講演レポート:第98回 複雑社会を打開するマーケティング理論到来か!?|Prowise Business Forum|株式会社日立ソリューションズ

株式会社 日立ソリューションズ

Prowise Business Forum in TOKYO 第98回

複雑社会を打開するマーケティング理論到来か!?
~「ファンベース」の威力に迫る~

 2019年3月18日、日立ソリューションズ本社にて、Prowise Business Forum in TOKYO 第98回が開催され、多くのご来場者にお集まりいただき盛況のうちに終了しました。今回は基調講演に、気鋭のコミュニケーションディレクター“さとなお”氏こと佐藤 尚之氏をお招きし、現代日本でなぜファンベースが必要とされているのかについて熱く語っていただきました。
また、日立ソリューションズからは、顧客戦略手段のひとつであるCRMを改めて紐解くとともに、会員サービス向けビジネスのマーケティング活動を成功させた著名企業の事例を豊富にご紹介しました。

開催概要

日時 2019年3月18日(月)14:00~16:25(13:30受付開始)
会場 〒140-0002 東京都品川区東品川4-12-7
日立ソリューションズタワーA 4F 講堂
主催 株式会社日立ソリューションズ

【基調講演】
ファンベース ~支持され愛され長く売れ続けるために~

佐藤 尚之(さとなお)氏
コミュニケーションディレクター
佐藤 尚之(さとなお)氏
【講師プロフィール】

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。花火師。1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

 基調講演では、広告コミュニケーション業界で“さとなお”氏として知られるベテランのコミュニケーションディレクター 佐藤氏が、ファンベースが必要とされる理由やその実践方法、施策例について解説した。

ファンベースが必要とされる4つの理由

 ファンベースとは、ファンを大切にし、ファンをベースにして中長期的に売上や価値を上げていく考え方のこと。ここでいうファンとは、リピーターやヘビーユーザーのことではなく、「企業やブランド、商品が大切にしている価値」を支持し、その価値を大切に思う志や提供価値、方向性やクオリティを含めて支持してくれる人のことである。
 では、なぜ今ファンベースが必要とされるのか、それは次の4つの理由があるからだという。

 1つ目は、ファンは売上の大半を支え伸ばしてくれるから。有名なパレートの法則(上位20%の顧客が売上の80%を支える)はさまざまな業界に当てはまっているという。また、ある飲料メーカーは、上位2.5%の顧客(コアファン)から全売上の30~40%を得ているため、コアファンの離脱を防ぐためにコミュニティを運営している。佐藤氏は「コアファンたちのLTV(Life Time Value;顧客生涯価値)をアップすればそのまま売上アップにつながります」と話す。

 2つ目は、時代的・社会的にファンの重要度が増しているから。現在は、1)人口急減、2)ウルトラ高齢社会の到来、3)若者の物欲減少と独身者の増加、4)超成熟市場とUSP(Unique Selling Proposition;差別化された商品特徴)の陳腐化、5)情報過多と二極化といった問題に直面し、新規需要が減少。情報が多すぎて広告の露出を増やしても高感度な人には届かず、多くの国民はネットもSNSもあまり使っていないため、低感度な人たちにもデジタルマーケティングが通用しにくいという状況にあるという。

 3つ目は、ファンが新規顧客を増やしてくれるから。高感度のユーザーと低感度のユーザーの両方の耳目に届き、スルーされにくいアプローチが1つある。それが“口コミ”であり“友人からのオススメ”だという。情報も商品も溢れ、何を選んでいいかわからないからこそ知人の推奨を信頼する人が多く、専門家や有名人よりも家族や友人たちが愛用しているモノやコトを好きになる可能性が高い。佐藤氏は「ファンは新規顧客を増やしてくれるだけではなく、新たなファンを作ってくれる存在です」と説明する。

 4つ目は、効きにくくなったキャンペーンの効果をファンがアップさせてくれるから。最近は情報洪水や成熟市場によって短期キャンペーンや単発施策は消費者に届きにくくなり、届いても一過性かつ瞬間風速的に忘れられてしまうなど効果があまり持続しない。そのため、売上の80%を維持している20%のファンのLTVを向上するキャンペーンやプロモーションを打てば、ファンを支持母体とした相乗効果で全体売上のアップを生み出すことができるという。

新たにファンを増やすのではなく既存のファンを大切にすることがポイント

 次に佐藤氏は、ファンベースの実践について言及した。その重要なこととして、「ファンベースのポイントは、悪いところを直すのではなく、いいところを伸ばすことにあります」と佐藤氏は強調する。パレートの法則にあるファンではない80%をファンに変えて(増やして)全員ファンになってもらおうと考えるのではなく、いまいる20%のファンを大切にすることでLTVを向上させることがファンベースのポイントだという。

 ならば、どうやって既存のファンを大切にすればいいのか。佐藤氏は3つのアプローチがあるという。

 第1は、その価値自体をアップさせて「共感」を強くすること。ファンの言葉を傾聴し、ファンであることに自信を持ってもらう。第2に、その価値を他に代えがたいものにして「愛着」を強くすること。商品にストーリーを纏わせ、ファンとの接点を大切にする。第3は、その価値の提供元(企業や店など)の評価・評判をアップさせて「信頼」を強くすること。本業を細部まで紹介するとともに、社内の社員も最強のファンにする。
 さらに、ファンの支持をより強くし、ファンをコアファンにアップグレードするためには、共感を「熱狂」に変え、愛着を「無二」の存在にし、信頼を「応援」される形に転換することで、さらにLTVを上げることが可能になるという。

ファンに喜ばれることほど楽しい仕事は他にない

 続いて、佐藤氏は、ファンベース実践のための施策例を紹介した。ファンベースの基本である「いいところを伸ばす」の“いいところ”とはどこか。それを把握するためには、ファンミーティングが最も効果的で、ファンからの傾聴を実践するための大切な場となるという。ファンミーティングではファン同士が出会い、会話が盛り上がることで、困難だった言語化が可能になる。ファン同士の会話を注意深く聞く機会を繰り返し用意し、それを元にファンベース施策を設計するというのだ。

 最後に、佐藤氏は、「人の感情と付き合うファンベースは時間と手間がかかり、効率も悪いとネガティブな要素で語られがちですが、自社の商品価値を支持してくれて愛用してくれるファンに喜ばれることほど、うれしく誇らしく、ポジティブで楽しい仕事は他にありません。じっくり長く付き合えばファンはこちらの気持ちに応えてくれて、新たなファンを連れてきてくれるのです。そろそろ、マスからマン(人)へマーケティング戦略をシフトするタイミングではないでしょうか」と語り、基調講演を終了した。

【日立ソリューションズセッション】
Fan-Life Platformの事例に学ぶ、CRMの導入とデータ分析の勘所

藤原 英哉
株式会社日立ソリューションズ
カスタマーエンゲージメントソリューション部
グループマネージャ 藤原 英哉

 日立ソリューションズセッションでは、CRM(Customer Relationship Management)の目的を改めて確認するとともに、CRMを顧客戦略に取り入れたお客様導入事例をいくつか紹介した。

消費者主導時代はオムニチャネルにより顧客データを自社の資産に活用

 「CRMは戦略の名称であり、顧客戦略の手段のひとつです」と藤原は説明する。そこで、CRMの名の通り、「顧客」、「データ(関係性)」、「マネジメント」について、それぞれの意味を解説した。

 最初は「顧客」をとりまく環境について。マーケティングは、需要を作ることから競合状態の生き残りを探る手段となり、商品主導から消費者主導の時代へと変化。それに伴い、CS(顧客満足)の重要性からCRMが登場し、「どこで・何を売るか」から「だれに・どうやって買ってもらうか」に関心が移ってきた。
また、買い物「体験」の向上によって、1)差別化、2)コモディティ化、3)ブランドスイッチ、4)タッチポイントの4つが重要になってきたという。消費者主導時代には、複数のチャネルを顧客に合わせて使い分ける従来の「マルチチャネル」から、顧客を中心にすべてのチャネルを連携させる「オムニチャネル」へと移行し、5つの「C」(顧客:Customer、コンテンツ:Contents、コミュニティ:Community、コマース:Commerce、背景:Content)をカバー。顧客データを蓄積・保管することで自社の資産にしていく戦略が一般化しているという。

 次に「データ(関係性)」について。CRMを機能させるとは、マーケティングの情報フローを機能させるという意味で、収集して、分析し、加工して、発信するというトータルなサイクルのフローが必要になるという。

 そして「マネジメント」について。戦略的にCRMを導入するには、上記の収集・分析・加工・発信を実行する仕組みと組織が必要となり、組織は横断的なものとなるため、マネジメントが不可欠となると解説した。

スタジアム収容率がJリーグNo.1となったジュビロ磐田

 続いて藤原は、CRMを顧客戦略として取り入れたお客様の事例をいくつか紹介した。対象ソリューションは、日立ソリューションズの「Fan-Life Platform」。会員サービス向けビジネスのマーケティング活動を、企画から導入、運用支援までトータルにサポートする、戦略的CRMを成功させるためのサービスとなっている。

 1つ目の事例の株式会社ヤクルト球団様は、2013年にFan-Life Platformを導入し、データを活用することでファンの見える化を実現。以後、東京ヤクルトスワローズの神宮球場での平均観客動員数は5年連続増加し、ファンクラブ有料会員数も4倍に増加した。従来はほぼ売れなかった両翼外野席をカップル/家族向けテーブル席に変更するなど、席の売れ方を見える化し、席の付加価値をアップしたことがポイントだ。

 2つ目の事例は、株式会社ジュビロ磐田様。プロサッカークラブ ジュビロ磐田のJ2降格による観客減を補填するため、2014年にFan-Life Platformを導入。会員行動の見える化を実施することでファンクラブ会員を活性化した。中でも会員サイトのマイページを活用し、クラブとサポーターとのつながりを強化して、J2降格後の会員数維持と会員来場率の増加を達成。J1復帰後も4年連続観客数が増加し、平均スタジアム収容率はJリーグ内で圧倒的No.1となったという。

 3つ目の事例は、オリックス野球クラブ株式会社様。2013年にオリックス・バファローズのファン層を見える化するためFan-Life Platformを導入した。ポイントを活用したマーケティングにより、球団・球場一体経営の強みを生かしてファンによるチケット収入と物販収入を活性化。観客動員数は最大35%増加し、ファンクラブ会員数も2倍、入会費収入も3.5倍に増加したという。

 最後に藤原は、「オリックス様では前年データから、会員種別の傾向、会員セグメントの実施、商圏の見える化、ポイント動向などの分析を実施し、その結果を元に各種プロモーション施策を立案。効果のあった施策はルーチン化させました」と解説し、セッションを締めくくった。

講演資料ダウンロード

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〒140-0002 東京都品川区東品川4-12-6(日立ソリューションズタワーB)
E-mail : pbf@hitachi-solutions.com

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