重要になります。データ利活用プラットフォームをご検討の際には、ぜひデータガバナンス導入をご検討ください」と提案し、セッションの結びとした。

【質疑応答】
データガバナンスプロジェクトはスモールスタートなら2~3か月で効果を実感

角田 賢治 氏
荒川 啓之

 今回は、全てのセッション終了後、参加者が視聴中にチャット機能で投稿した質問に対して、パートナーセッションを担当したTalendの角田氏と、日立ソリューションズの荒川がライブで回答するQ&Aセッションが設けられた。基調講演いただいた経済産業省の沼尻氏は緊急ミーティングのため欠席。

データガバナンスの導入は必ずしも日本が遅れているわけではない

 1つ目の質問は、「TalendのセッションではGDPRなどの法規制対応を目的に、データガバナンス事例を紹介していましたが、データガバナンスの導入目的や導入プロセス、日本ならではの難しさなど、海外と日本で傾向の違いなどがあれば教えてください」という内容が紹介された。

 これについて角田氏は、Talendとしてはデータガバナンスの定義を必ずしも法規制やレギュレーション対応に主眼を置いているわけではありませんと前置きしながら、「データガバナンスの導入については、必ずしも海外が非常に速く、日本が遅れているわけではないと感じています」と回答。

 「データガバナンスを導入すると、結果として企業の価値が高まります。データが見える化し、リアルタイムにデータが綺麗になることで、ビジネスユーザーも技術部門もデータの透過性が高まり、ビジネスが非常に加速します。海外ではそのメリットを得るために、企業方針として率先してベストなアーキテクチャに乗せる傾向があります」
「一方で、日本は自社独自の方法を研究して、当社はこれがベストだという判断に至って初めて、他社の取り組みを見たり、異なる方法を照らし合わせたりしながら進めるため、時間かかっている印象があります」と角田氏は述べる。

 2つ目の質問では、「データガバナンス基盤という用語は一般的なものですか。また、日立ソリューションズにはデータガバナンス基盤を構成するための具体的な製品はあるのでしょうか」と紹介された。

 これに対し、荒川は、「データガバナンス基盤という言葉は当社で独自に使用しているものです。当社では、メタデータ管理、データ品質管理、データセキュリティ統制に向けたデータガバナンスの導入を多くのお客様にご検討いただきたいと考えており、一般的にこれらの機能をセットで表現した用語がなかったため、これをデータガバナンス基盤とアーキテクチャ上定義しています」と説明。

 「データガバナンス基盤については、単一のパッケージ製品で実現できるものではなく、例えばTalendのデータカタログなどを中心に、複数の機能や製品を組み合わせて実現するものです。お客様のご要望をヒアリングしながら、最適なシステムを提案するというスタイルを実践しています」と荒川は解説する。

グループ内でのデータ移管に関しては同意契約に紐付けて管理することが有効

 3つ目の質問は、「データガバナンスの取り組みを導入してから、効果が表れるまでどれくらいの期間がかかるのでしょうか」というもの。

 角田氏は、「さまざまなケースが考えられますが、仮にソフトウェアをインストールしてから、パイロット的にスモールプロジェクトでサービス展開する場合は、最短2~3か月で効果は出たという実績は国内にもあります。ただし、データガバナンスの取り込みが、組織構成を行い、方針を策定して、全社に展開するまでを考えると、企業規模にもよりますが、恐らく数年はかかると見ています。その目的をガバナンスという法規制に準拠するのか、データを綺麗にして社員がリアルタイムに使えるようにするのか、どこをゴールとするかによっても変わってくるでしょう」と説明する。

 最後となる4つ目の質問は、「グループ内で共通の統合会員基盤を考えた際、これまで個別企業ごとに抱えていた会員情報を別の機能会社に移管することが考えられます。お客様に向けたルール整備はどのように進めるべきでしょうか」という内容だ。

 角田氏は、「例えば、GDPRではお客様の個人情報はグループ内でもグループ外でも保護する責任は同じなので、お客様情報を機能会社に移管したとしてもその責任は企業が負うことになります。削除要請や制限の要望があれば、機能会社にデータがあっても社内と同様のガバナンスをかける必要があるため、移管する企業間でルール策定をすべきでしょう。ただ、そのルール整備をどのように進めるべきかについては、さまざまな方法があると思います」と提案する。

 荒川は、ケースバイケースになると指摘し、「完全にデータ利活用事業自体を移管するというケースでは、企業合併と同様な考え方で特別に同意を取る必要はないかもしれません。また、会員情報の分析など業務を委託したり機能を移管したりするケースでは、グループ会社と同様のルール整備が必要になるので法務部にご相談することをおすすめします」と提案。

 さらに、荒川は、「お客様情報を社内でどのように取り扱っていくかに関しては、どんな同意契約の基に入手したものなのかを紐付けて管理することで、そのデータがどこまで公開が可能なのか、どんな目的で使用可能なのかを、社内やグループ会社間で共有していくことが重要です」とアドバイスする。

 その他にも多くの質問をいただいたが、時間の都合で別途個別にお答えすることとし、以上をもって質疑応答は終了した。

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