講演レポート:第104回 不断な環境変化における製造業の競争力強化 |Prowise Business Forum|株式会社日立ソリューションズ

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Prowise Business Forum 第104回

不断な環境変化における製造業の競争力強化

2021年2月2日に、Prowise Business Forum 第104回が開催されました。 新型コロナウイルス感染症対策として今回もオンライン形式での開催となりましたが、多くの皆さまにご登録・ご参加いただき、盛況のうちに終了いたしました。
今回の基調講演では、経営コンサルタントであり、サプライチェーン、コスト削減、調達の専門家としてテレビ・ラジオで幅広くご活躍されている未来調達研究所株式会社の坂口氏にご登壇いただき、コロナ禍で日本企業に突きつけられたサプライチェーンの課題とRCEP(東アジア地域包括的経済連携)の可能性について語っていただきました。
続く、日立ソリューションズからは、企業がFTA(自由貿易協定)で必要となる原産地証明とコンプライアンス強化に向けた解決策や、サプライチェーン上の問題を早期に見つけ出して対策を講じるソリューションを事例も交えてご紹介しました。
また、日立ソリューションズが担当した各セッションでは、プレゼン資料と講演者の顔映像を簡単に合成できる遠隔プレゼンテーション「Personify Presenter」というサービスを活用し、講演者の表情やボディランゲージといった視覚情報を加えることで、オンラインセミナーでも臨場感のあるプレゼンテーションを視聴者にご体験いただきました。

開催概要

日時 2021年2月2日(火) 14:00~15:00
会場 Webセミナー
主催 株式会社日立ソリューションズ

【基調講演】
これからの製造業のあり方とサプライチェーン刷新

坂口 孝則氏
経営コンサルタント
未来調達研究所株式会社取締役 坂口 孝則 氏
【講師プロフィール】

経営コンサルタント。サプライチェーン分野のコンサルティングに従業。
大学卒業後、電機メーカー、自動車メーカーに勤務。サプライチェーン、調達・購買を担当。 コンサルティング会社を経て現職。
サプライチェーン、コスト削減、調達などの専門家としてテレビ、ラジオ等でも活躍。企業での講演も行う。
著書に『調達力・購買力の基礎を身につける本』『調達・購買実践塾』『だったら、世界一の購買部をつくってみろ!』『The調達・仕入れの基本帳77』(ともに日刊工業新聞社刊)『未来の稼ぎ方』『稼ぐ人は思い込みを捨てる』(ともに幻冬舎刊)など36冊。

 基調講演で坂口氏は、日本の製造業におけるサプライチェーンの刷新と、好機としてのRCEPについて論じた。

新型コロナウイルス感染症が明らかにした日本企業の3つの課題

 坂口氏は、基調講演の冒頭で先に結論を2つ述べた。第1に、新型コロナウイルス感染症は全く新しい問題を引き起こしておらず、日本の製造業がかつてより抱えていた問題を再認識させたという点。サプライチェーンの構造、リスク分散、事業そのものの解体などを差し迫った問題として我々に突きつけたという。

 第2は、RCEP協定締結で中国を中心とした貿易圏ができつつある中、RCEPをどのように活かすかが、After/With/Post COVID-19のいわゆるニューノーマル時代において非常に大切な施策になるという点だ。

 現状日本のサプライチェーンの構造について、坂口氏はGDPに対する鉱物性燃料の輸入額率の推移と、製造業原価率の推移を重ね合わせたグラフを示し、「日本の製造業は原材料価格が上昇すると原価率が上がり、30年以上も原材料価格に左右される産業構造を続けてきました。まず考えるべきは、日本が付加価値を生むことができないものづくりを続けてきたことを、冷静に認識することです」と語る。

 その上で、新型コロナウイルス感染症の流行が明らかにした日本の製造業の課題が3つあると坂口氏は続ける。1つ目は、地場を中心とした三つの密な取引。企業は特定の地場取引先との密室・密談・密約が決定プロセスとなっていて、新たな調達先や販売先を広げることができなかった。今後は、グローバルでオープンな取引に移行し、国内外を問わず全世界の中から優れたサプライヤーと戦略的な提携関係を結ぶようになるという。

 2つ目は、アナログ自前主義。日本はDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進んでおらず、紙作業、属人化、データの備蓄なし、付加価値の見極めなしのアナログ自前主義に陥っていたと指摘。これからは、デジタル優先主義になり、グローバルシステムの活用や業務のデータ化、業務へのAI(人工知能)/BI(ビジネスインテリジェンス)活用が本格化するという。

 3つ目は、事業改革の遅れ。これまでは優先順位付けなしにずるずると事業継続し、平等主義的人材配分を行ってきた。今後は、濃淡的事業活動に移行し、真の意味での選択と集中、優先順位をつけたリスクヘッジ、人材配分の差別化を行わざるを得なくなるという。

中国での製造は出口戦略として考えASEANに調達先や生産地を構築すべき

 2020年の時点までは、製造業は中国から国内回帰に移行すべきという言説があったが、坂口氏はそれを否定する。グローバルに分散し、より多くのデータを取っていくことが重要になるという坂口氏は、「中国での製造は出口戦略として考え、ASEAN(東南アジア諸国連合)の各国などに分散して調達先や生産地を構築しなければなりません。そうしなければ、生産地の選別に大きなミスを犯す可能性があります」という。

 その論拠として、ASEANの主要道路や路線の多くが、中国の昆明市を起点にしていることに注目すべきだという。中でもミャンマーは重要だ。中国はアフリカのアンゴラから原油を輸入しているが、ミャンマーからの陸ルートが開発できれば、マラッカ海峡を通らずに中国にダイレクトにつながる。

 「ASEANは中国と別に存在しているわけではなく、むしろ中国のサプライチェーンに組み込まれていると考えるべきでしょう。中国で登記されている自動車関連メーカーは無数にありますが、それらの工場の多くが今ミャンマーに集結しています。オイルルートとしてのミャンマーの位置付けと、生産拠点としてのミャンマーの位置付けを考えると、ASEANのネットワークと根強くつながっていることがわかります。ここに関与しないという選択肢はありません」と坂口氏は強調する。

 さらに坂口氏は、ソーシャルディスタンスならぬ、日本の“デジタルディスタンス”についても懸念を示す。世界では急速にデジタル化が進んでいる。例えば、VR(仮想現実)を使った仮想空間上の販売市であるバーチャルマーケットに異常な興隆が起きており、100万人近い訪問者を記録したという。サプライチェーンのテクノロジー適用は、デジタルツイン(物理空間の機器や設備の稼働状況を仮想空間上に再現する技術)や、モデルベース開発(実機の仮想環境でのモデル化)などにも広がっている。しかし、日本ではそうしたテクノロジーが一部の企業にしか活用されていない。非接触が前提となる今後のビジネスの中で、日本企業も早く取り組むべきだという。

 加えて、今後の製造業は「土台事業と新規事業の二本立て」にならざるを得なくなるという。まずは盤石で収益を見込める土台事業でキャッシュと企業アイデンティティを確保し、それを継続しながら改善による利益上昇をめざしていく。その上で、新規事業で今後の柱となる事業を育て、トレンドをキャッチアップするPDCAを回していく必要がある。同時に、枯れた技術や収益性が見込めない事業は、他社に売却したり撤退したり、あるいはダウンサイジングさせたりするタイミングにあるという。

RCEPの恩恵を享受するためには既存のサプライチェーン構造を再考する必要がある

 次に坂口氏は、RCEPの制度利用に取り組むことの重要性について言及した。RCEPはASEAN10ヶ国に加え、日本、中国、韓国、豪州+ニュージーランドが参加する包括経済連携だ。日本から協定締結国への輸出で、全体で約92%の品目の関税が撤廃される可能性が高い。一方、協定締結国から日本への輸入では、完全撤廃率は88%に達する。ただし、日本の製造業がRCEPの制度を利用し、他企業に先んじてその恩恵を享受するためには、既存のサプライチェーン構造を再考する必要があると坂口氏は指摘する。まず、原産地認定が必要となる。他の締結国の原産材料を自国の原産材料とみなす行為が発生するため、各取引先とのデータベースの構築が必要となる。これを実践できる組織やシステムが必要となるのだ。その上で、最適調達地・生産地を模索することも求められる。自社工場、取引先のキャパシティやコスト、品質などの状況把握のほかに、各国のトレンド情報の収集も必須となる。

 最後に坂口氏は、「これまでの人類史上に繰り返してきた疫病の歴史を振り返ると、うまく変化することができた人だけはイノベーションを起こすことができました。ペストの大流行の後にルネサンスが勃興し、ニュートンが万有引力の法則を発見しました。コロナ禍は不幸な出来事ですが、捉え方によっては製造業全体を革新できるチャンスと考えることもできます。それを好機とするのか逸機で終わらせるのかは皆さまの明日からの活動にかかっていると思います」と語り、基調講演を終了した。

【日立ソリューションズセッション0】
日立ソリューションズが考える、製造業の競争力強化

関野 知紀
株式会社日立ソリューションズ
営業統括本部 デジタルイノベーション営業本部
本部長 関野 知紀

 後半の日立ソリューションズセッションを開始するにあたり、登壇した関野は、「製造業の競争力強化を実現するためには、企業変革力(ダイナミック・ケイパビリティ)の強化が必要で、事業環境の変化に対応できるサプライチェーンの構築が求められています」と話す。

外部環境の変化は日本企業の経営に喫緊の変革を迫る

 近年のサプライチェーンをとりまく事業環境の変化には、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)やRCEPのようなメガFTAの締結・署名や、英国のEU離脱、米中貿易摩擦、新型コロナウイルス感染拡大などがある。これらの外部環境の変化はサプライチェーンに大きな影響を及ぼし、日本企業の経営や事業継続にも喫緊の変革を迫っているという。

 今後のサプライチェーンのあり方について、関野は、1)国内外を問わず取引先選定するグローバルで・オープンな取引、2)グローバルシステムやAI/BIなどのデジタル活用、3)選択と集中や優先順位付けなどによる濃淡のある事業活動の3つが必要になるという。

 しかし現状は、情報のデータ化の遅れや属人化、データ利活用の環境不足などが現場で課題になっているという。

製造業の競争力強化にはサプライチェーンの変革が不可欠

 日立ソリューションズでは、企業が取り組むべきこととして、ⅰ)サプライチェーンの調査・再考・データ化(既存生産拠点・調達先の状況確認、新規生産拠点・調達先の検証、調査結果のデータ化)や、ⅱ)原産性判定プロセスのシステム化(属人化、コンプライアンス違反を防ぐための社内ルールの設定、ルールを順守するためのシステム構築)、ⅲ)サプライチェーンのシミュレーション環境の構築(現状のサプライチェーンの課題の把握、課題解決のための施策検討)などを提案している。これらは、新しい領域でのデジタル化への取り組みで実現可能になるという。

 関野は、「製造業のお客様が競争力強化を実現するためには、サプライチェーンの変革は不可欠なポイントと考えています。日立ソリューションズはこれまでもSCM(サプライチェーンマネジメント)における人材教育から、システム構築・運用まで支援してきました。これからも企業変革を支援し、新たなDX領域に取り組むソリューションも提案してまいります」と述べ、セッションの結びとした。

【日立ソリューションズセッション1】
最前線の現場での変化への追随とコンプライアンス順守
~RCEP締結を目の前にして解決すべき課題とは~

久保 元彦
株式会社日立ソリューションズ
ビジネスイノベーション事業部 クロスマーケット・サービス第1部
主任技師 久保 元彦

 日立ソリューションズセッション1では、企業がFTAを活用する際に必要となる「原産性の証明」と「コンプライアンスの実現」について、その課題と解決策を紹介した。

FTA/EPA活用はグローバル企業の競争力強化に不可欠な要素

 久保は、「昨今発効されたTPP11協定(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)や、日EU・EPA(経済連携協定)、2020年11月に署名されたRCEP、さらにはEUを離脱した英国が日本や米国とのFTA締結に向けた交渉なども始まっており、自己証明制度による原産地証明書を発行する機会が増加傾向にあります」と話す。

 特に、RCEPに関しては日本の輸出に占める割合が43%、日本の輸入に占める割合が50%と非常に大きく、原産地証明書を発行する機会およびそれに伴う業務量の大幅な増加が予測される。また、パンデミックによるサプライチェーンの寸断に対応するためのイレギュラー業務も増加しており、貿易業務に対する負荷は従来よりも増加する傾向にあるという。

 久保は、「地域的な包括的経済連携RCEP協定に関するファクトシート」(経済産業省)の結果を示し、輸出に占める割合は43%、輸入に占める割合は50%と、日本にとってRCEPの影響は大きいことが見て取れると話す。

 また、日立ソリューションズが2020年3月に実施した「日本企業におけるFTA/EPA活用状況調査」(輸出入を行っている企業1,030名を対象)では、今後EPAを利用する意向があると答えた人が559名(54.3%)となり、グローバル企業にとって競争力強化の要素として不可欠になっているという。

FTA活用におけるリスクは検認と原産地手続の自己証明、そして適用業務の属人化

 久保は、RCEP締結を目の前にして、企業が押さえておくべきポイントは3つあるという。1つ目は、FTA活用におけるメリットとコンプライアンスリスク。FTA活用の最大のメリットは輸出入における関税削減にある。日立ソリューションズの調査でご回答いただいた企業担当者435名によると、輸出・輸入によらず減税効果は大きいということが判明したという。一方、FTA活用における最大のリスクは検認(FTA/EPA適用を申告する輸入品が間違いなく原産性を満たしているかを輸入税関が事後的に検証する作業)におけるコンプライアンスリスクだ。久保は、「検認は業種や企業規模の違いを問わず3割以上の企業が経験しており、これは他人事ではないと捉えるべきです」と注意を促す。FTAに関連した損害賠償も2割以上の企業で発生しており、その後の取引にも影響を及ぼすことも考えられるという。

 ポイントの2つ目は、最近のFTAの原産地手続(証明制度)が“完全自己証明”のトレンドになっていること。日本のFTAにおける原産地証明制度は、従来は第三者証明制度によって日本商工会議所が判定の支援をしていたが、2018年11月締結のTPP11では完全自己証明制度に移行し、自社の責任で判定することが求められるようになった。

 ポイントの3つ目は、原産性の判定やそのエビデンス管理が現場任せになっていること。実際の現場ではFTA適用業務が属人化していることが問題になっているという。企業としての判定プロセスやルールが不透明で、現場で担当者が独自に判断しているケースがあるほか、エビデンス書類がメールやファイルサーバに散在して所在が分からないという課題も多いという。結果として、検認の際に自社で判定した原産地証明を説明できず、多くの企業が潜在的なコンプライアンスリスクを放置している状況にある。

コンプライアンス強化と業務効率を支援する「原産地証明管理サービス」

 日立ソリューションズが考えるFTA/EPA活用への備えとして、久保は、1)企業として役割と責任を明確にした体制を確立し、2)企業として正しいFTA/EPA適用業務プロセスを構築することを提案。そして、3)確立した体制で構築したプロセスやルールの運用を効率的に支える仕組みを導入することが有効だという。

 日立ソリューションズの「原産地証明管理サービス」は、判定ワークフロープロセスに各組織を割当てることで、役割と責任を持った組織的な取組みが実現し、個人に依存した運用からの脱却が可能となる。また、組織ルールを「原産地証明管理サービス」にマスターデータとして登録いただくことで、企業として構築したルールに基づき判定が実施される。さらに、「原産地証明管理サービス」にて判定を実施することで、全てのエビデンスが一元管理され、万一の検認の際にも検索機能などを活用することで迅速かつ適切に対応することも可能だ。コンプライアンス強化と業務効率を総合的に支援する。

 その他、関連するサービスとして、輸出入時の船積書類や輸出入許可情報の共有化・見える化を支援する「貿易帳票電子保管ソリューション」や、輸出時の厳格な安全保障貿易管理を支援する「安全保障貿易管理ソリューション」なども紹介した。

 最後に久保は、「当社の『原産地証明管理サービス』では自己証明と第三者証明のどちらでも原産性判定を実施するプロセスは同じです。検認に備えつつ、業務効率化や関税の減免を最大限に享受できる仕組みとしてぜひご検討ください」と提案し、セッションのまとめとした。

【日立ソリューションズセッション2】
経営判断に必要となる定量的な判断材料の提供
~グローバルSCMシミュレーションを用いた利益につなげる施策検討と定量評価~

今久保 沙那
株式会社日立ソリューションズ
産業イノベーション事業部 関西ソリューション部
技師 今久保 沙那

 日立ソリューションズセッション2では、販売受給計画や生産調達計画の環境変化に対応するための施策・検討シミュレーションを一気通貫で実行するソリューションと、その適用事例について紹介した。

グローバルの環境変化に対しリスクを回避して好機を活かす判断材料は十分か?

 昨年発表された日本の製造業の海外生産比率は25%に達しており、サプライチェーンが世界に跨がることでグローバルな環境変化がサプライチェーンに与える影響は大きくなると今久保はいう。そこには2018年12月に発効したTPP11や、2020年11月に日本、中国、韓国、豪州+ニュージーランド・ASEANの10ヶ国によって署名されたRCEP協定の調印など、メガFTAの存在があげられる。

 また、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大で世界中のサプライチェーンが寸断し、さまざまな製品の生産や供給が滞っているほか、今年は米国の政権交代による貿易方針の転換や、中国やタイでは人件費や物流費が高騰し、生産を周辺国に移管する動きも始まっている。

 「このようなグローバルの環境変化に対してリスクを回避した上で好機を活かすには、現在のサプライチェーンの洗い出しや見直しに加えて、環境変化を迅速に捉え、サプライチェーンを柔軟に見直すことが必要となります。では、その判断材料は十分といえるのでしょうか」と今久保は問いかける。

 複数の予算策定と計画業務から成り立つグローバルサプライチェーンの運用においては、中長期の予算策定→年度予算策定→販売・受給計画→生産・調達計画→投入計画といった段階を経る。下流の計画業務フェーズではシステム化が進み、需要に基づき供給量と納期を守る仕組み(高速MRP;資材所要量計画や、従来型SCMなど)が導入されているが、上流の予算策定フェーズではいまだに担当者の経験と勘(暗黙知)に大きく依存し、システム化は進んでいない。予算策定と計画業務ではKPI(重要業績評価指標)が異なるため溝があり、シームレスに繋がっていないという課題が顕在化しているという。

経営判断に必要な定量的な判断材料を提供する「グローバルSCMシミュレーション」

 そうした予算策定フェーズの課題に対し、日立ソリューションズでは、サプライチェーンのデジタルツインを仮想空間上に構築し、製造プロセスの影響評価と改善を支援する「グローバルSCMシミュレーション」をクラウドで提供している。具体的には、中長期予算、年度予算、四半期予算などの販売受給計画や生産調達計画の環境変化に対応するための施策・検討シミュレーションを一気通貫で実行。サプライチェーンへの影響や、売上・利益、工場稼働率など、さまざまな観点から評価を行い経営判断に必要な定量的な判断材料を提供する。

 シミュレーションでは、数理最適化の技術を用い、生産・物流・販売といったサプライチェーンの構成要素をインプットして、条件を満たす理論上全ての供給パターン(製品と製造ラインの組み合わせ)を評価。経営資源を最大限活用し、利益最大となる供給パターンを導き出す。これにより、環境変化を元に考えられるシナリオそれぞれの最適解を比較して評価することが可能になるという。

最新データと全体最適シミュレーションでサプライチェーンの問題を早期に解決

 次に、グローバルSCMシミュレーションを用いた事例もいくつか紹介した。はじめに、需給計画時の PDCA サイクルを高速化・価値向上した事例。従来は年間の予算策定プロセスにおいて、企画・営業・製造の各部門を横断した施策検討の時間が十分に取れない、施策検討のための情報が不足している、部門間の調整で時間がなくなるといった問題があった。グローバルSCMシミュレーションを活用した現在は、営業サイドの販売見通しが判明した時点で即座に生産可否・余力活用・各製品の利益がわかり、利益優先で施策立案および効果検証が可能になったほか、定性評価から定量評価への移行、部門間で同じ客観的データを元にした議論の実施、意思決定時間の短縮などが実現できたという。

 次に、大きな需要変動に伴う、在庫の最適化のための意思決定材料の提供の事例。コロナ禍で需要変化が予測できない、在庫が増えているが生産計画を見直すべきかといった判断材料が必要となっていた。あらかじめさまざまな販売・生産のパターンをシミュレーションしておくことで、想定されているシナリオごとの見通しを事前に把握。需要が変化しても迅速に対応ができるようになり、在庫増加によるキャッシュフロー影響や損益分岐点も確認可能になったという。

 その他、量産型製品に対し、生産地変更を行うかどうかの意思決定材料を提供した事例や、将来的な需要の変化やパンデミックリスクを対策するサプライチェーン再構築の判断材料を提供した事例なども紹介した。

 最後に今久保は、「SCMのハブの役割を果たし、上位プロセスと下位プロセスとをシームレスにつないで一気通貫のシミュレーションを実施するグローバルSCMシミュレーションは、最新かつ客観的なデータ、および全体最適となるシミュレーション結果でサプライチェーン上の問題を早期に見つけ出し、対策を講じるための判断材料となります。また、環境変化に対応するための最適な計画の見直しや、半期~中長期の視点での施策検討を行う上でも有効です。攻めのITの施策のひとつとして、業績改善につながる経営判断材料を提供することができるグローバルSCMシミュレーションをぜひご検討ください」と推奨し、セッションを締めくくった。

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〒140-0002 東京都品川区東品川4-12-6(日立ソリューションズタワーB)
E-mail : pbf@hitachi-solutions.com

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